2019年4月24日に行われた、キッコーマン株式会社2019年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:キッコーマン株式会社 代表取締役社長/CEO 堀切功章 氏
キッコーマン株式会社 常務執行役員/CFO 神山隆雄 氏

〔1〕-1. 通期実績 連結計P/L(対前年実績)

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神山隆雄氏:私からは、2018年度の業績と2019年度の業績予想を報告させていただきます。

こちらのスライドは、2018年度の実績を対前年同期と比較しております。増減の内訳欄は海外子会社を連結する際に発生する為替換算差と、それを除いた実質増減差を表示しております。ドルの期中平均レートは前年とほぼ同じレート、ユーロは1円ほど円高になっております。

売上高は4,536億円、前年比較で表面上230億円の増収、実質249億円プラス5.8パーセントの増収となっております。売上の内、海外が2,730億円で60パーセントの構成比となっております。

営業利益は384億円、表面上19億円の増益で、実質21億円の増益となっております。営業利益の内、海外が271億円で71パーセントの構成比となっております。

親会社株主に帰属する当期純利益はアメリカの法人税の減税の効果もありまして、前年から21億円増加し260億円となりました。

結果、売上は2期連続で過去最高、営業利益は5期連続の最高益。経常利益・当期利益は6期連続の最高益とすることができました。

〔1〕-2. 通期実績 国内売上高(対前年実績)

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続きまして、売上高の国内外のセグメントについてご説明いたします。

国内事業の売上高は1,838億円でプラス24億円、プラス1.3パーセントの増収となりました。しょうゆ部門は生しょうゆ「いつでも新鮮」シリーズが引き続き順調に伸びましたが、スタンダード品のペットボトルや加工・業務用が前年を下回り、全体としては4億円の減収となっております。

食品部門は、しょうゆ関連調味料が好調に推移し、13億円の増収となりました。

飲料部門は、豆乳飲料・デルモンテ飲料ともに順調で30億円の増収となっております。

また、その他の事業ではバイオ事業の臨床診断薬や衛生検査薬・ヒアルロン酸等が伸び、その他事業全体で3億円の増収となっております。

〔1〕-3. 通期実績 海外売上高(対前年実績)

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海外事業の売上高ですが、実質で228億円プラス、9パーセントの増収となりました。実質で北米では7パーセント、欧州では13.3パーセント、アジア・オセアニアは8.3パーセントの増収となっております。

〔1〕-4. 通期実績 連結営業利益(対前年実績)

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営業利益は実質21億円、5.7パーセントの増益。国内で5億円、海外で15億円の増益となっております。

〔1〕-5. 国内営業利益の主な増減要因

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国内事業の営業利益は119億円から124億円と、5億円の増益となりましたが、その内容をグラフで示しております。

売上増および体質強化により、18億円の増益となっております。一方で、原材料・運送費等の価格上昇により9億円のコスト増があり、また広告宣伝費・減価償却費の増加、諸経費の減少等合計で4億円ほどの固定費が増加しております。

〔1〕-6. 海外営業利益の主な増減要因

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海外事業の営業利益は258億円から271億円と、14億円の増益でしたが、その内容をこちらのグラフで示しております。

売上増加により55億円の増益。減益要因としては、原材料や運送費、卸売事業の仕入れ価格など原材料関係の価格上昇の影響が12億円。また、食料品卸売事業の販管費の増加が24億円。製造固定費等で3億円の減益要因となっております。また、海外事業の円換算による為替差が2億円ほど減益要因となっております。

〔1〕-7. 連結貸借対照表 増減明細

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次に、貸借対照表の増減についてご報告いたします。

2018年度末の総資産は3,621億円で、前期比末から為替の影響15億円を除いた実質で167億円増加しております。

資産側では現預金の増加、売掛金の増加等により流動資産が119億円の増加。それから、設備投資の増加にともなう固定資産の増、また投資有価証券の市場価格下落や売却等による減もありまして、固定資産は全体で48億円増加しております。

負債純資産側では、自己株の消却により純資産その他が305億円増加しております。一方、利益剰余金が127億円、自己株の消却等もあり減少し、結果純資産が161億円増加しております。

