クレジットカードや交通系ICカードなど、キャッシュレス決済はもはや生活に欠かせない存在。とくに、QRコード決済は近年急速に拡大しており、決済だけではなく割り勘などの送金にも使われています。
Z世代はキャッシュレス決済を使いこなしているイメージですが、実際に日々の生活費の支払いはどのように行っているのでしょうか。今回は、Z世代の支払い方法の選び方と、その裏にある本音を探ります。
※記事内の各種決済の定義は、株式会社クレカリに合わせています。
1. 項目ごとに使い分けるZ世代の支払い実態
株式会社クレカリが実施した「Z世代のリアルな支払い実態」に関する調査(2025年10月実施)を見ていきましょう。
1.1 調査概要
- 調査期間:2025年10月21日(火)~2025年10月23日(木)
- 調査方法:PRIZMA(https://www.prizma-link.com/press)によるインターネット調査
- 調査人数:1,006人
- 調査対象:調査回答時に一人暮らしをしていて、自身で生活を担っている20~29歳までのZ世代の男女と回答したモニター
- 調査元:株式会社クレカリ(https://crecari.com/)
- モニター提供元:PRIZMAリサーチ
1.2 固定費や家賃は「口座振替」が圧倒的
日常的に支払っている各費目の主な支払い方法を教えてください
固定費(通信費、公共料金、サブスクリプション費など)
- 口座振替(自動引き落とし): 46.2%
- クレジットカード: 40.1%
- 現金: 9.2%
- 電子マネー(PayPay、交通系IC、QUICPay、iDなど): 3.0%
- デビットカード: 1.5%
家賃
- 口座振替(自動引き落とし): 68.7%
- クレジットカード: 19.5%
- 現金: 9.9%
- 電子マネー(PayPay、交通系IC、QUICPay、iDなど): 1.3%
- デビットカード: 0.6%
食費
- クレジットカード: 42.9%
- 現金: 24.4%
- 電子マネー(PayPay、交通系IC、QUICPay、iDなど): 21.4%
- 口座振替(自動引き落とし): 8.1%
- デビットカード: 3.2%
変動費(日用品費、交通費、娯楽費、被服費、医療費、交際費など)
- クレジットカード: 43.1%
- 現金: 23.4%
- 電子マネー(PayPay、交通系IC、QUICPay、iDなど): 20.5%
- 口座振替(自動引き落とし): 9.7%
- デビットカード: 3.3%
Z世代の支払い方法は、費目によって明確な傾向が見られます。通信費や公共料金などの固定費は46.2%、家賃にいたっては68.7%の人が「口座振替」を利用しています。
家賃のクレジットカード支払いは19.5%にとどまっており、住居費に関しては従来通りの支払い方法が根強く残っていることがわかります。
一方、日常的な買い物である食費では42.9%、変動費では43.1%の人が「クレジットカード」を選んでいます。6割以上がキャッシュレス決済であることからも、日々の決済ではキャッシュレス化が進んでいるようです。
2. 支払い方法を選ぶ基準は「お得さ」と「タイパ」
2.1 支払い方法を選ぶときに重視していることは何ですか?(複数回答可)
- ポイント還元・特典: 50.7%
- 支払いの手間の少なさ: 42.3%
- 支出や残高の把握のしやすさ: 23.6%
- 使いすぎを防げること: 20.5%
- 利用明細や履歴が確認しやすいこと: 20.1%
- 支払日を柔軟に変更できる: 16.6%
- セキュリティや安全性が高いこと: 16.0%
Z世代はどのような基準で支払い方法を選んでいるのか見てみると、半数以上の人が「ポイント還元」を挙げており、ポイ活を含めた実利を非常に重視していることがわかります。
また、2位に「手間の少なさ」がランクインしていることから、タイムパフォーマンス(タイパ)を意識した効率的な決済を求めている傾向もうかがえます。
私自身、ポイント還元が高いクレジットカードを使うことが多く、現金は「現金のみ」のお店で使っています。
現金を出すよりも、スマートフォンをかざしたり、カードを出したりするだけのほうが手間がかからないというのも納得できます。では、現金を使うことについて、Z世代はどのように考えているのでしょうか。
3. 現金・口座振替は「消去法」? キャッシュレスを希望するZ世代の本音
3.1 現金または口座振替(自動引き落とし)で支払っている理由は何ですか?(複数回答可)
- その方法しか対応していないから: 43.3%
- 慣れているから: 35.6%
- 家計の管理をしやすいから: 29.2%
- 残金がわかりやすいから: 16.2%
- その他: 0.6%
現金や口座振替を利用している理由の第1位は、「その方法しか対応していないから」で43.3%でした。
次いで「慣れているから」が35.6%となっており、環境さえ整っていれば別の方法を選びたいという人と、現金のほうが慣れているという人がほぼ同じくらいいることがわかりますね。
3.2 現金または口座振替(自動引き落とし)での支払いについて、どのように感じていますか?
