住民税非課税世帯に該当すると、社会保険料の減免や教育費支援など、家計を助けるさまざまな優遇措置を受けられます。

しかし、住民税非課税世帯とは具体的に年収がいくらから該当するのか、わからない方もいるでしょう。

本記事では、住民税非課税世帯になる要件を解説するとともに、住民税非課税世帯が対象の優遇措置を5つ取り上げてご紹介します。

毎年1人あたり1000円、住民税と一緒に集められている「森林環境税」についても解説しますので参考にご覧ください。

1. 住民税非課税世帯とは?該当する要件もチェック

住民税非課税世帯とは、世帯全員の住民税が非課税である世帯のことです。

住民税は「均等割」と「所得割」で構成されていて、森林環境税は「住民税と一緒に集められている別の税金」です。

1.1 【毎年1人あたり1000円】住民税と一緒に集められている「森林環境税」ってなに?

森林環境税及び森林環境譲与税2/4

森林環境税及び森林環境譲与税

出所:総務省「森林環境税及び森林環境譲与税」

森林環境税の概要と徴収の仕組み

森林環境税は、国内に住所を持つ個人を対象に課税される国税です。

各市区町村が住民税の「均等割」と一括して、1人あたり年額1000円を徴収する仕組みをとっています。

こうして集められた税収の全額は、「森林環境譲与税」として、国を通じて全国の都道府県や市町村へと配分(譲与)されます。

制度創設の背景にある「森林の課題」

森林には、災害から国土を守る保全機能をはじめ、水源の維持、地球温暖化の防止、生物多様性の保護など、人々の暮らしを支える多面的な役割があります。

しかし現状は、林業の担い手不足や、所有者・境界が分からない土地の増加などにより、適切な管理や整備に支障をきたすケースが少なくありません。

森林の機能を十分に発揮させるためには、各自治体による間伐などの適切な整備が不可欠です。

こうした背景に加え、国際的な環境枠組み(パリ協定)の目標達成に向け、地方自治体が安定的に独自の環境対策を行えるよう、財源確保の手段として本制度が創設されました。

集まった税金の具体的な使い道

地方自治体に配分された森林環境譲与税は、法律に基づき、主に以下の用途に充てられます。

  • 市町村における使い道: 実際の間伐や森林整備、およびそれらを促進するための関連費用
  • 都道府県における使い道: 現場で森林整備に取り組む管内の市町村への支援・サポートに関する費用

このように、私たちが納める税金は、地域の環境保全や持続可能な森林づくりを支える財源として直接活かされる仕組みとなっています。

なお、住民税(均等割・所得割)が非課税になる人は、森林環境税も自動的に非課税(免除)になるという仕組みになっています。

1.2 住民税非課税世帯とは?

世帯の中で一人でも住民税が課税されている人がいる場合は、住民税非課税世帯に該当しません。

住民税は地方税であり、非課税になる要件は自治体ごとに決められています。

例えば、東京都23区の場合は、以下のいずれかの要件を満たした場合に住民税が非課税になります。

  • 生活保護法による生活扶助を受けている
  • 障害者・未成年者・ひとり親・寡婦(夫)で、前年の合計所得が135万円以下
  • 前年の合計所得が以下の金額以下
    ・生計を一にする配偶者や扶養親族がいる場合:35万円×(本人+配偶者・扶養親族の人数)+31万円
    ・生計を一にする配偶者や扶養親族がいない場合:45万円以下

お住いのエリアの要件については、自治体の公式サイトや担当窓口などで確認してみましょう。

では、住民税が非課税になる給与・年金年収の目安はいくらでしょうか。

2. 住民税が非課税になる給与・年金年収の目安はいくら?

住民税の課税対象になるか否かの基準は、生計を一にする配偶者や扶養親族の人数だけでなく、収入の種類によっても異なります。

ここでは例として、大阪市の給与年収・年金年収それぞれの場合の、住民税が非課税になる収入の目安を紹介します。

2.1 【単身世帯の場合】

単身者の場合は、収入が次の金額以下となる場合に住民税が非課税になります。

  • 給与収入のみ:110万円以下
  • 年金収入のみ:155万円以下(65歳以上※)
  • 年金収入のみ:105万円以下(65歳未満※)

2.2 【配偶者・扶養親族がいる場合】

生計を一にする配偶者や扶養親族がいる場合は、以下の金額を下回ると非課税になります(本人+配偶者の場合)。

  • 給与収入のみ:166万円以下
  • 年金収入のみ:211万円以下(65歳以上※)
  • 年金収入のみ:171万3334円以下(65歳未満※)
    前年の12月31日時点

