会社には組織があり、組織の中にはそれぞれのポジションがあります。平たくいえば、一般社員、管理職、役員などのポジションです。以前は一般社員の転職が圧倒的に多かったという転職市場ですが、最近は40~50代の管理職層、役員層の転職も増えているのだそう。

Aさんは、「ミドルの転職ほど、自分の適正ポジションと仕事のスタイルを把握していることが大事」だと話します。また、「40~50代になると、多くの人が自分の適性にかかわらず管理職になってしまう。しかし、マネジメント能力が著しく低い人、人に指示するのが苦手で自分で手を動かしたい人、部下を信用していない人、決断できない人など管理職に不向きな性格の人もたくさんいる」のだそう。

こういう人が管理職になってしまうと、周囲も大変で自分自身もストレスを感じることが多くなってしまいます。周囲とうまくやっていけないと自分の管理職としての評価も下がってしまい、結果として転職前のほうがよかったという結果になりかねません。

Aさんの顧客の中には、「今は管理職をやっている。しかし、自分はマネジメントには不向きで自分で手を動かしたいタイプだから、周囲の反感を買ってしまった。会社のためにも自分のためにも転職したい」というケースもあるのだそうです。

「そういう人は自分でバリバリやってきたからこそ、スキルや専門性を十分すぎるほど持っており、その分野の知識も豊富なことが多く、競合他社にとっては喉から手が出るほどほしい人材。そういう人を紹介すると喜ばれる」と話してくれました。

しかし当人は管理職が向いていないと言っているので、「交渉次第で管理職の給与を保証しつつ、管理職ではないポジションで働くという人も少数ですがいます」とAさん。その人は、「のびのびとやりたい仕事ができて、転職して本当によかった」といまだに連絡をくれるのだそうです。

どんなに自信があっても謙虚でいられる

転職だけではなく普段の仕事でも同じことが言えますが、謙虚さと勤勉さは仕事において非常に重要です。「転職活動のときは自信満々でいい、しかし転職後の職場に向き合うときには謙虚であったほうがいい」とAさんは語ります。

転職活動においては自分のこれまでの実績を、自信を持って話せるというのはプラスに働きますよね。しかし、職場の仲間とうまくやっていくには、その実績は一度脇に置いて謙虚な姿勢で臨むべきだと言います。

新しい人を迎え入れるとき、人は「この人はどういう人なのか」というのを見極めようとしますよね。誰でも経験があると思いますが、新しく入ってきた人が威張り散らしたり、何でも知っているような顔をしたり、これまでの実績を語って偉そうにしてきたら「この人嫌だな」と思うものです。

これでは受け入れる気持ちがなくなってしまいますよね。最初でつまずくと挽回するのはかなり厳しくなります。謙虚な姿勢で臨むことで新しい職場でもやりやすい環境を整えることができるのです。

人の信頼を勝ち取る方法を知っている