- できればキャッシュレスに切り替えたい: 36.7%
- もっと幅広い支払い方法を選べるようにしてほしい: 34.4%
- 今の方法で特に不便は感じていない: 29.4%
- 手間はあるが選べないので仕方ない: 12.1%
- 今の方法のほうが安心できる: 11.9%
- その他: 0.5%
実際に、現金や口座振替での支払いについてどう感じているかについては、「できればキャッシュレスに切り替えたい」が36.7%、「もっと幅広い支払い方法を選べるようにしてほしい」が34.4%と、キャッシュレスを含めた選択肢がほしいという声が上位を占めました。
一方「今の方法で特に不便は感じていない」という人は29.4%にとどまり、多くのZ世代が現状の支払い環境に何らかの制限を感じているようです。
筆者も、現金のみのお店も利用するものの「QRコード決済かクレジットカードが使えたらいいな」と思うことはあります。とくに友人と一緒にご飯を食べた時には、金額が大きくなることもあるため、現金のみだと大変なこともあります。
小銭がないなどの理由から現金で割り勘ができず、QRコード決済の送金機能でやり取りを済ませた時には、手持ちの現金が心もとなくなることも。事前にこうしたピンチに陥らないように銀行で現金を下ろしておくこともありますが、手間がかかるなと思います。
個人間でのお金のやり取りが現金に限らないことも、決済時には現金以外の選択肢がほしいという声につながっているのではないでしょうか。
Z世代で「キャッシュレスにしたい」という声が高まっているなか、日本のキャッシュレス化の現状はどのようになっているのでしょうか。次の章では、2024年の決済比率を見ていきます。
4. 加速する日本のキャッシュレス化。2024年の決済比率は42.8%に到達
キャッシュレス決済比率の推移(2010年〜2024年)
- 2010: 13.2%
- 2011: 14.1%
- 2012: 15.1%
- 2013: 15.3%
- 2014: 16.9%
- 2015: 18.2%
- 2016: 20.0%
- 2017: 21.3%
- 2018: 24.1%
- 2019: 26.8%
- 2020: 29.7%
- 2021: 32.5%
- 2022: 36.0%
- 2023: 39.3%
- 2024: 42.8%
経済産業省が公表した「2024年キャッシュレス決済比率」を見ると、日本のキャッシュレス決済比率は着実に上昇を続けています。
キャッシュレス決済の推移(2010年〜2024年)を見ると、2010年にはわずか13.2%でしたが、14年後の2024年には42.8%にまで拡大しました。キャッシュレス決済額の大部分は「クレジット」が占めており、クレジット決済額も年々増加しています。
また近年では「コード決済」の割合が急速に伸びており、電子マネーやデビットカードを凌ぐ勢いで普及しています。
国を挙げてキャッシュレス化が推進され、決済比率が4割を超えた今、Z世代が「現金しか使えない」状況に対して不便を感じるのは、当然の流れとも言えるでしょう。
5. まとめにかえて
Z世代は、ポイント還元という「お得さ」と、手間の少なさという「効率性」を重視して支払い方法を選んでいます。しかし、家賃などの大きな支出においては、いまだに選択肢が限られているのが現状です。
Z世代にとって現金払いや口座振替は、決して「あえて選んだ」結果ではなく「それしか選べなかった」という消去法に近いものと言えます。今後、あらゆる分野で決済の選択肢が広がることで一人一人がライフスタイルに合う支払いを選び、手間を減らせるようになるでしょう。
参考資料
LIMO・U23編集部