〔1〕-8. 連結キャッシュ・フロー

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続きまして、キャッシュ・フローの状況でございます。

営業キャッシュ・フローが370億円創出され、固定資産の取得・売却を除いたフリー・キャッシュ・フローで103億円のプラスとなっております。

投資キャッシュ・フローが257億円のマイナスとなっておりますが、これは主に設備投資の増加により、例年より投資キャッシュ・フローは増えております。

国内では、研究活動の充実を目的とした新しい研究棟を建設しております。また、豆乳の増産投資、製造工場への生産性の向上投資などもあります。また、野田駅前を野田市が再開発をしておりまして、この設備が移転せざるを得なくなったこともありまして、移転工場などによる増加。また、老朽化した設備の更新なども行っておりますので、全体として昨年の投資は多くなっております。

海外でも、アメリカの卸売事業の事業拡大にともなう物流倉庫の増強投資や米国欧州のしょうゆの増産投資など、事業拡大にともなう設備投資が多くなっております。このへんが、キャッシュ・フローの状況でございます。

〔2〕-1. 連結業績予想 予想の前提条件

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続きまして、業績予想についてご説明させていただきます。

業績予想にあたっての前提条件は、スライドのとおりであります。為替は1ドル110円、ユーロ125円を前提にしております。原材料等の影響は原油高による運送費やユーティリティ、包装材料の価格上昇、大豆・小麦・トマトペーストの価格上昇により、全体で6億円の費用増加を予想しております。

〔2〕-2. 通期業績予想 連結計P/L(対前年実績)

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こちらのスライドは、2019年の業績予想と2018年の実績差異を示したものであります。

売上高は4,735億円、表面上199億円の増収。為替差の影響30億円を除いて、実質230億円の増収を予想しております。営業利益は397億円、表面上13億円の増益、実質17億円の増益でございます。経常利益は389億円、親会社株主に帰属する当期純利益は269億円と予想しております。

〔2〕-3. 通期業績予想 国内売上高(対前年実績)

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このあと、売上高・営業利益の国内外のセグメントについてご説明いたします。国内事業の売上高は食品で22億円、飲料で28億円を中心に、55億円の増加を予想しております。

〔2〕-4. 通期業績予想 海外売上高(対前年実績)

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海外事業の売上高は、実質で176億円の増収を予想しております。

〔2〕-5. 通期業績予想 連結営業利益(対前年実績)

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次に、営業利益の予想でございます。

国内は売上増および体質改善効果により、増益効果が26億円を見込んでおりますが、一方で原材料単価の5億円増加を予想しております。また、広告宣伝費の増加を3億円、設備投資の増加による償却費の増加が6億円、その他固定費の増加で11億円を予定しており、国内全体では1億円の増益を見込んでおります。

海外は、売上増加による63億円の増益効果を見込んでおり、一方で原材料価格等の上昇を1億円と予想しております。広告宣伝費等で2億円の増、販売費・一般管理費で33億円の増、製造固定費で6億円の増加を予定しており、海外全体で18億円の増益を見込んでおります。

持株会社セグメント間消去の減益の6億円は、新しい研究棟設備の建設にともなう設備等の増加や、企業広告の宣伝費の増加などによるものでございます。

以上で、私の説明を終わらせていただきます。

中期経営計画 連結業績目標と進捗

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堀切功章氏:堀切でございます。私からは、2018年度に始まった中期経営計画の進捗についてご説明を申し上げます。

まず、中期経営計画の連結業績目標は、ご覧のスライドのとおりでございます。2020年度で売上高が5,000億円、営業利益が450億円、営業利益率が9パーセント、ROEが10パーセント以上でございます。

なお、為替は1ドル105円・1ユーロ130円を前提としております。2018年度の実績と2019年度の業績予想は、先ほど神山からご説明いたしましたとおりでございます。引き続き、中期経営計画の目標達成に向けて、取り組みを進めてまいる所存でございます。

セグメント別ブレイクダウン

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セグメント別のブレイクダウンは、こちらのスライドおよびお手元の資料のとおりでございます。

中期経営計画 グループ重点課題

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中期経営計画のグループの全体課題は、収益力強化と成長継続として高付加価値化の推進、生産性の向上、新たな柱の構築を重点課題としております。

それでは、海外・国内各事業の進捗についてご説明いたします。

海外しょうゆ事業 目標と進捗①

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ご覧のスライドは、海外しょうゆ事業の中期経営計画における売上高目標と進捗を、現地通貨ベースの指数で表したものであります。

海外しょうゆ事業の現地通貨ベースでの売上高の年平均成長率は、北米では5パーセント、欧州では10パーセント。アジア・オセアニアでは、とくにASEANで2桁成長を目標としております。2018年度の実績は、海外しょうゆ事業全体として5パーセントの伸びとなりました。

