2019年4月12日に行われた、株式会社松屋2019年2月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:株式会社松屋 代表取締役社長執行役員 秋田正紀 氏
株式会社松屋 代表取締役専務執行役員 帯刀保憲 氏
株式会社松屋 取締役常務執行役員 横関直樹 氏

2019年2月期 損益概要(連結)

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帯刀保憲氏:みなさま、おはようございます。専務の帯刀でございます。それでは、2019年2月期の決算概要につきまして、ご説明をさせていただきます。

まず、連結決算の概要からご説明させていただきます。当期の売上高は、主力の百貨店業が全体を牽引し、前期比プラス2.2パーセント、925億3,000万円と増収となりました。一方、売上総利益はマイナス2.4パーセントの減益となりました。販管費につきましては、マイナス1.3パーセントと削減に努めましたが、営業利益はマイナス13.2パーセントの18億4,200万円。経常利益はマイナス10.7パーセントの18億2,600万円。当期純利益は、百貨店業における税金費用の減少等により、プラス9.4パーセントの13億7,500万円と増益となりました。

2019年2月期 財政状態及びキャッシュ・フロー等(連結)

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次に、連結の財政状態等でございますが、まず、総資産は前期末と比較し、18億4,500万円減少いたしました。これは主に百貨店業において、有形固定資産の償却により、減少したこと等によるものでございます。純資産は前期末と比較し、10億7,100万円増加をいたしました。その結果、自己資本比率は2.8パーセント上昇し、36.0パーセントとなりました。

有利子負債は、営業キャッシュ・フロー等を元に削減を推し進めた結果、22億6,600万円減少し、195億4,300万円となりました。設備投資につきましては8億4,100万円。前年実績と比較し、120億9,300万円減少いたしましたが、これは前年に百貨店業において、借地権付き建物の取得110億円があったこと等によるものでございます。減価償却費は15億1,900万円となりました。

続きまして、キャッシュ・フローにつきましては、営業キャッシュ・フローは28億1,800万円の収入。投資キャッシュ・フローは、百貨店業における改装工事を中心とした、固定資産の取得等により7億3,100万円の支出。財務キャッシュ・フローは借入金の返済等により、26億8,500万円の支出となりました。

店舗別売上高

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続きまして、セグメント別の売上高・営業利益について、ご説明申し上げます。百貨店業につきましては、まず店舗別の売上高からご説明申し上げます。銀座店は、顧客とのコミュニケーション強化のための販促策や、「コト」提案の強化としての文化催事の積極的な展開等により、集客と売上向上に尽力をした結果、国内のお客さまに対する売上は、前年実績を上回りました。

さらに、訪日外国人のお客さまによる免税売上高も、来店客数の増加により、化粧品やラグジュアリーブランドが引き続き好調に推移し、前年実績を上回りました。この結果、銀座店は前期比プラス4.9パーセントの782億7,900円となりました。一方、浅草店は食料品が苦戦をしたことや、前年に制服の大きな特注がなくなったこと等により、マイナス3.5パーセントの55億3,200万円。両店計ではプラス4.3パーセント、838億1,100万円となりました。

右に記載のとおり、客単価につきましては、銀座店・浅草店ともに前年を上回りました。また入店客数も、各種の販促策や訪日外国人の来店増などにより、銀座店・浅草店ともに前年を上回りました。

セグメント別売上高・営業利益

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以上のように、百貨店業の売上高はプラス4.3パーセントの増収となり、営業利益もプラス1.3パーセントの20億8,100万円と、増益となりました。飲食業は主力の婚礼宴会部門において婚礼組数が前年を下回ったことや、事業所の中央会館が工事のため約4ヶ月半休館をしたこと等から、原価や販売管理費は前年と比較して削減することができたものの、減収減益となりました。

ビル総合サービスおよび広告業は、宣伝装飾部門や建装部門における受注が好調に推移し増収となりましたが、原価が高騰したこと等により減益となりました。輸入商品販売業は、主力ブランドでありました「iittala(イッタラ)」について、取引先との商品供給契約が終了したことの影響により、売上高は前年実績を大きく下回ったこと等から、減収減益となりました。決算の概要の説明は以上でございます。

