今月は2か月に一度の年金支給月でもあり、資金計画を立てている方もいらっしゃるでしょう。

近年は物価の上昇が続き、年金だけで生活していくことに不安を感じる場面も増えたかもしれません。

そんな中、公的年金に上乗せして受け取れる「年金生活者支援給付金」という制度があるのをご存じでしょうか。

この制度は、所得が一定の基準を下回る年金受給者の生活を支えるためのものです。

この記事では、どのような人が対象になるのか、3月までの2025年度分はいくら受け取れるのか、そして手続きはどうすればよいのか、といった疑問について詳しく解説していきます。

1. 年金に上乗せされる「年金生活者支援給付金」とは

年金生活者支援給付金は、年金に上乗せして支給される給付金で、以下の3種類があります。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

「老齢・障害・遺族」、それぞれの基礎年金を受給中の人が、公的年金を含めても所得が一定基準以下となる場合に、2カ月に一度、受け取ることができるものです。

2. 年金生活者支援給付金を受け取れる人の条件

年金生活者支援給付金の支給要件について見ていきましょう。

「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」は、それぞれの年金(障害基礎年金もしくは遺族基礎年金)を受給中で、前年の所得が479万4000円以下の人です。

給付金の判定に用いる所得は、障害年金や遺族年金などの非課税収入は含まれません。また、扶養親族などの数に応じて、所得の基準額は上がります。

「老齢年金生活者支援給付金」については、本人の所得以外の要件も加わります。

2.1 「老齢年金生活者支援給付金」の詳しい支給要件

年金生活者支援給付金制度について2/5

年金生活者支援給付金制度について

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

老齢年金生活者支援給付金の支給対象となるのは、下記の支給要件をすべて満たす人です。

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得(給与所得や利子所得など)との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は80万6700円以下

老齢年金生活者支援給付金の判定にも、障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。

また「基準額ギリギリで給付対象となる人」との間に不公平感が生じないように、「基準額をわずかに超えて給付対象外となる人」には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

基準額をわずかに超える方向けの補足的給付金

昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

所得が増えるにつれて、補足的老齢年金生活者支援給付金の給付額は減ります。

3. 【2025年度】年金生活者支援給付金の給付額はいくら?

2025年度の年金生活者支援給付金の給付額は、前年の物価変動率にもとづき、+2.7%の増額となりました。

3.1 2025年度の給付額一覧

 

  • 老齢年金生活者支援給付金(基準額):月額5450円
  • 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級6813円・2級5450円
  • 遺族年金生活者支援給付金:月額5450円

老齢年金生活者支援給付金のみ、上記の基準額をもとに「保険料納付済期間や免除期間」に応じて、実際の支給額が計算されます。

4. 給付金を受け取るための請求手続きの流れ

年金生活者支援給付金の支給対象となった人には、原則として日本年金機構からお知らせを兼ねた請求書が郵送されます。

請求書の送付時期や書類形式は、年金の受給状況により異なります。今回は該当する人が多い2つのパターンを見ていきましょう。

【注意事項】

障害年金生活者支援給付金および遺族年金生活者支援給付金の対象者のうち、基礎年金を初めて新規で請求する方(年金と給付金を同時に請求する方)は、年金機構から給付金の請求書は自動的に郵送されません。

この場合、年金の請求手続きとあわせて、ご自身で年金事務所や市区町村の窓口で給付金の請求手続きを行う必要があります。

4.1 パターン1:65歳で老齢基礎年金を初めて請求する方

老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ4/5

老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ

出所:日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ」

  • 65歳になる3か月前に、年金受給に必要な「年金請求書(事前送付用)」に同封して送付
  • 必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金の請求書と併せて年金事務所に提出

4.2 パターン2:すでに基礎年金を受給中の方

  • 毎年9月の第1営業日から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送される
  • 2025年1月以降に65歳に到達し、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届いた方は電子申請を利用できます
  • 電子申請を利用しない場合は、必要事項を記載し、切手を貼ってポストに投函

なお、支給要件に当てはまるかどうかが確認できない人には「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」および「所得情報等を確認するための所得状況届」が届きます。

4.3 給付金の支給日について

年金生活者支援給付金は、年6回に分けて、偶数月の15日に支払われます。なお、15日が土日または祝日のときは、その直前の金融機関の営業日に前倒しとなります。

年金の受取口座と同じ口座に、同日、年金とは別に振り込まれます。(通帳にはそれぞれ別の振込として記載されます)

各支払月には、原則、その前月までの2カ月分の年金生活者支援給付金が支払われます。例えば、12月に給付されるのは、10月分・11月分の給付金です。

5. 年金生活者支援給付金は、老齢・障害・遺族基礎年金を受け取っている方の生活を底上げするための重要な制度

「年金生活者支援給付金」についてお話ししてきました。

年金だけで生活しているというシニア世代にとって、年金に上乗せがあるのはうれしいことですが、この物価高を考えると厳しい家計収支であることに変わりないかもしれません。

年金は2か月に1回の支給であることも踏まえると、計画的にお金を使っていくことも大事になりますね。

2月の確定申告時期は所得状況を把握しやすく、自身が対象か再確認するのに最適です。せっかくの権利を逃さないよう、ハガキなどの案内が届いていないか今一度チェックし、早めに手続きを済ませましょう。

給付金などがなくても困らないよう、今のうちから無理のない範囲でコツコツ貯蓄を貯めておくのも大切です。

参考資料