新年を迎え、寒さも本格的になる1月。将来のお金について考える機会も増えるのではないでしょうか。
病気やけがで生活に支障が出た場合に支えとなる「障害年金」ですが、「実際いくらもらえるの?」「他の年金と一緒にもらえる?」といった疑問を持つ方もいるかもしれません。
今回は、日本年金機構の最新データをもとに、障害年金の支給額や65歳からの併給ルール、更新制度について詳しく解説します。
公的年金制度には、病気や障がいによって生活が困難になった人々を支援するための「障害年金」があります。この記事では、日本年金機構が公開している最新情報に基づき、令和7年度における障害年金の支給見込み額、65歳からの他の年金との併給に関するルール、そしてあまり知られていない更新の仕組みについてご説明します。
1. 障害年金と障害年金生活者支援給付金、合計でいくら受け取れるのか
障害年金は、加入している公的年金制度によって「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類に大別されます。
会社員や公務員は両方の対象となる可能性がありますが、自営業者などは障害基礎年金が基本です。障害の等級によっても受給できる年金が異なります。
年金額は物価や賃金の変動に合わせて毎年改定されますが、令和7年度の具体的な支給額はどのくらいになるのでしょうか。障害基礎年金と障害厚生年金、それぞれの金額を確認していきます。
1.1 障害基礎年金の支給額について
令和7年4月分からの障害基礎年金は、1級が年額103万9625円、2級は年額83万1700円となります。ただし、一部対象者はそれぞれ103万6625円、82万9300円です。
生年月日が昭和31年4月2日以降かどうかで、支給額がわずかに異なります。また、扶養している子がいる場合には子の加算があり、2人目までは1人あたり23万9300円、3人目以降は1人あたり7万9800円が上乗せされます。このように、障害等級や家族の状況によって受け取る金額が変わる仕組みです。
1.2 障害厚生年金の支給額について
令和7年4月分からの障害厚生年金は、主に会社員や公務員が対象です。年金額の基本となるのは、厚生年金の加入期間やその間の収入に応じて計算される「報酬比例部分」です。
障害等級1級の場合、報酬比例部分の1.25倍の額が支給され、さらに配偶者がいる場合は「配偶者加給年金」として年額23万9300円が加わります。2級も同様に配偶者加給年金が適用されます。3級は報酬比例部分のみの支給ですが、年額62万3800円(一部対象者は62万2000円)の最低保障額が設けられています。
もし障害の状態が3級の基準に満たない場合でも、一定の障害が残ったときには、一時金として「障害手当金」が支給されるケースもあります。
1.3 障害年金生活者支援給付金:1級と2級の金額差
障害年金生活者支援給付金は、2019年の消費税率引き上げに合わせて創設された制度で、物価上昇に対応し、所得が低い方の生活を支援する目的があります。障害基礎年金の受給者で、所得が一定の基準を下回る場合に、年金に加えて支給されます。
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月額支給額の目安(障害等級別)
- 障害等級1級:月額6813円
- 障害等級2級:月額5450円
このように、給付金の月額は障害等級に応じて設定されています。一例として、扶養家族がおらず所得要件を満たす障害等級1級の方が、障害基礎年金とこの給付金を両方受け取る場合、年間の受給総額は約112万円になります。
2. 障害年金と他の年金との「併給は可能?」65歳からの受け取り方
障害年金を受け取っていると、「将来、老齢年金も一緒にもらえるのだろうか」と疑問に思う方もいるでしょう。原則として65歳になるまでは、障害年金か老齢年金のどちらか一方を選択して受給します。しかし、65歳以上になると特定の組み合わせで両方の年金を同時に受け取れる特例があります。
2.1 ケース1:障害基礎年金と老齢厚生年金の組み合わせ
65歳以降に老齢年金の受給資格を得た障害基礎年金の受給者は、「障害基礎年金」と「老齢厚生年金」を併給することが可能です。
この特例は、1階部分を障害基礎年金、2階部分を老齢厚生年金として受け取る形です。老齢基礎年金と障害基礎年金のように、同じ基礎年金を同時に受け取ることはできません。
2.2 ケース2:障害基礎年金と遺族厚生年金の組み合わせ
障害基礎年金を受給している方が遺族厚生年金の受給要件を満たした場合も、「障害基礎年金」と「遺族厚生年金」を同時に受け取ることが認められています。
どの組み合わせが最も受給額上有利になるかは、個人の状況によって異なります。
- 障害の等級
- 厚生年金の加入期間
- 家族構成(遺族年金の有無など)
といった要素が影響するため、65歳を迎える前に年金事務所で相談してみるのがよいでしょう。
3. 障害年金の更新制度:新規裁定の約6割が3年以内に再審査
障害年金には、最初に受給資格を決定する「新規裁定」と、その後の受給継続を審査する「再認定」の2つの段階があります。一度受給が決定しても、自動的に生涯続くわけではありません。原則として数年ごとに診断書を提出し、症状の状態を確認する再認定を受ける必要があります。
3.1 新規裁定時における更新期間:「3年以内」が多数
新規裁定で初めて受給が認められると、次回の診断書提出時期として更新期間が指定されます。症状が固定しており、将来的な回復が見込めないと判断された場合は「永久固定」となり、更新が不要になることもあります。
日本年金機構が公表している『障害年金業務統計(令和6年度決定分)』によれば、新規裁定の約6割は更新期間が2~3年に設定されています。これは、障害の状態が変化する可能性を考慮し、比較的短いスパンでの確認が必要とされているためです。
3.2 再認定時における更新期間:「5年更新」と「永久固定」が半数
一方で、再認定の段階では、更新期間が5年または永久固定となるケースが合計で約5割にのぼります。受給を続ける中で症状が安定したと判断されると、更新期間が延長されたり、永久固定に切り替わったりすることがあります。反対に、症状の変化が見込まれる場合は、短い更新期間が設定されます。
このように障害年金は、受給者の状態に応じて更新のタイミングが見直されるため、必ずしも「一度受給が決まれば生涯安泰」というわけではない制度です。
4. まとめ:障害年金制度を理解し、将来に備える
今回は障害年金の支給額や併給のルール、更新制度について解説しました。
障害年金は、障害基礎年金と障害厚生年金の2階建て構造で、令和7年度の支給額も決まっています。また、65歳以上になると老齢年金や遺族年金との組み合わせで受給できる特例がありますが、受給資格は定期的な再認定で確認されるため、必ずしも生涯もらえるとは限りません。
特に新規で受給が決まった方の約6割は、3年以内に再審査が必要とされています。この記事をきっかけに、公的な支援制度への理解を深め、万が一の事態に備える一助としてみてはいかがでしょうか。自分や家族の生活を守るためにも、正しい知識を身につけておくことが大切です。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
- 日本年金機構「パンフレット 知っておきたい年金のはなし」
- 日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」
- 日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度 特設サイト」
- 日本年金機構「障害年金ガイド 令和7年度版」
- 日本年金機構「障害年金業務統計(令和6年度決定分)」
- LIMO「【再来月2月に支給】障害年金と障害年金生活者支援給付金「合わせていくら?」《併給》障害年金と他の年金「65歳から両方もらえる?」 一生もらえるとは限らない!新規裁定の約6割「3年以内の再審査」が必要」
村岸 理美







