4. 年金を増やすための有効な対策

月額30万円以上の年金を受給するのはほぼ不可能ですが、老後生活のためには年金額を少しでも増やしたいところです。ここでは有効な対策を紹介します。

4.1 厚生年金に加入する

前述の厚生労働省資料によると、厚生年金受給権者の平均受給額(14万6429円)は、国民年金加入者(5万7584円)の2倍以上です。

国民年金に加入しても老齢基礎年金しか受け取れないのに対し、厚生年金加入者は老齢基礎年金に加え、老齢厚生年金が受給できるからです。

年金受給額だけを考えれば、個人事業主やフリーターとして働くよりも会社員で働く方が有利です。

4.2 長く厚生年金に加入する

老齢厚生年金の受給額は、厚生年金加入期間に比例します。平均標準報酬額が同じならば、40年加入した人は、20年加入の人の2倍の老齢厚生年金を受給できます。

定年退職後も、再雇用などで可能な限り仕事を続けることが年金額を増やすことにつながります。

また、厚生年金加入期間が同じならば、老齢厚生年金の受給額は平均標準報酬額に比例します。

昇給・昇格などで平均標準報酬額が高くなれば年金額は増えます。しかし、いくら頑張っても昇給・昇格は思い通りに行かないことも多いでしょう。できるだけ長く働くことがより確実な方法と言えます。

4.3 繰下げ受給を活用する

老齢年金の支給開始時期を本来の65歳から66歳以降に繰下げることによって、年金額を増やす方法もあります。

1ヶ月あたり0.7%増額するので、70歳まで繰り下げれば年金額は42%(=0.7%×60ヶ月)増加します。

繰下げ受給を活用するには、受給開始までの生活を支える収入が必要です。定年退職後も仕事を続けることで、繰下げ受給が可能となります。両方を併用することが年金額アップのポイントです。

5. まとめにかえて

厚生年金月額30万円以上の人は全国で約1万4000人いますが、年金受給権者に占める割合は0.1%未満です。現在の規定で月額30万円以上を受給するのは、ほぼ不可能といえるでしょう。

本記事で紹介した年金額の計算方法より、年金額を増やすには「厚生年金に加入する」「長期間厚生年金に加入する」「収入を高める」ことが必要です。

現実性があり有効な方法は、定年退職後も仕事を続けて繰下げ受給を活用することです。

※金額等は執筆時点での情報にもとづいています。

参考資料

西岡 秀泰