近年、都市部を中心に不動産価格が急騰しています。これから住宅ローンを組むときに不安になるのが、「老後までに返済できるのだろうか?」という点です。
ここでは、60〜70歳代が抱える住宅ローン残高や、これから住宅ローンを組むときに注意したいポイントについて解説します。
1. 【速報:2025年人口移動報告】東京圏に12万人流入、止まらない「都市集中」と住宅需要
総務省が令和8年2月3日に公表した「住民基本台帳人口移動報告2025年結果報告」によると、2025年は全国で33万7234人の社会増となりました。社会増とは、出生や死亡を除き、転入・転出や海外からの出入りといった「人の移動」によって人口が増えた状態を指します。
2025年は、東京都や大阪府など23都道府県で社会増が見られました。大都市圏のみならず、地方の中核都市でも流入超過となっており、利便性の高い都市部への人口集中傾向が続いています。
1.1 「人が集まる県・減る県」愛知県が増加拡大、宮崎県が減少幅ワースト
具体的には、社会増加となっている主な都道府県は次のとおりです。
- 東京都:12万5457人
- 大阪府:5万8524人
- 千葉県:4万2629人
※社会増加は全国で23都道府県
また、前年と比べて社会増加数が最も拡大したのは愛知県(9298人)でした。
一方で、社会減少となっている都道府県も少なくありません。
- 福島県:6101人
- 新潟県:4524人
- 青森県:3933人
※社会減少は24県
前年に比べて社会減少数が最も拡大したのは宮崎県(2124人)となっています。
こうした人口集中は住宅需要を下支えし、不動産価格の高止まりにつながっています。一方で、東京圏の転入超過は縮小しており、将来も同じ需要が続くとは限りません。都市部だから安心と考えて高額な住宅ローンを組むと、思わぬリスクを抱える可能性があります。
2. 【住宅ローン】60歳代「平均残高約700万円」、50年ローンも登場《終わらない返済地獄》
住宅ローンを組む際、「退職までには繰り上げ返済できるだろう」「退職金で何とかなるだろう」と漠然と考えている人も少なくありません。
しかし、J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」を見ると、60~70歳代になっても住宅ローン残高を抱えている世帯は多いことが分かります。ここでは、単身世帯と二人以上世帯に分けて、住宅ローン残高の平均を確認してみましょう。
2.1 《単身世帯》住宅ローン残高(平均)
- 60歳代:299万円
- 70歳代:348万円
2.2 《二人以上世帯》住宅ローン残高(平均)
- 60歳代:697万円
- 70歳代:474万円
特に二人以上世帯の60歳代では、平均で約700万円の住宅ローン残高があり、セカンドライフに入る年齢でも大きな負債を抱えている実態が見えてきます。
収入が減少する老後に、これほどの住宅ローンを返済し続けることは、家計だけでなく精神的にも大きな負担となるでしょう。
2.3 「50年ローン」も登場、住宅ローンは老後まで続く時代に
住宅価格が高騰する中、これから住宅ローンを借りる人は、返済期間がさらに長期化する可能性があります。近年では、金融機関によって「50年ローン」といった商品も登場しており、老後まで住宅ローンを抱えることが珍しくなくなりつつあります。
また、金利政策の転換により、住宅ローン金利は上昇傾向にあります。金利が上がれば利息負担も増え、結果として返済期間が長引く要因にもなります。こうした環境を踏まえると、これから住宅ローンを組む人は、これまで以上に慎重な資金計画が求められるでしょう。
では、具体的にどのような点に注意すべきなのでしょうか。次の章で詳しく解説します。
3. 【住宅ローン】老後破綻しないために。組む前に押さえたい3つのポイント
3.1 ポイント(1)退職金をあてにした資金計画を立てない
住宅ローンを組むときに多くの人が考えがちなのが、「退職金で繰り上げ返済すれば大丈夫」という点です。
しかし、人生100年時代といわれる現在、定年退職を迎えてから20年以上の老後を送ることも珍しくありません。セカンドライフでの介護や病気のリスクを考えると、せっかくの退職金を住宅ローンの繰り上げ返済に充ててしまうのはやや先行きに不安が残るといえます。
また、必ずしも十分な退職金を受け取れるとも限りません。企業の業績不振や制度の変更などによって「思ったよりも退職金が少なかった」ということも十分あり得るでしょう。
将来いくらの退職金が受け取れるか分からないからこそ、それをあてにした資金計画は避けるべきといえます。
3.2 ポイント(2)金利変動リスクは最悪のパターンを想定する
日本では長らく低金利環境が続いてきましたが、マイナス金利政策の終了に伴い金利政策が大きく転換しています。それにより住宅ローンの借入金利にも影響が出ており、多くの金融機関が金利の引き上げを実施している状況です。
これから住宅ローンを組む際は、さらに金利が上がるリスクを踏まえたうえで返済計画を立てる必要があります。具体的に「金利が〇%上がったら返済額が〇円になる」といったシミュレーションを行い、どこまでの変動に耐えられるかよく考えておくことが大切です。
もし「変動リスクを負うのが怖い」「将来の資金計画を明確にしたい」という場合は、固定金利で借り入れるのもひとつの方法でしょう。
3.3 ポイント(3)ペアローンは一方が働けなくなるリスクに注意
共働き世帯の増加に伴い、最近ではペアローンで住宅ローンを組む家庭も珍しくありません。ペアローンは借入額を増やせる点や、夫婦それぞれが控除を受けられる点など多くのメリットがあります。
しかし、どちらか一方が働けなくなるリスクについては慎重に考える必要があります。
もしパートナーが働けなくなって収入がなくなった場合、一馬力で住宅ローンを返済していかなければなりません。二馬力を前提とした返済計画を立てていると、収入が減ったときに返済を続けられなくなることもあります。
ペアローンを組む際は、1人の収入でも返済できるようにするか、万が一に備えて就業不能保険などで固定費をカバーできる体制を整えておくようにしましょう。
4. 【住宅ローン】「いくら借りられるか」は危険。「いつ完済できるか」から逆算する家選び
住宅価格の高騰と人口の都市集中により、住宅ローンは老後まで続くものになりつつあります。実際に、多くの高齢世帯が住宅ローン残高を抱えています。
これから住宅を購入する人は、「いくら借りられるか」ではなく「最後まで返せるか」という視点が欠かせません。人口動態や金利上昇といった環境変化も踏まえ、無理のない返済計画を立てることが重要です。
安心したセカンドライフのためにも、住宅ローンは長期視点で慎重に考えましょう。


