寒さが一段と厳しくなる中、年末年始の出費がかさんだクレジットカードの明細が届き始め、家計の現実に引き戻される時期でもあります。「あの時のボーナス、もう少し残しておけばよかったかな」なんて、ふと通帳を見返してしまう方もいらっしゃるかもしれません。

そうしたなか、一般財団法人 労務行政研究所が公表した調査結果から、2025年の冬季賞与が過去最高水準に達したことが明らかになりました。

物価上昇が続く一方で、企業の賞与水準にはどのような変化が起きているのでしょうか。

本記事では、東証プライム上場企業を対象とした調査データをもとに、全産業の平均支給額や業界ごとの傾向を整理します。自分の業界の水準を知る材料として、参考にしてみてください。

1. 過去最高を更新した2025年冬季賞与。その水準とは?

今回取り上げるのは、一般財団法人労務行政研究所が実施した「東証プライム上場企業の2025年 年末一時金(賞与・ボーナス)の妥結水準調査」です。

同調査によると、2025年の冬季賞与は、1970年の調査開始以降で最も高い水準となりました。全産業の平均支給額は87万4214円に達しています。

前年度(2024年)の平均額は83万7034円であったため、1年で3万円以上増加した計算です。企業業績の回復や人材確保の動きが、賞与水準の押し上げにつながったと考えられます。

次章では、この平均額が業界ごとにどのように異なるのかを詳しく見ていきます。

2. 業種ごとに見る冬のボーナス水準。最も高いのはどの業界?

冬季賞与の平均額は全体として高水準となりましたが、業種別に見ると金額にははっきりとした差があります。

一般財団法人 労務行政研究所の調査結果をもとに、まずは業界ごとの水準を確認していきましょう。

<製造業>

  • 水産・食品:78万5601円
  • 繊維:86万1117円
  • 紙・パルプ:70万7143円
  • 化学:89万1533円
  • ゴム:83万5000円
  • ガラス・土石:86万9500円
  • 鉄鋼:89万6267円
  • 非鉄・金属:84万3442円
  • 機械:94万8567円
  • 電気機器:98万9924円
  • 輸送用機器(自動車):97万9414円(102万9506円)
  • 精密機器:87万4693円
  • その他製造:79万2573円

<非製造業>

  • 建設:96万3333円
  • 商業:62万1833円
  • 情報・通信:90万7250円
  • 電力:90万1400円

調査結果を平均で見ると、製造業は90万2043円、非製造業は72万8109円という水準でした。

最も支給額が高かったのは製造業の「輸送用機器(自動車)」で102万9506円。一方、最も低かったのは非製造業の「商業」で62万1833円となり、業種間の差が際立つ結果となっています。

また、2025年の夏季賞与でも傾向はほぼ同じで、輸送用機器(自動車)が103万0807円とトップ。反対に、商業は61万1577円にとどまりました。

同じ東証プライム上場企業でも、業種によって賞与水準にここまで開きがある点は、今回の調査で改めて明らかになったといえるでしょう。次章では、2024年との比較を踏まえ、どの業界が大きく伸びたのかを確認していきます。

3. 2024年と2025年を比べるとどう変わった?業種別に見る賞与の伸び

2025年の冬季賞与は高水準となりましたが、前年と比べて「どの業界がどれだけ伸びたのか」を見ると、より具体的な変化が浮かび上がります。ここでは、2024年度と2025年度の実績額を業種別に比較していきましょう。

3.1 2025年度の支給水準

<製造業>

  • 水産・食品:78万5601円
  • 繊維:86万1117円
  • 紙・パルプ:70万7143円
  • 化学:89万1533円
  • ゴム:83万5000円
  • ガラス・土石:86万9500円
  • 鉄鋼:89万6267円
  • 非鉄・金属:84万3442円
  • 機械:94万8567円
  • 電気機器:98万9924円
  • 輸送用機器(自動車):97万9414円(102万9506円)
  • 精密機器:87万4693円
  • その他製造:79万2573円

<非製造業>

  • 建設:96万3333円
  • 商業:62万1833円
  • 情報・通信:90万7250円
  • 電力:90万1400円

3.2 2024年度の支給水準

<製造業>

  • 水産・食品:76万2196円
  • 繊維:84万7547円
  • 紙・パルプ:69万2857円
  • 化学:85万9168円
  • ゴム:82万1000円
  • ガラス・土石:83万5000円
  • 鉄鋼:93万1513円
  • 非鉄・金属:77万0869円
  • 機械:86万4866円
  • 電気機器:94万5425円
  • 輸送用機器(自動車):94万0395円(100万1063円)
  • 精密機器:78万5167円
  • その他製造:76万6097円

<非製造業>

  • 建設:90万1667円
  • 商業:60万3824円
  • 情報・通信:88万3250円
  • 電力:83万2600円

3.3 増加幅が大きかった業界は?

2024年と2025年を比較して、最も増加幅が大きかったのは製造業の「精密機器」です。2024年度の78万5167円から、2025年度は87万4693円へと、約9万円の増額となりました。

次いで増加が目立ったのは製造業の「機械」で、その後に「電力」が続きます。いずれも前年から6万円以上の上昇が見込まれており、賞与水準の底上げをけん引した業界といえるでしょう。

その他の業種も総じて増加傾向にあり、こうした動きが2025年冬季賞与の過去最高更新につながったと考えられます。

一方で、前年から唯一減少したのが「鉄鋼」です。2024年度は93万1513円でしたが、2025年度は89万6267円と、約3万5000円の減少となりました。

次章では、こうした変化を踏まえながら、過去10年間の冬季賞与額の推移を振り返っていきます。

4. 10年でどう変わった?2015年以降の冬季賞与の推移を振り返る

ここで、2015年から2025年までの冬季賞与の推移を時系列で確認してみましょう。一般財団法人労務行政研究所の調査結果によると、この10年間で賞与水準は大きな変化を経験しています。

各年の平均額は、2015年が73万2888円、2016年が71万8124円、2017年が71万2898円と、2010年代後半は70万円台前半で推移しました。

2018年には75万3389円まで回復したものの、2019年は74万7808円、2020年は74万3968円と伸び悩み、2021年には71万5553円まで落ち込んでいます。

この下落局面の背景として考えられるのが、新型コロナウイルスの影響です。企業活動の制限や需要の急減を受け、多くの企業で業績が悪化し、賞与にも抑制がかかったとみられます。

一方、2022年以降は流れが一変します。

2022年は78万6945円、2023年は80万0028円、2024年は83万5133円と回復基調が続き、2025年には87万4214円と過去最高額を更新しました。

この推移を見ると、2021年を底に冬季賞与は明確な上昇トレンドに入っていることがわかります。コロナ禍からの経済活動の正常化や、企業収益の改善が、賞与水準の押し上げにつながっていると考えられるでしょう。

5. まとめにかえて

2025年の冬季賞与は、全産業平均で87万4214円と過去最高を更新しました。

業種別では製造業が高水準を維持し、輸送用機器(自動車)が最も高額となっています。2024年との比較では、多くの業界で増額が見られ、精密機器や機械、電力などの伸びが目立ちました。

また、2015年からの推移を見ると、2021年を底に賞与額は回復基調に入り、直近数年は右肩上がりが続いています。

業界や時期による違いを踏まえ、自身の状況と照らし合わせて今後の家計を考えてみましょう。

参考資料