産業技術研究所が行った研究によると、子どもが倒れ始めてから、お尻やひざが床につくまでは0.5秒※。子どもの「ヒヤッと」は、ほんの一瞬です。

目を離さなくても対応できないケース、手を出したとしても助けられないケースも少なくありません。仕方ないことも多いということを、母親だけでなく、父親や周囲も知るべきでしょう。

そして落ち込む母親の心のケアを、男性が行えると良いですね。話を聞いたり、母親が「大丈夫」と思える声掛けをしてもらうと気が楽になるものです。小児科においても、少しのケガでも母親が相談しやすいコミュニケーションをとっていただけるとありがたいですよね。

※ 参考:「子どもから目を離さないで・・・「無理」0.5秒で事故防げる?」(withnews)

1日中見張って気疲れ…そもそもずっとは無理

もう一つ大きいのは、1日中子どもの近くにいて見張るのは無理ということ。基本的には、子どもが起きている間はずっと気を張り、見張っています。特にワンオペ育児だと全て自分のせいになるので、夜にはドッと疲れが出るほど気を張っているでしょう。

それでも、家事、仕事、上の子のお世話や宿題を見る、用意を手伝うなどということを母親はしなければいけません。ずっと子どもに張り付いていれば、料理を作れませんし、上の子の相手ができないのです。特に料理や洗い物、洗濯物を干すといった家事は、子どもから目を離す時間が増えます。

ここでも勧めたいのは、「大人が目を離しても大丈夫な対策」をしておくことです。コーナーガードを付けるのはもちろん、子どもが登らないようにテレビ台を工夫したり、子どもが小さな間は見栄えが悪くても危険な家具は避けることです。

また、家事をする時間を工夫して減らすのも良いでしょう。家事の量や回数自体を減らしてしまえば、目を離す時間が減りますし、母親の気疲れも和らぎます。

「ヒヤッと」が多いのも子どもが小さいうち、特に乳幼児期のことです。この時期だけと割り切り、対策をしたり、夫婦で話し合いの時間を設けてみてくださいね。

宮野 茉莉子