2025年も終わりに近づき、来年度以降の家計に関わる制度改正に関心が集まる時期となりました。特に注目されるのが、少子化対策の財源として2026年4月から徴収が開始される「子ども・子育て支援金」です。
この新しい支援金は、医療保険料に上乗せされる形で、現役世代だけでなく高齢者を含む幅広い層から集められます。
「自分は毎月いくら負担することになるのか」と気になる方も多いのではないでしょうか。この記事では、こども家庭庁が公表した資料をもとに、加入する医療保険や年収ごとの負担額の目安を詳しく解説します。
1. 2026年4月から始まる「子ども・子育て支援金」とは?徴収の対象者を解説
「子ども・子育て支援金制度」は、財源を特定の世代に限定せず、すべての世代や経済主体が広く支え合う仕組みを目指しています。
このため、支援金を負担するのは子育て世帯だけでなく、お子さんがいない方や、すでに現役を引退して年金で生活している高齢者も対象となります。
給付対象が主に子育て世帯であることから、負担と給付の関係性に注目が集まり、一部では「独身税」ではないかという意見も見られます。
これに対して政府は、少子化対策によって社会全体の持続可能性を高めることが、将来的には国民全体の利益につながると説明しています。
では、私たちは具体的に「子ども・子育て支援金」をいくら徴収されるのでしょうか。
2. 「子ども・子育て支援金」の負担額は月々いくら?加入保険別の試算を紹介
こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室が公表した資料『子ども・子育て支援金制度について』によると、具体的な負担額は以下のように試算されています。
【2026年度の医療保険加入者一人当たり平均月額(見込み額)】
- 全制度平均:月額約250円
- 被用者保険(会社員や公務員など):月額約300円
- 国民健康保険(自営業やフリーランスなど):月額約250円
- 後期高齢者医療制度(高齢者など):月額約200円
この支援金は、2026年度から2028年度にかけて段階的に引き上げられる予定です。
また、実際の負担額は年収によって異なります。
次章では、「被用者保険」「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」の3つの区分で、年収別の支援金額を詳しく見ていきましょう。
2.1 【会社員・公務員】被用者保険加入者の年収別「子ども・子育て支援金」負担額
2028年度時点における、会社員や公務員などが加入する「被用者保険」の年収別支援金額の目安は以下の通りです。
被用者保険加入者の年収別支援金額(目安)
- 年収200万円の場合:月額約350円
- 年収400万円の場合:月額約650円
- 年収600万円の場合:月額約1000円
- 年収800万円の場合:月額約1350円
- 年収1000万円の場合:月額約1650円
2.2 【自営業・フリーランスなど】国民健康保険加入者の年収別「子ども・子育て支援金」負担額
2028年度時点における、「国民健康保険」加入者の年収別支援金額の目安は以下の通りです。
国民健康保険加入者の年収別支援金額(目安)
- 年収80万円の場合:月額約50円
- 年収160万円の場合:月額約200円
- 年収200万円の場合:月額約250円
- 年収300万円の場合:月額約400円
- 年収600万円の場合:月額約800円
- 年収800万円の場合:月額約1000円
※この支援金は少子化対策を目的としているため、子どもがいる世帯の負担が増えないよう配慮されています。具体的には、18歳に達する年度末までの子どもに関する均等割額は全額軽減される措置が取られます。
2.3 【高齢者など】後期高齢者医療制度加入者の年収別「子ども・子育て支援金」負担額
2028年度時点における、「後期高齢者医療保険制度」加入者の年収別支援金額の目安は以下の通りです。
後期高齢者医療制度加入者の年収別支援金額(目安)
- 年収80万円の場合:月額50円
- 年収160万円の場合:月額100円
- 年収180万円の場合:月額200円
- 年収200万円の場合:月額350円
- 年収250万円の場合:月額550円
- 年収300万円の場合:月額750円
日本の少子化対策が重要な課題であることは間違いありません。しかし、月々の負担額が少額でも、固定費が増えることは家計にとって軽視できない問題です。
なお、こども家庭庁は公式サイトで、実質的な負担は生じないとの見解を示しています。
支援金制度は、子どもや子育て世帯を社会全体で支える仕組みですが、拠出額に相当する1兆円は、医療・介護分野の歳出改革と賃上げによる負担軽減効果の範囲内でまかなうとしています。これにより、実質的な負担は生じさせない(社会保障負担率を上昇させない)と説明されています。
引用:こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度のQ&A」
現時点では、子ども・子育て支援金の金額はまだ確定したものではありません。
3. 集められた「子ども・子育て支援金」の使い道は?
集められた支援金は、具体的に何に使われるのでしょうか。
支援金の使い道は、国会で成立した「子ども・子育て支援法」によって定められています。
具体的には、児童手当の拡充や、自営業者などが育児期間中に国民年金保険料の免除を受けられる制度、育児中の時短勤務に対する給付など、法律で定められた6つの項目に限定されています。
こども家庭庁は、支援金を財源とする施策について、国の特別会計で収支を明確にし、効果を検証していく方針を示しています。
もし使い道を変更するには法律の改正が必要となるため、定められた目的以外に支援金が使われることはありません。
4. まとめ:少子化対策と家計への影響
2026年度から、少子化対策の財源を確保するための「子ども・子育て支援金」の徴収が始まります。
この支援金は医療保険料に上乗せされますが、政府は歳出改革や賃上げを通じて、実質的な負担は生じさせない方針を説明しています。
給付対象は主に子育て世帯となるため、お子さんがいない方やシニア世代にとっては、直接的なメリットを感じにくい制度かもしれません。
しかし、少子化対策は日本の未来を支える重要な課題です。子育てしやすい環境が整うことは、長期的に見て社会全体の持続可能性を高めることにつながると期待されています。
※再編集記事です。





