脚光を浴びるFinTech(フィンテック)

FinTech(以下、フィンテック)という言葉が注目されています。2016年の流行語大賞になるだろう、とは言わないまでも、資本市場や金融機関関係者からは非常に注目されているキーワードです。つい先日も、朝のNHKニュースで取り上げられていました。

フィンテックとはそもそも、金融(ファイナンス)と技術(テクノロジー)を組み合わせた造語で、米国西海岸のシリコンバレーや英国ロンドンで盛んに使われてきている専門用語です。

ただし、フィンテックの内容は具体的に定義されていないというのもまた特徴です。一言でいえば、金融についてICT(情報通信技術)を組み合わせることで、これまでにない使い方ができるというのがポイントです。

ビットコインを支える基盤技術

さて、フィンテックについて具体的に定義されているものがないと指摘しましたが、注目されている基盤技術があります。それは、ブロックチェーンと呼ばれる技術で、昨年マウントゴックスというビットコイン取引所が破産し、話題になったビットコインを支える技術です。

ビットコインは仮想通貨(クリプトカレンシー)と呼ばれ、円やドル、ユーロと違って各国や地域の中央銀行が発行するものではなく、また実際の硬貨や紙幣も存在しません。インターネット上で、ネットワークにあるCPU(中央演算処理装置)を活用し、そのビットコインが誰の所有物かを記録しながら使用することになります。

ブロックチェーンの技術を活用すれば、理論的には仮想通貨を生み出すことも可能なため、一部の金融機関でも熱心に研究が始まっています。次のビットコインを生み出そうと金融機関やICT業界を巻き込んで熱量が高まってきているのではないででしょうか。

決済関連での動きも活発化

フィンテックの別の切り口として注目されているのが、決済や送金のシームレス化です。これまで、決済や海外の送金などで不便さや手数料の高さに辟易された経験のある方も多いでしょう。

フィンテックでは、ICT技術を活用してそうした決済や送金に絡むこれまでの不便を改善し、セキュリティも担保しながらより便利にしようという動きも特徴的です。

こうした観点からは、中国のAlipay(アリペイ)が現時点では最も進んでいそうですが、今、こうした決済関係のサービスプラットフォーム確立を目指して多くのプレーヤーがそのポジションを獲得しようと躍起になっています。

注目銘柄は?

三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)を始めとする日本の金融機関や監督官庁も、フィンテックに対しては前向きに取り組んでいます。また、EC大手の楽天(4755)もフィンテックファンドを運用しています。

フィンテックは新しいキーワードではありますが、大手金融機関やEC事業者が既に熱心に取り組んでいるのが特徴的です。またISID(4812)のように金融機関に強いシステムインテグレーターもフィンテックのカンファレンスを開くなど、ICT業界からも注目されています。

日本ではまだベンチャー企業が多く、上場企業でフィンテック関連銘柄といえる銘柄は少ないですが、2016年はこのキーワードが話題に出ることが多くなりそうです。

LIMO編集部