3月に入り、春の柔らかな日差しとともに、卒業や異動、そして新年度へのカウントダウンが始まる季節となりました。

3月は多くの企業で年度末を迎え、家計にとっても「1年間の総決算」を行う大切な節目です。特に自由な裁量がある「おひとりさま」にとって、この時期の資産状況の把握は、4月からの新しい生活を左右する重要なタスクと言えるでしょう。

貯蓄額を理解する目安である平均と中央値では、受ける印象が異なります。

平均は高額資産層の影響を受けやすく実態より高く見えがちなため、一般的な水準を把握しやすい中央値を確認する必要があります。

おひとりさまの場合、収入や働き方、資産形成への意識の違いが、そのまま貯蓄額の差として表れやすい傾向です。

本記事では、最新データをもとに世代別に貯蓄額の平均と中央値を確認し、貯蓄の実態や貯蓄がある人とない人の行動の差について紹介します。

1. 【おひとりさま】世代別平均と中央値とは?

J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査」をもとに、おひとりさまの世代別の平均と中央値を見ていきましょう。

おひとりさまの世代別平均貯蓄額と中央値1/1

おひとりさまの世代別平均貯蓄額と中央値

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査」をもとに筆者作成

1.1 【30歳代】おひとりさまの貯蓄額の割合と平均・中央値

  • 金融資産非保有:32.3%
  • 100万円未満:14.2%
  • 100~200万円未満:14.2%
  • 200~300万円未満:4.9%
  • 300~400万円未満:4.3%
  • 400~500万円未満:2.8%
  • 500~700万円未満:5.5%
  • 700~1000万円未満:3.1%
  • 1000~1500万円未満:5.5%
  • 1500~2000万円未満:4.3%
  • 2000~3000万円未満:2.5%
  • 3000万円以上:3.4%
  • 無回答:3.1%

≪平均・中央値≫

  • 平均:501万円
  • 中央値:100万円

30歳代のおひとりさまは、中央値100万円と貯蓄額はまだ少なめで、金融資産を持たない層も3割を超えています。

貯蓄を1000万円以上を保有する人も一定数存在し、個人差が大きい年代です。

1.2 【40歳代】おひとりさまの貯蓄額の割合と平均・中央値

  • 金融資産非保有:32.1%
  • 100万円未満:15.1%
  • 100~200万円未満:7.1%
  • 200~300万円未満:5.9%
  • 300~400万円未満:4.3%
  • 400~500万円未満:2.2%
  • 500~700万円未満:6.2%
  • 700~1000万円未満:4.6%
  • 1000~1500万円未満:6.2%
  • 1500~2000万円未満:1.2%
  • 2000~3000万円未満:2.8%
  • 3000万円以上:9.9%
  • 無回答:2.5%

≪平均・中央値≫

  • 平均:859万円
  • 中央値:100万円

40歳代でも、中央値は100万円と、30歳代と同水準にとどまっています。

ただし、3000万円以上の高額資産層が9.9%に増え、平均値は大きく押し上げられています。

貯蓄を積み上げてきた人と、そうでない人の差がより鮮明になる年代です。

1.3 【50歳代】おひとりさまの貯蓄額の割合と平均・中央値

  • 金融資産非保有:35.2%
  • 100万円未満:10.1%
  • 100~200万円未満:7.4%
  • 200~300万円未満:4.6%
  • 300~400万円未満:2.7%
  • 400~500万円未満:3.3%
  • 500~700万円未満:4.9%
  • 700~1000万円未満:4.6%
  • 1000~1500万円未満:6.0%
  • 1500~2000万円未満:3.3%
  • 2000~3000万円未満:5.5%
  • 3000万円以上:10.4%
  • 無回答:1.9%

≪平均・中央値≫

  • 平均:999万円
  • 中央値:120万円

50歳代になると中央値は120万円とわずかに上昇しますが、依然として低水準です。

貯蓄額が3000万円以上の割合は10.4%となり、資産形成が進んだ層も目立ちます。

老後を意識し始める時期でありながら、貯蓄状況には大きなばらつきがあります。

1.4 【60歳代】おひとりさまの貯蓄額の割合と平均・中央値

  • 金融資産非保有:30.4%
  • 100万円未満:9.1%
  • 100~200万円未満:4.3%
  • 200~300万円未満:2.4%
  • 300~400万円未満:4.5%
  • 400~500万円未満:3.1%
  • 500~700万円未満:6.0%
  • 700~1000万円未満:4.8%
  • 1000~1500万円未満:8.1%
  • 1500~2000万円未満:4.1%
  • 2000~3000万円未満:5.5%
  • 3000万円以上:15.6%
  • 無回答:2.2%

≪平均・中央値≫

  • 平均:1364万円
  • 中央値:300万円

60歳代では中央値が300万円まで上がり、他の年代より貯蓄額が増加傾向にあります。

貯蓄額が3000万円以上を保有する人が15.6%と高く、長年の積み重ねが表れる年代です。

ただし、金融資産非保有層も30.4%存在し、老後資金の格差は大きくなっています。

2. 【貯蓄がある人・ない人の差】行動の積み重ねに違いが出る

日々のお金との向き合い方や、小さな行動の積み重ねによって、貯蓄額の差は時間をかけて広がっていくものです。

ここでは、貯蓄がある人に共通する3つの行動と、今日からできる具体策を見ていきましょう。

2.1 お金を「数字」で把握する

貯蓄がある人は、収入や支出、現在の貯蓄額を数字で把握しています。

一方、貯蓄がない人は「だいたいこのくらい」といった感覚に頼りやすく、気づかないうちに支出が膨らみがちです。

自分が毎月いくら使い、どれくらい残っているかを説明できない場合、まずは把握が必要です。

家計簿を完璧につけなくても、1か月分の支出を書き出すだけで改善点は見えてきます。

2.2 自動的に貯める仕組みを作る

資産を増やすために、余ったお金を貯めるのではなく、先に貯める仕組みを持っています。

貯蓄がない人ほど「今月は余ったら貯めよう」と考え、結果的に貯蓄が後回しになります。

忙しい月や出費が重なる時期ほど、意志だけで貯め続けるのは難しいものです。

給料日に自動で一定額が貯まる仕組みを作れば、無理なく貯蓄を続けられます。

新NISAやiDeCoの積立設定を使えば、忙しくても「気づいたら貯まっている」状態を作りやすくなります。

2.3 お金の情報に向き合う

貯蓄がある人は、年金や税制優遇制度などの基本的なお金の仕組みを把握したうえで、自分に合う選択をしています。

一方で、貯蓄がない人は「難しそう」「よくわからない」と感じ、制度や数字を見る前に距離を置きがちです。

しかし、知らないままでいること自体が、使える選択肢を減らしてしまいます。

まずは年金見込み額の確認や自分が利用できる制度を調べるなど、具体的な行動から始めましょう。

3. まとめにかえて

貯蓄の差は、特別なことではなく、日々の小さな行動の積み重ねで生まれます。

今月の支出を書き出す、貯蓄の仕組みを作る、年金見込み額を確認するなど、できることは身近にあります。

完璧を目指さず、まずは一つだけ、できることから取り組んでいきましょう。

参考資料

円城 美由紀