6. 日常の赤字と見えない「介護リスク」に備えるために
最新の調査データから見えてきたのは、70歳代・二人以上世帯の貯蓄中央値が約1178万円にとどまる一方で、年金生活では毎月約3.4万円(年間約40万円)の赤字が生じるというシビアな現実です。
しかし、老後の家計を揺るがすリスクは日常的な生活費の不足だけではありません。長寿化に伴い多くの方が直面する「介護」には、施設入居などに伴うまとまった費用が必要になる可能性があります。
もし、月々の赤字で貯蓄が目減りしている状況下で、保険適用外の全額自己負担となる介護費用が上乗せされれば、家計はあっという間に底をついてしまう「二重負担」のリスクを抱えていると言えるでしょう。
平均寿命が延び、老後期間が長くなっている現代において、将来の安心を手に入れるためには「日常の備え」と「万が一の備え」の両輪が必要です。
- 日常の備え(資産寿命を延ばす): 健康なうちはパートなどで長く働き収入を得ることや、新NISAなどを活用し、手元の資産を少しでも長持ちさせる工夫を取り入れる。
- 万が一の備え(介護リスクへの対処): 元気なうちから公的介護保険の仕組みや施設の相場を調べ、必要に応じて民間の介護保険でカバーするなど、突発的な支出への防波堤を作っておく。
「いくら年金がもらえるのか」「今ある貯蓄で足りるのか」という漠然とした不安は、現状の数字を直視することで「いま何をすべきか」という具体的な対策に変わります。
ご自身のねんきん定期便や現在の貯蓄額を改めて確認し、介護費用まで見据えた現実的なライフプランを立ててみてはいかがでしょうか。
参考資料
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」1 主な年齢の平均余命
マネー編集部社会保障班