株価が大幅に下落したとき、「今がチャンス」とばかりに追加の資金を投入し、大やけどをしてしまう個人投資家がいます。「落ちてくるナイフをつかむな」とは昔からある投資の格言ですが、なぜ人は、特に個人投資家は「落ちてくるナイフ」をつかみ、怪我をしてしまうのでしょうか。
損失を取り戻そうとする
株価の急落局面で入る個人投資家の買いは、いわゆる「ナンピン買い」に近い発想だと思います。
一般的に個人は常に買いポジションを持っています。手元にあるだけの現預金を株に投資をしているという人も多いでしょう。少し投資に慣れると、配当を貰えない現預金で置いておくのは損、という発想になりますから。
そうやってポジションを取っていると、株価が上昇する局面では良いのですが、下落すると当然含み損が出ます。自分の損失を認めたくないので、わずかでも資金に余力があればここで追加の買いを入れてしまいます。
2万円で「まだ上がる」と判断した株価が1万8千円になったのだから、買わない理由はないとばかりに。
これがナンピン買いです。心理学的には、利益を出した喜びよりも損失を出した悔しさの方が2倍くらい大きいと言われていますから、10%利益を出してから10%損失を出しても、やはり買い増したくなるインセンティブが働くということですね。
そうして、株価の下落局面で買いのフルポジションを持つことになります。
投資余力としての現金を残していない
個人投資家は機関投資家とは異なり、明確な投資ポリシーを持っていませんから、手元の現預金を何割以上残さないといけないとか、債権に何割投資しないといけないとかいう決まりはありません。