海外しょうゆ事業 目標と進捗②

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続いて、各地域における取り組みをご説明いたします。

北米では、しょうゆの未使用層の開拓に加え、消費者の健康志向を受け、減塩あるいはグルテンフリー等の高付加価値商品を拡大させるなど、既存ユーザーの振興も進めてまいります。

加工・業務用では、ユーザーのニーズに対してきめ細かく対応するなどの取り組みを強化しております。

欧州では、テレビCMやインターネット広告、店頭販促を通じた本造譲しょうゆの認知度向上・ブランド力の強化に加え、商品ラインアップの拡充。各国の嗜好に合わせたレシピ開発に取り組んでおります。

アジア・オセアニアでは、ASEANにおいては国ごとの嗜好・食材等にあった新商品・レシピ開発などに取り組み、中国ではキッコーマンしょうゆの高い品質を訴求するマーケティング活動を行っております。

東洋食品卸事業 目標と進捗

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東洋食品卸売事業では、新拠点展開の継続と既存拠点の整備・体制強化を図り、各地域での持続的な成長を目指してまいります。現地通貨ベースでの売上高成長目標は、東洋食品卸売事業全体で年平均8パーセントとしております。

2018年度は各地域に展開した拠点の体制整備を進め、物流体制の強化、商品調達力の強化に取り組んでまいりました。この結果、各地域で売上を伸ばし、東洋卸売事業全体として11パーセントの伸びとなりました。

国内事業 目標と進捗

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続いて、国内事業でございます。中期経営計画における国内事業の目標と進捗は、ご覧のスライドのとおりでございます。

売上高成長は年平均3.6パーセント、営業利益率は8パーセントを目標としております。2018年度の実績・2019年度の予想は、先ほどCFOからご説明をしたとおりでございます。目標達成に向けて、引き続き取り組みを進めてまいります。

国内事業 増減益要因・主な施策

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中期経営計画における、国内事業の増減益の内訳と要因・主な施策は、ご覧のスライドのとおりでございます。目標達成に向けて、「いつでも新鮮」シリーズをはじめとする高付加価値商品の拡大、豆乳事業の成長を中心に、引き続き努力を続けてまいります。

国内事業 取り組み①

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続いて、これらの取り組みについて説明をいたします。

高付加価値商品の拡大の取り組みとして、しょうゆとしょうゆ関連調味料については、まず「いつでも新鮮」シリーズのラインアップの拡充や減塩・低塩商品の強化に取り組んでまいります。

また、しょうゆにつゆ・たれを含めた「広義のしょうゆ」の拡大を目指し、家庭用では「発酵だし」など当社独自の素材や、関連性などの付加価値を訴求する商品の開発、テレビCMなどを通じた消費者とのコミュニケーション強化を進めております。

また、加工・業務用では、ソリューションの提案や減塩等のニーズにお応えする取り組みや、商品開発・営業体制の強化を進めております。

国内事業 取り組み②

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デルモンテ調味料および飲料については、デルモンテブランド横断で「リコピンリッチ」シリーズの拡大に取り組んでおります。トマトケチャップ、トマト飲料以外の商品へとシリーズを広げるとともに、継続的なテレビCMなどにより需要喚起を図ってまいります。

そのほか、デルモンテ調味料は健康、簡便などの付加価値を高めた商品の開発。飲料はスタンダードの無塩トマトジュース・野菜ジュースを機能性表示食品としたほか、小型容器や新たな市場への取り組みを進めております。

国内事業 取り組み③

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そして豆乳でございますけれども、差別化された商品展開を進めるとともに、テレビCMによるプル戦略、ホームページやSNSを通じた情報発信や販促活動を通じて、さらなる需要の喚起に取り組んでまいります。

こうした取り組みの結果、引き続き市場は拡大し、当社の売上は8パーセントの伸びとなりました。

財務戦略

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最後に、財務戦略について確認いたします。

中期経営計画の3年間で創出される営業キャッシュ・フローは、約1,200億円を見込んでおります。株主還元については、連結配当性向の目標を30パーセント以上としつつ、安定的な配当を継続してまいります。

自己株式取得については、資金需要や市場環境を踏まえながら、機動的に実施したいと考えております。

設備投資は、成長分野への積極投資を中心に約650億円を見込んでおります。

さらに、事業ポートフォリオを強化するため、新規事業投資に積極的に取り組んでまいります。

以上で、私の説明を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

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