例えば、65歳以上で年金収入のみの場合、単身世帯であれば155万円以下が目安ですが、配偶者や扶養親族がいる場合は211万円以下が目安です。

扶養親族が増えるほど、基準となる金額は高額になります。

住民税非課税世帯に該当すると、さまざまな優遇措置を受けられます。具体的な優遇内容について、次章で確認していきましょう。

3. 住民税非課税世帯が対象の優遇措置5選

住民税非課税世帯が受けられる優遇措置は、社会保険料の負担軽減や子育て・教育費の支援など多岐にわたります。

その中で、主な5つの優遇制度をピックアップしてご紹介します。

3.1 国民年金保険料の減免・猶予制度

本人や世帯主、配偶者の前年所得が一定額以下の場合など、国民年金保険料を納めることが難しいときは、保険料納付の減免・免除を受けられます。

免除の種類は、全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除の4つです。

また、本人・配偶者の前年所得が一定額以下の20歳以上50歳未満の方は、保険料の納付猶予を受けられます。

保険料の全額免除となった期間は、老齢年金を受給する際に、全額納付した場合の年金額の2分の1(税金分)を受け取ることが可能です。

仮に手続きを取らず未納となった場合、2分の1(税金分)は受け取れないため、忘れずに申請しましょう。

3.2 国民健康保険料の減免制度

前年所得が一定基準以下の世帯は、国民健康保険料の均等割額が減免される制度があります。

国民健康保険料の減免制度3/4

国民健康保険料の減免制度

出所:厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」

国民健康保険料は応能分(所得割・資産割)と応益分(均等割・世帯割)で構成されており、住民税非課税世帯など前年所得が一定基準以下の世帯は、このうち応益分が減免対象となります。

減免割合は、前年の所得や被保険者の人数によって、7割・5割・2割のいずれかです。

なお、子育て世帯の経済的負担を軽減することを目的として、令和4年4月から未就学児の均等割保険料の5割が公費負担されています。

3.3 介護保険料の減免

介護保険料は、世帯の課税状況や前年所得などにより段階が決められ、住民税非課税世帯に該当すると、基準額よりも減額された金額になります。

減免対象となる基準は自治体により異なるうえ、生活の困窮状況によっても減額幅が異なるため、詳しくは自治体の介護保険担当窓口で確認してください。

3.4 保育料の無償化

令和元年10月からの幼児教育・保育の無料化により、幼稚園や保育園、認定こども園などに支払う保育料は、3歳から5歳までの子どもは無償化されています。

0歳から2歳までの子どもは、通常は有料になりますが、住民税非課税世帯に該当すれば無料で預けられます。

ただし、認可外保育施設等の利用料については、国の制度として「0歳から2歳までの住民税非課税世帯の子どもは月額4.2万円まで無料」と明確に一律の上限額が定められています

3.5 高等教育の修学支援新制度

学ぶ意欲がある子どもが家庭の経済的な事情に関わらず進学できるように、「高等教育の修学支援新制度」が設けられています。

所定の要件に該当すれば、授業料・入学金の免除または減額が受けられるほか、返還不要の給付型奨学金を受けることも可能です。

高等教育の修学支援制度の支援額4/4

高等教育の修学支援制度の支援額

出所:文部科学省「高等教育の修学支援新制度(高校生リーフレット)」

例えば、住民税非課税世帯の場合で私立大学に進学する場合、入学金26万円、授業料70万円が免除されます。

また、給付型奨学金として、自宅通学で46万円、自宅外通学で91万円が支給されます。

4. おわりに

住民税非課税世帯とは、世帯全員の住民税が非課税である世帯のことをいい、その要件は自治体ごとに決められています。

住民税非課税世帯に該当すると、国民健康保険や国民年金保険などの保険料の納付が免除・減額されたり、保育料の無償化や大学などへの進学費用の支援が受けられたりします。

少しでも経済的な余裕を持てるよう、該当する制度はもれなく活用しましょう。

各優遇制度の詳しい要件や概要は、お住いの自治体の担当窓口で確認してください。

「大学などへの進学費用の支援(高等教育の修学支援新制度)」については、制度の詳しい内容の確認や実際の申し込みは、自治体ではなく在学中の高校や進学先の大学などの「学校」(および日本学生支援機構:JASSO)を通じて行います。

参考資料