年末年始の帰省は、改めて家族で将来のことを話し合う貴重な機会です。特に避けて通れないのが「相続」についての話題。

「親が亡くなったらすぐに口座が凍結される」と聞き、不安を感じている方も多いかもしれません。ここでは、元銀行員の筆者が預金者が亡くなったときの凍結のタイミングや引き出しの可否について解説します。

1. 役所から銀行に死亡の事実は共有されない

よく「親が亡くなったらすぐに口座が凍結される」という話を聞きます。しかし、実は預金者が亡くなったからといって、必ずしもすぐに口座が凍結されるわけではありません。

口座が凍結されるのは「銀行が預金者の死亡の事実を知ったとき」です。とはいえ、銀行は役所から死亡の事実が共有されるわけではありません。

そのため、銀行側が死亡の事実を知る機会がなければ、口座が取引可能の状態のままになることもあります。では、銀行はどのようなタイミングで死亡の事実を知るのでしょうか。

1.1 銀行が預金者の死亡後に口座凍結する3つのタイミング

銀行が預金者の死亡の事実を知って口座凍結するタイミングとして、主に3つのケースが挙げられます。

  • 新聞のお悔やみ欄に掲載されたとき
  • 銀行の役職員が葬儀に参列したとき
  • 家族から死亡の連絡を受けたとき

新聞のお悔やみ欄に訃報を掲載した場合は、その情報をもとに口座凍結の手続きが行われます。著名人などニュースで訃報が取り扱われた場合も、凍結が行われるきっかけになります。

また、銀行と取引が深かった場合は銀行の役職員が葬儀に参列することもあります。たとえば、大口預金先の個人客や融資先である法人の代表者・役員などです。

このケースも当然銀行は死亡の事実を把握していますので、すぐに口座が凍結されることとなります。

そして最も多いのは、家族から死亡の連絡を受けたタイミングです。「親が亡くなるとすぐに口座が凍結される」と思われがちですが、ほとんどのケースでは家族から連絡が来るまでは口座が稼働していることが多いでしょう。