小売市場の動向

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横関直樹氏:営業本部長の横関でございます。松屋単体の営業の概況について、ご説明をさせていただきます。よろしくお願いいたします。まずは小売市場の動向について、簡単に触れさせていただきます。2018年は記録的な猛暑や豪雨、台風などの天候要因もありましたが、個人消費は底堅く推移し、小売業販売額がプラスの1.7パーセント、スーパーがプラスの0.8パーセント、コンビニがプラス2.0パーセントの中、百貨店売上高は衣料品を中心に振るわず、前年を下回りました。

地区別では、地方がマイナスとなった一方で、都市部はプラス0.3パーセント。東京地区においては、プラス0.6パーセントという結果で終わっています。

都内地区別の商況

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続きまして、こちらは2018年度の都内の百貨店の、地区別の商況でございます。東京地区全体ではプラス0.3パーセントと、ほぼ前年並み。銀座地区はプラス3.8パーセントと、都内で最も高い伸びを示すことができました。これは訪日外国人需要が銀座地区で堅調であるとともに、これが要因の1つであると思われます。

こちらは銀座地区の各店の商況でございます。この表に関しては、お手元の資料には入っていませんので、スクリーンをご覧ください。当期、松屋銀座は訪日外国人の需要の伸びとともに、化粧品などの雑貨、また身廻品・衣料品などのファッションアイテムが好調に推移したことにより、伸び率としては銀座地区のみならず、都内で最も高い4.9パーセント増となりました。

商品別売上高(銀座店)

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こちらは、当期の銀座店の商品別の売上高でございます。棒グラフは実績の前年比です。化粧品を含む雑貨がプラス12.2パーセントと、今期も大きく売上を伸ばしました。衣料品・身廻品についても前年を超えまして、都内全般に比較して好調な結果となりました。免税売上においても、化粧品は好調に売上を伸ばしていますが、女性の就業人口が増える中、化粧品の需要は国内でもさらに伸びるものと思われています。

今後はさらに国内のお客さまに向けて、旬のMDを導入するなど、さらなる強化を努めてまいります。

銀座店 年度推移

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次に、2011年度を1とした指数で銀座店の売上高の推移を見ますと、当期の売上高は、訪日外国人売上が急激に伸びました2015年を2.4パーセントほど上回りました。また、買上数・客単価につきましても順調に伸びています。

顧客とのコミュニケーションの強化①

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ここからは主に、国内のお客さまに向けた施策についてのご説明をさせていただきます。2018年度を最終年とする中期経営計画では、とくに顧客とのコミュニケーションの強化による売上増に力を注いでまいりました。国内顧客で固定客となっていただいている、「松屋カード」会員さまの実績では、「松屋カード」の通常会員さまについて、最終年度の当期は会員数で前年比102パーセント、買上額でもとくにインターナショナルの雑貨ゾーン・婦人衣料ゾーンなどが伸びたことにより、全体で104パーセントと伸ばすことができました。

顧客とのコミュニケーションの強化②

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とくに、増加しているエグゼクティブな女性への対応として、プロのスタイリストが服装選びのアドバイス・サポートをする「ファッションコンサルティングサービス」を2017年度からスタートしており、大変ご好評をいただいています。今後、こちらに関しては社員を育成し、自社でもご提供できる体制づくりを実施してまいります。

顧客とのコミュニケーションの強化③

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また当社では、3年連続して年間50万円以上お買い上げのお客さまを「VIC顧客」と呼び、定期的なアプローチを実施しています。2018年の秋には、熱烈なファンの多いファッションブランド、「ミナペルフォネン」のデザイナー・皆川明氏のオリジナルデザインポーチのプレゼント企画を、銀座店の店長の名前入りのお手紙でお知らせし、大変ご好評をいただきました。

その効果もあり、「VIC顧客」の2018年度のお買い上げ額も、前年対比111パーセントと増加をいたしました。

顧客とのコミュニケーションの強化④

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また、毎回ご紹介している施策ではございますが、半期に一度、松屋銀座全館で開催をしている「お得意様ご招待会」は、外商のお客さまのほか、松屋カードをお持ちのお得意さまをお呼びして全館でイベントや抽選会を開催するなど、全社員が一丸となってお客さまへの感謝を表し、おもてなしをする1日として位置づけています。

