10月は年金の定期支払日がある月で、あわせて年金額や制度の仕組みについて関心を持つ人が増える時期でもあります。
本記事では、公的年金の「2階建て」の仕組みと2026年度の支給日カレンダー、2026年度の年金額改定と受け取り方のパターン、そして厚生年金・国民年金の男女別平均受給額を紹介します。
記事の後半では、FPの視点から、受給額を増やす「繰下げ受給」を選んだ場合の目安額も試算しているので、あわせて参考にしてください。
なお、公的年金の仕組み・受給額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
- 公的年金は「国民年金+厚生年金」の2階建て構造で、2026年度は基礎年金1.9%・厚生年金2.0%の増額
- 厚生年金の平均受給月額は15万289円(男性16万9967円・女性11万1413円)、国民年金は5万9310円
- FPの視点から、繰下げ受給を選んだ場合に増える受給額の目安を試算
1. 公的年金の基本を押さえておこう
公的年金には、老後に受け取る「老齢年金」のほかに、病気やケガで生活が制限されたときの「障害年金」、家計を支える人にもしものことがあったときの「遺族年金」という3つの保障があります。「年金」というと老齢年金だけをイメージしがちですが、実は現役世代にとっても身近な制度です。
1.1 年金は「国民年金+厚生年金」の2階建て
公的年金は、すべての人が加入する1階部分の「国民年金(基礎年金)」と、会社員・公務員などが上乗せで加入する2階部分の「厚生年金」から成り立っています。現役時代にどちらの制度に、どのくらいの期間・収入で加入していたかによって、将来受け取る年金額は変わってきます。
国民年金は20歳から60歳未満の人が原則全員加入し、保険料は年度ごとに改定されるものの一律です(2026年度は月額1万7920円)。保険料を全期間(480カ月)納めれば、65歳から満額(2026年度は月額7万608円)の老齢基礎年金を受け取れます。
一方の厚生年金は、会社員や公務員、一定要件を満たすパート従業員などが国民年金に上乗せで加入する制度で、保険料は収入に応じて変わります。受給額も加入期間や納めた保険料によって個人差が出るのが特徴です。
1.2 2026年の年金支給日はいつ?
公的年金は、偶数月の15日(土日祝日にあたる場合は直前の平日)に、前々月・前月の2カ月分をまとめて後払いで受け取る仕組みです。2026年の支給日は、2月13日(金)・4月15日(水)・6月15日(月)・8月14日(金)・10月15日(木)・12月15日(火)となっています。
2. 2026年度は国民年金1.9%、厚生年金2.0%の増額に
年金額は毎年度見直されており、より詳しい増額分の解説は2026年6月支給分からの年金額アップを扱った記事もあわせてご確認ください。
国民年金は前年度比1.9%、厚生年金は同2.0%の増額となりました。
- 国民年金(老齢基礎年金(満額・1人分)):7万608円(+1300円)
- 厚生年金(夫婦2人分):23万7279円(+4495円)
改定後の金額は、4月・5月分をまとめて支給する6月支給分から反映されています。
2.1 《試算》増額分は1年間でいくらになる?
今回の改定による増額分を、単純に12カ月分積み上げるとどうなるでしょうか。あくまで一定の前提を置いた目安であり、実際の受給額を保証するものではありません。
- 国民年金(老齢基礎年金・満額):月1300円増 × 12カ月 = 年間約1万5600円の増額
- 厚生年金(夫婦2人分の標準的な年金額):月4495円増 × 12カ月 = 年間約5万3940円の増額
1カ月あたりの金額としては小さく見えても、1年単位で見ると家計への影響は無視できない規模になることが分かります。
3. 収入や働き方によって変わる年金額の目安
年金加入期間や現役時代の収入によって、将来の年金額はどのように変わるのでしょうか。厚生労働省は2026年度の年金額改定にあわせて、現役時代の年金加入状況や年収ごとの年金額例を「多様なライフコースに応じた年金額」として公表しています。
具体的には、2026年度に65歳になる人を対象に、公的年金の加入履歴の類型・男女別で合計5パターンの年金額例が示されています。
3.1 パターン①:男性・厚生年金期間中心
年金月額17万6793円(平均厚生年金期間39.8年、平均収入50万9000円)のうち、基礎年金6万9951円・厚生年金10万6842円という内訳です。
3.2 パターン②:男性・国民年金(第1号被保険者)期間中心
年金月額6万3513円(平均厚生年金期間7.6年、平均収入36万4000円)のうち、基礎年金4万8896円・厚生年金1万4617円という内訳です。
3.3 パターン③:女性・厚生年金期間中心
年金月額13万4640円(平均厚生年金期間33.4年、平均収入35万6000円)のうち、基礎年金7万1881円・厚生年金6万2759円という内訳です。
3.4 パターン④:女性・国民年金(第1号被保険者)期間中心
年金月額6万1771円(平均厚生年金期間6.5年、平均収入25万1000円)のうち、基礎年金5万3119円・厚生年金8652円という内訳です。
3.5 パターン⑤:女性・国民年金(第3号被保険者)期間中心
年金月額7万8249円(平均厚生年金期間6.7年、平均収入26万3000円)のうち、基礎年金6万9016円・厚生年金9234円という内訳です。
厚生年金の加入期間が長く、収入が高いほど老後に受け取る年金額は多くなる傾向があり、国民年金と厚生年金のどちらを中心に加入していたかが年金水準に大きく影響していることが分かります。
4. 厚生年金・国民年金の平均受給額(男女別・全年齢)
老後に受け取る年金額は、現役時代の年金加入状況によって人それぞれです。より詳しい年収別の受給額早見表は年金早見表を扱った記事もあわせてご覧ください。ここでは、60歳~90歳以上のすべての受給権者について、厚生年金と国民年金の受給額分布を確認します。
4.1 厚生年金の平均月額と男女差
厚生年金の平均年金月額は、全体では15万289円でした。
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
月額1万円未満の人から25万円を超える高額受給者まで幅広く分布しており、平均だけでは見えてこない個人差の大きさがうかがえます。月額15万円(年180万円)以上を受け取る人がどのくらいいるのかについては、受給割合を詳しく解説した記事で確認できます。
4.2 国民年金の平均月額と男女差
国民年金の平均年金月額は、全体では5万9310円でした。
- 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
- 〈女性〉平均年金月額:5万7582円
男女ともに5万円台で、ボリュームゾーンは月額6万円以上7万円未満の層です。満額に近い年金額を受け取る人が多い一方、月額1万円未満の人も一定数存在しています。








