家族が亡くなったあと、「受け取れるはずだった年金はどうなるのだろう」と疑問に思う人は少なくありません。
実は、亡くなった方が請求前、または受給途中だった年金は「未支給年金」として、一定の条件を満たす家族が受け取れる制度があります。
ただし、誰でも受け取れるわけではなく、対象者や受け取れる金額、請求期限には明確なルールがあります。
本記事では、未支給年金の基本的な仕組みから、「誰が・いくら」受け取れるのか、手続きを行う際の注意点までを分かりやすく解説します。
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1. 【意外と知らない】「未支給年金」とは?
「未支給年金」とは、年金を受け取る権利のある方が亡くなった時点で、まだ支給が完了していなかった年金を指します。
亡くなった方が年金の請求を行わずに死亡した場合でも、所定の条件を満たせば、未支給年金を請求し受給できる場合があります。
対象となるのは、老齢基礎年金、老齢厚生年金、障害年金など、亡くなった方が本来受け取る予定だった年金です。
2. 【誰が受け取れる?】「未支給年金」の支給要件をチェック
未支給年金の請求が認められるのは、亡くなられた方と生計を共にしていた三親等以内の親族に限られます。
請求権には優先順位があり、その順序は以下のとおりです。
- 配偶者
- 子
- 父母
- 孫
- 祖父母
- 兄弟姉妹
- 上記以外の三親等内の親族
より上位の順位に該当する遺族がいる場合、後の順位にあたる方は未支給年金を受け取ることはできません。
また、同一順位の遺族が複数いる場合は、その中の1人が請求を行えば、他の同順位者全員分をまとめて請求したものとして取り扱われます。
なお、「生計同一」とは、必ずしも同居していることを意味するものではありません。
別々に暮らしていても、仕送りや生活費の支援が行われていれば、生計を共にしていたと認められる場合があります。
3. 「未支給年金」はいつ・いくら受け取れるの?
年金は偶数月に、直前の2カ月分をまとめて後払いで支給される仕組みです。
未支給年金として受け取れる金額は、亡くなった方の年金額や死亡した時期によって異なります。
たとえば、次のようなケースが考えられます。
- 偶数月に亡くなった場合:亡くなった月分の年金1カ月分を請求可能
- 奇数月に亡くなった場合:亡くなった月分を含め、前月分と合わせて年金2カ月分を請求可能
原則として年金は日割り計算されず、その月に1日でも生存していれば、月額分が全額支給されます。※なお、保険料の納付要件など、ほかの支給条件を満たしていることが前提となります。
年金受給者が亡くなった場合は、市区町村の窓口や日本年金機構へ死亡届を提出する必要があります。
あわせて、年金が振り込まれていた金融機関での手続きも必要です。
続いて、未支給年金の請求期限について確認しておきましょう。
4. 未支給年金の「請求期限(時効)」はいつまで?
年金を受給する権利には時効があり、権利が発生した日から5年を経過すると請求できなくなります。
請求時に必要となる書類は、状況や個別のケースによって異なるため、詳しくはねんきんダイヤルや最寄りの年金事務所で確認するようにしましょう。
4.1 【素朴な疑問】支給されるまでにどれくらいかかる?
未支給年金の請求手続きが受理されると、審査結果に応じて各種の通知書が送付されます。
- 受給が認められた場合:「未支給【年金・保険給付】決定通知書」が届き、支給される年金額などが確認できます。
- 受給要件を満たさなかった場合:「不該当通知書」が送付されます。
未支給年金の支給時期は、請求からおおよそ5〜6カ月後が目安とされていますが、提出書類に不備がある場合や審査状況によっては、支給までに時間がかかることもあります。
5. 「未支給年金」を請求する前に知っておきたい提出方法と注意点
未支給年金を請求する際の提出方法には、いくつか注意点があります。
まず、書類は、原則として年金事務所へ郵送で提出します。
対面での相談を希望する場合は、事前に予約をしたうえで、年金事務所または街角の年金相談センターを利用してください。
このほか、電子申請による提出も可能です。
電子申請は、e-Govの電子申請サイトにある「手続検索」で「電子申請用送付書(一時金請求及び諸変更届等)」を検索し、申請画面で必要事項を入力します。
その際、「届書名称」の選択欄から「年金受給権者死亡届(報告書)兼未支給年金・未支払給付金請求書」を選び、PDF形式またはJPEG形式で保存した同届書を電子ファイルとして添付する必要がある点に注意しましょう。
6. 未支給年金に相続税はかかる?確定申告が必要となるケースも解説
未支給年金は相続財産には該当しないため、相続税の対象にはなりません。
一方で、税務上は受け取る人の状況により所得として扱われ、確定申告が必要となる場合があります。
一時所得には50万円の特別控除が設けられており、控除額を上回った部分のみが課税対象となります。
たとえば、未支給年金が60万円の場合、課税対象となるのは10万円です。
受給額やほかの所得状況によっては、確定申告が必要となる場合もあるため注意しましょう。
7. 未支給年金は「期限」と「要件」の確認が重要
本記事では、未支給年金の基本的な仕組みから、「誰が・いくら」受け取れるのか、手続きを行う際の注意点までを解説していきました。
未支給年金は、亡くなった方が本来受け取るはずだった年金を、一定の条件を満たす家族が請求できる制度です。
請求には5年の時効があるため、制度を知らないまま放置すると受け取れなくなる可能性もあります。
さらに、未支給年金は相続税の対象にはなりませんが、所得として扱われる点にも注意が必要です。
家族が亡くなった際は、早めに制度の概要を確認し、必要に応じて年金事務所などで正確な情報を得ることが大切でしょう。
参考資料
- 日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」
- 厚生労働省「未支給年金 お手続きガイド」
- 国税庁「未支給の国民年金に係る相続税の課税関係」
- 国税庁「No.1490 一時所得」
- 日本年金機構「年金の時効」
- 日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」
中本 智恵