この2月に開催をしました「ご招待会」でも、多彩なゲストによるトークショーや開催などで、お得意さまに楽しんでいただくことができています。その結果、この2月の春の感謝祭、1日の売上としては過去最高の売上を上げることができています。これは今回に限ったことではございませんが、当日に向けた準備として旬の商材を多く揃え、また事前のお得意さま一人ひとりにお声がけをするなど綿密な準備が定着し、功を奏したものでございます。

今後もこのようにお客さまとのコミュニケーションを強化し、一般のお客さまを松屋ファンに、すでに松屋との関係の深いお客さまに関しましては熱烈な松屋ファンになっていただくよう、さまざまな施策を行ってまいります。

顧客とのコミュニケーションの強化⑤

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また、さまざまな施策を行うにあたり、お客さまの満足度を客観的な指標で「見える化」することにも取り組んでいます。まず、日本の主要企業でも採用されつつあるNPS®調査を行っています。NPS®はNet Promoter Scoreの略で、こちらに関しては顧客の心理ロイヤリティを計測する指標でございます。

さらに、接客の感想をWebに直接送信していただくトランザクションレポート。また、ご来店された方々にお買いものの満足度を直接うかがう「Happy or Not」など、デジタルの手法を用いて売場へのフィードバックを迅速に行っている次第でございます。

その結果、ネガティブなお客さまにはすぐに改善が図ることにつながり、また成功体験についてはそれを積み重ねることによって、従業員のモチベーションを上げることにもつながっています。今後もこのような取り組みを継続的に実施し、さらに顧客満足度の向上を図ってまいります。

顧客の声を反映した売場作り

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そうしたお客さまの声を反映して、「美と健康」「良質な睡眠」をキーワードに、都内最大級のランジェリーとナイトウェアの売場を(2019年)2月17日にオープンをさせていただきました。売場を拡大しライフスタイルに合った提案をすることで、買いやすくなったとご好評をいただいており、今後もこちらに関しては当社の強みとして各種施策と連携強化を図ってまいります。

銀座店 店頭売上高(免税除外)

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こうした施策を積み重ねることで、当期の免税を除いた国内顧客の売上高に関しましては前年に対しプラス2パーセントと、2年連続して前年を上回ることができています。

免税売上高①

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一方、免税売上高に関しましても、2018年度に関しましては順調な伸びを示しました。日本政府観光局の発表では、日本を訪れた外国人は2018年暦年推計で3,119万人と、初めて3,000万人を超えました。このような状況の中で、当期銀座店の免税売上高は前年比でプラス13パーセントとなっています。

内訳としましては、全体の74パーセントを占める一般品がプラスの7パーセント、26パーセントを占める食品・化粧品などの消耗品がプラス31パーセントと大きく伸びました。

免税売上高②

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商品別実績の構成比を2017年度と比較をさせていただきましたが、化粧品を占める割合が全体の4分の1に成長していることが見て取れると思います。

免税売上高③

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また、中国からのお客さまとそれ以外の国からのお客さまの売上を内訳で見ますと、中国からのお客さまの売上が通期で15パーセントのプラス、中国以外の国からのお客さまはプラス5パーセントという結果でございました。中国以外では、台湾・香港・インドネシア・シンガポール・フィリピンからのお客さまが増えています。

免税売上高④

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インバウンドへの施策としては、海外提携先をさらに拡張し、現在東アジア・東南アジアの金融法人を中心に35の法人と提携し、総合創客を実施しています。その結果、インバウンド施策による売上のシェアはインバウンド全体の前年の33パーセントから5パーセント増の38パーセントを占めるに至っていまして、免税売上の拡大に貢献をしています。

免税売上高⑤

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さらに、先ほどご紹介いたしましたように訪日観光客も増加しており、インドネシアやマレーシアにおいて多くの割合を占めるイスラム教徒のお客さまに向けてのサービスの充実にも取り組んでいます。

当社では、イスラム教やムスリムについて理解をし、必要かつ有益な情報を提供する「ムスリムウエルカム」の方針を採用しまして、この(2019年)3月には屋上に礼拝室を設置いたしました。他にも、イメージ動画をWeb上で公開したり、販売クルー向けの勉強会を定期的に開催したりするなどしまして、ムスリムへの理解を深め、快適にお買い物いただける取り組みを行っています。

