年初来高値更新ながら、値動きは小幅で方向感が出しづらい
2019年4月12日の日経平均株価の終値は、前日より159円18銭高の21,870円56銭となりました。2018年12月5日以来、約4か月ぶりの高値です。終値ベースで年初来高値を更新しました。
先週初8日は、前週に発表された3月の米雇用統計が市場予想を上回り株高となったことを受けて、日経平均も連れ高となり、朝方には一時21,900円台に上昇する場面もありました。しかし、その後は利益確定の売りなどに押され小幅ながら反落しました。
先週はその後も動きは小さく、市場も閑散としていました。東証1部の売買代金も2兆円を割り込む日が続きました。下値は限定されていますが、上値も重く、方向感が出しづらい動きでした。
今週以降の展開はどうなるでしょうか。米株は強気の展開が続いています。12日の米株式市場で、ダウ工業株30種平均は反発し、26,412ドルとなり、昨年10月3日に付けた最高値まで416ドルに迫りました。
ただし、最近の日本株はこの勢いに付いていけていません。さらに懸念もあります。要因の一つは、3月の日銀の全国企業短期経済観測調査(短観)で、「大企業・製造業」の業況判断指数が大きく下落したことです。海外、特に中国での需要が左右する業種で景況感が「悪い」と答えた企業が少なくありませんでした。
今月下旬から国内では3月期決算の企業の決算発表が本格的になりますが、業績予想を下方修正する企業が増えるのではないかと、投資家も慎重になっているようです。
国内では27日から皇位継承にともなう10連休を控えていることから、投資家が様子見姿勢になりそうです。祝賀ムードは高まりますが、日本の市場が休場中でも、海外の株式市場や為替市場は動いています。
5月2日(日本時間)には米連邦準備制度理事会(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC)の声明発表が予定されています。また、アルファベット(グーグル)やアップルなど主要企業の決算も日本の連休中に発表されます。連休明けにあわてることのないよう、柔軟に備えておきたいところです。
チャートの形は上昇を予感させる
先週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。週初8日は小幅に下落。さらに10日には窓を空けて下落しましたが、25日移動平均線手前で反発。その後は陽線が続き、結局「往って来い」といった動きになりました。ただし、ローソク足の実体はいずれも短く動きは大きくありませんでした。
今週以降の展開はどうなるでしょうか。現状は3月4日の高値(21,860円)から下落した後、Wボトムの形になって反発しています。4月8日には、直近の高値である、その3月4日の高値も更新しました。
その後、いったんはWボトムの上限から反落する動きを見せましたが、Wボトムの真ん中の山の頂点になる3月22日の高値(21,713円)付近で下げ止まっています。下げようとする力よりも、上に向かうパワーが感じられます。
加えて、いい兆しとしては、75日線と25日線が横ばいから上昇に転じつつあり、さらに両者の間が開いていることです。これは相場の上昇を予感させるチャートの形です。
今週初に4月8日の高値(21,900円)を上回るようであれば、目先意識されやすい22,000円突破にも期待ができます。
その後の上値めどとしては、昨年12月3日の22,698円、その上の23,000円あたりまで視野に入ってきます。ただし、このあたりは過去に売買が積み上がっているところで、抜けるのにはパワーがかかりそうです。もちろん、抜けてしまえば強い下値サポートになります。
逆に下値めどは75日線と重なる21,000円付近になるでしょう。
下原 一晃