ちょうどその頃、安い塾をやめて入会した生徒がいたので私の疑問をぶつけました。するとその子は「使用している教材があまりにも簡単すぎたのでやめた」と答えました。
難しい教材を扱うには、先生たちの予習や研修が必須です。筆者自身、必ず予習をして授業に臨んだのですが、その子が通っていた塾ではそういった必要もないほど、簡単な問題を取り扱っていたようです。
ただし、安い塾=簡単という考えは安直すぎるので、全てに当てはまるわけではありません。どんな塾でも、子供のレベルに見合っていない塾に通わせるとお金の無駄になります。日頃から子供のことを観察して、ふさわしい塾を見つけるようにしましょう。
講師の研修や適性検査の費用
筆者が仕事をしていた頃は、ちょうどゆとり教育からその反発が出始めてきた激動の時期で、教育熱の高い親と一般家庭の親との温度差を講師の間で確認し合ったり、話し合ったものです。
仕事をしていた2000年代後半、勤めていた塾では先生全員が適性検査を受けることになりました。塾の仕事は子供の教育を扱うので人格や法律に関する知識を厳しくチェックするため、との説明を受けたのです。そうった検査を導入するにはそれなりの費用がかかりますし、どういった傾向の先生が多いかという分析を外部に依頼しているはずです。
塾も企業です。大手になればなるほど抱える先生の数も増えていきます。研修にしろ適性検査にしろ、表には出にくい社員教育に力を入れていると、その分月謝はどうしても高くなるのでしょう。
個人情報の管理費もばかにできない
パソコンで生徒情報を管理するのは当たり前の時代ですが、塾は個人情報にとても敏感です。住所はもちろんのこと、成績なども全てパソコンで管理しているので、不正アクセスなどで漏洩するのを阻止しなくてはなりません。
情報漏洩などあった場合、その塾の信頼は地に落ちますから、ウィルス対策やセキュリティー対策などに費用をかける必要があります。対策に見合った金額をセキュリティー会社に支払い、生徒の個人情報を守っているのです。
しかしながら、保護者にはこういった発想はあまりないようで、知り合いのママ達との会話でセキュリティー対策に関して話をしてくる方とは、まだ会ったことがありません。
まとめ
塾選びにあたっては、親なら誰しも月謝を気にします。たしかに、塾の月謝は家計への負担が大きいものです。特に受験学年になると、いつも以上に季節講習会を受講しなくてはならず、懐事情がきびしくなります。
しかし、どの塾にも特色があり、「安いからダメ、高いから良い」とは一概に言えません。また、値段を気にしすぎると「子供の成績を上げる」という本来の目的を見失ってしまいます。予算に気を配りながらも、子供に合う塾かどうかという視点に立って選ぶことが大切です。
中山 まち子