免税売上高⑥

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このように、インバウンドの取り組みにつきましても継続的に実施をすることにより、訪日外国人の増加とともに免税での買上数は継続して大きく増加をしています。さらに、銀座店の免税客単価に関しましては、百貨店平均の免税お客さま単価よりも1万円以上上回る高い水準で推移をしています。

いよいよ来年(2020年)に迫りました東京オリンピック・パラリンピックに向け、海外からのお客さまへの品揃え・サービスを充実させて、さまざまな取り組みを継続してまいります。

以上、営業概況の説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

株式会社 松屋 中期経営計画 デザインの松屋

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秋田正紀氏:社長の秋田でございます。それでは、本年(2019年)からスタートしました新たな中期経営計画についてご説明をさせていただきます。中計の期間は、本年から2021年までの3ヶ年。タイトルは、こちらにあります「デザインの松屋」でございます。「デザインの松屋」が意図する内容につきましては、後ほどご説明をさせていただきます。

目次

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こちらの目次に沿ってご説明をさせていただきます。

Ⅰ.中期経営計画の位置付け

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まず、新しい中計の位置づけは、本年(2019年)11月に迎えます当社創業150周年を機に、ブランド力と営業力の強化を図ることにあります。そして、その創業150周年からさらにその先まで続く当社の独自性を、さらに磨き上げていくことを目指しています。

Ⅱ.前中期経営計画の総括(2016~2018年度)①

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その新しい中計をご説明します前に、前中計の結果をポイントでご説明させていただきます。百貨店業は、主な重点施策としまして、画面にあります施策に取り組んできましたが、とくに顧客政策に取り組んでまいりました。

その結果、売上につきましては、もっとも重視しています免税を除く店頭売上、つまり日本人のお客さまを中心としました売上を、前中計最終年度の2015年度に対し3パーセント伸ばすことができました。

一方の免税売上につきましては、いわゆる爆買いと言われた2015年度の翌年にあたる中計初年度に急減していますけれども、その後は2桁の伸びで回復し、ほぼ爆買いのころの売上規模に戻ってきています。以上の結果、主力の銀座店の2018年度の売上は、2015年度に対し2.4パーセントの増収を果たしました。

販管費につきましては、税金や人件費などの増加がありましたが、全体としては想定していました計画値よりも削減することができました。

一方、グループ会社でございますけれども、輸入商品販売業のスキャンデックスにおいて、計画外で主要取引先との契約が終了した影響が大きく、またアターブル松屋の婚礼宴会事業も苦戦いたしました。

Ⅱ.前中期経営計画の総括(2016~2018年度)②

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そのような結果、連結の売上高・営業利益はグラフのようになりました。百貨店業の売上は、先ほど申し上げましたとおり増加させることができましたが、社内で計画していました目標には及ばず、またグループ会社で、とくにスキャンデックスの売上減の影響が大きかったため、連結の売上も計画には届かなかったところでございます。

また、営業利益につきましても、百貨店業における売上の影響と、黒字を計画していました子会社の業績不振などにより、届かない結果となりました。3ヶ年累計の連結設備投資額は158億円ですが、計画外で取得しました本店の一部借地権付建物への投資、約110億円を除けば計画内の47億円となりました。

Ⅲ.当社を取り巻く環境(銀座周辺地区)

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さて、今回の中計の期間中は、ラグビーのワールドカップや東京オリンピック・パラリンピックが開催されることもあり、世界中から日本、そして東京が注目され、国内外から東京への観光客はいっそう増えていくことが見込まれます。

そういう中、ホテルの開業ラッシュが続き、また銀座通りが整備されるなど、街の魅力はいっそう高まってきています。そして、この3ヶ年の後も都心の人口は増え、交通インフラが整備されていくなど、当社を取り巻く環境の魅力は今後も確実に高まっていきます。

Ⅳ.『デザインの松屋』の考え方

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ここで、新たな中期経営計画のタイトルであります、「デザインの松屋」という考え方について、簡単にご説明いたします。まず、今回の中計の策定にあたり、当社が実現したいことを明らかにいたしました。それは「デザインによる、豊かな生活。」です。そして、それを実現するために果たすべき使命と、日々の業務における行動指針などをここで定めました。

「デザインの松屋」とは、それらの思いを凝縮させた言葉であると同時に、「デザインによる、豊かな生活。」の実現を推し進めていくための、コミュニケーションワードでもあります。なお、「デザイン」とは狭い意味から広い意味まで、さまざまな使われ方をする言葉ですが、当社がここで言います「デザイン」とは、こちらに書いていますとおり、「気遣い」でございます。この考えを持って営業活動を行っていくことで、ブランド力を高めていきます。

そして、ブランド力の向上が顧客からの支持の獲得につながり、その支持が、長期的な売上を高めていくことにつながると考えています。

ストアコンプセフト

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また中計のスタートを機に、銀座店のストアコンセプトを刷新しました。新たなストアコンセプトは「GINZA GOOD ANSWERS」です。銀座店は、銀座にあります松屋ならではの視点で、優れたデザインをもって暮らしを豊かにする回答を、お客さまにご提供していく百貨店を目指していきます。浅草店につきましては、「MY TOWN,MY STORE」と方向性は変わらず、目指す店づくりの考えを明確にしました。

Ⅴ.デザインによる、豊かな生活。 実現のための 重点施策

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さて、ここからは中計で重点的に取り組む施策、すなわち、先ほど申し上げました「デザインによる、豊かな生活。」を実現するための重点施策を、5つご説明申し上げます。

Ⅴ.デザインによる、豊かな生活。 重点施策①

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まず、1点目は顧客ロイヤリティ経営の実践です。まず、顧客からのロイヤリティ、すなわち愛着などを得ることで、「熱烈な松屋ファン」を増やすことを目指します。そして「熱烈な松屋ファン」がもたらしてくれる、安定的な売上の確保と増加に努めます。具体的に、先ほども出てまいりましたけれども、「NPS®(Net Promoter Score)」という売上などの経済的な結果と相関があると言われています、顧客ロイヤリティを測る調査の結果を基にして、課題の把握と改善に努めていきます。

また、社内で「顧客の進化プロセス」と呼んでいます、顧客との関係性の深さを軸としました、顧客区分とそれぞれの区分に対応する施策の考え方に基づいて顧客政策を進めますが、とくにカード政策の改善に着手することで、ロイヤリティ経営を推進していきます。

Ⅴ.デザインによる、豊かな生活。 重点施策②

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次に、創業150周年を機に組織化しました「150プロジェクト」の活動を通じて、松屋の強みでありますデザインを磨き上げていきます。このプロジェクトを通じて、接客力の向上や店内環境の改善、また、150周年を記念したプロモーション活動などを行っていきます。中でも、当社が60年以上にわたってサポートをし続けてきました、日本のデザイン界をリードします団体・日本デザインコミッティーと共同して、優れたデザインの啓蒙活動にも取り組みます。

こちらの企画展の概要につきましては、お手元の画像資料の最後の部分をご参照ください。

Ⅴ.デザインによる、豊かな生活。 重点施策③

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次に、オンラインでも、店舗や事業所などのオフラインでも、デジタル技術の活用を進めていきます。具体的には、Webサイトを一部リニューアルして情報発信を強化したり、松屋独自の特別な紳士パターンオーダースーツを提供する、「マツヤメンズクラブ」の会員を対象に、ワイシャツなどのEC販売をスタートさせることを計画しています。

その他にも、決済環境のインフラを整備することで顧客の利便性を高めたり、社員間のコミュニケーションの効率化も図ることを、デジタル技術を活用していきます。

Ⅴ.デザインによる、豊かな生活。 重点施策④

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店づくりとMDにつきましては、とくに銀座にふさわしい、独自性の高い売り場に投資していきます。松屋の強みであります、ラグジュアリーな品揃えをさらに充実させ、美や睡眠、さらにはスポーツに着目した売場も強化していきます。また、この春から本格的にスタートさせました、女性向けの「ファッションコンサルティングサービス」や、先ほどお話ししました「マツヤメンズクラブ」を通じて、商品のカスタマイズやコンサルティング販売を強化することによって、増収を目指していきます。

Ⅴ.デザインによる、豊かな生活。 重点施策⑤

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2点目はインバウンドです。従来どおり、何よりもまず、日本のお客さまからご支持いただける店づくりや品揃えを追求していきます。そして、そのことが結果として、海外のお客さまを惹きつけることにつながっていきます。その上で、海外からのお客さまの増加と多様化にしっかりと対応するために、受入態勢を整備するとともに、海外の富裕層の誘致やリピーターの獲得に取り組んでいきます。

Ⅴ.デザインによる、豊かな生活。 重点施策⑥

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3点目は、文化催事を中心としましたコンテンツ事業の拡大です。コンテンツ事業は前中計の期間中に、全国の百貨店や美術館などへの拡大路線を築き、売上を大きく伸ばしてきました。いわゆる「コト消費」につながるコンテンツ事業は、全国から開催の要望がありますので、新たな有力コンテンツの開発に取り組みながら外部展開を拡大してきます。

一方、松屋内で開催しています文化催事は、売上の獲得のみならずテレビやSNSで情報が広がることによって、宣伝と集客にも大きく寄与しています。さらに松屋の独自性が発揮でき、ブランディングにも寄与していますので、今後も一層事業の充実を図っていきます。

Ⅴ.デザインによる、豊かな生活。 重点施策⑦

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4点目は、売上の拡大を図る一方で利益と生産性を高めるために、改めて、売場の運営体制や催事の開催なども再考していきます。

そして最後の5点目は、グループ会社の体質改善です。飲食業のアターブル松屋グループは、社員食堂などを運営する、フードサービス事業の黒字化が見えてきましたので、引き続き利益の最大化を目標に定めて、外部コンサルタントとともに全社を挙げたプロジェクトをスタートさせ、婚礼宴会事業の損益改善に取り組んでいます。

また、ビル総合サービスおよび広告業のシービーケーは、デザイン力・クリエイティブ力の強化を図り、外部売上の拡大に努めていきます。以上が重点政策のご説明です。

Ⅵ.数値計画

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次に、数値計画をご説明いたします。中計の最終年度2021年度の計画は、連結売上高が950億円、連結営業利益が24億円です。売上につきましては、免税は中国の景気動向など外的要因に左右される可能性があるため、堅めに想定していますが、重点施策でご説明しましたような取り組みによって増収を目指します。営業利益につきましては時価の上昇に伴い、固定資産税が毎年約1億円ずつ、3ヶ年にわたって増加する見込みでありますが、生産性を上げたり構造を改善するなどによって増益を目指します。

グループ各社も利益の増加を図る計画にあり、連結の売上高は2018年度に対し、約3割の増益となる24億円を目指します。連結設備投資額は、売場のリニューアル・施設の改善・IT関連などに55億円を計画しています。連結ROEは6パーセント以上を目標として設定していますが、業績を向上させることによって、ROEのさらなる向上を目指します。

Ⅶ.資本政策等について

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加えて、資本政策におきましては、安定的な配当を継続することを基本方針としながら業績や財務の安定性を鑑みつつ、株主還元の強化を行います。今期につきましては年間1円の増配と、加えて、期末に創業150周年の記念配当1円を実施し、年間8円とする予定です。

また、この春に新たに「環境マネジメント部」を組織化し、より環境に配慮した企業活動を行っていくことに加えまして、引き続き「コーポレートガバナンス・コード」に沿った取り組みを進めていくことによって、企業価値の一層の向上に努めていきます。中計のご説明は以上です。

2020年2月期 業績予想(連結)

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続きまして、2020年度の2月期の通期の連結業績予想についてご説明いたします。売上高につきましては940億円、前期比プラス1.6パーセントの増収の計画です。また営業利益は21億円、経常利益は20億円、当期純利益は15億円と、各利益段階とも増益を見込んでいます。

2020年2月期 業績予想(単体)

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なお単体の業績予想ですが、銀座店の売上高は795億円のプラス1.6パーセント。浅草店はほぼ横ばいの55億円。両店計では850億円の、プラス1.4パーセントの増収を見込んでいます。また営業利益は20億円、経常利益は19億円、当期純利益は14億円と、当期は営業費用などの増加が見込まれることから、単体では各利益段階において若干の減益を見込んでいます。

ご説明は以上となりますが、当社は独自性を高め、ブランド力を上げていくことで、長期的な売上の向上を図る一方で、「熱烈な松屋ファン」がもたらしていただける、安定的な売上をさらに増加させることなどによって、盤石な営業基盤を築き上げることに取り組んでまいります。ご清聴ありがとうございました。

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