5. 【今しかできない体験】楽しみ1位は「旅行」!孫への支出も惜しまないシニアの最新トレンド
家計の「守り」だけでなく、人生を豊かにするための「支出」についても見ていきましょう。
ソニー生命保険が公表した「シニアの生活意識調査2025(※)」によると、シニア世代の楽しみの第1位は「旅行」でした。月間の平均支出は3.4万円と3年連続で増加しており、物価高の中でも余暇を楽しむ意欲の高さがうかがえます。
また、「孫消費」も活発です。年間平均額は前年より8,357円増の11万3,074円に達し、主な使途は「お小遣い・お祝い金(69.8%)」や「外食(54.4%)」が上位を占めています。
現代の60代は、将来に備えつつも、旅行や孫との交流といった「今しかできない体験」を重視する、メリハリのある生活を志向しているようです。
※調査概要:シニアの生活意識調査2025
- 調査名称:シニアの生活意識調査2025
- 調査主体:ソニー生命保険株式会社
- 調査対象:全国のシニア(50歳~79歳)の男女
- 調査期間:2025年10月8日(水)~ 10月9日(木)の2日間
- 調査方法:インターネットリサーチ
- 調査協力会社:ネットエイジア株式会社
- 公表日:2025年11月20日(木)
6. まとめにかえて
シニア世代は現役時代からコツコツと築いてきた貯蓄を背景に、年金と就労収入を組み合わせて生活の質を維持する重要な時期です。
最新の調査からは、堅実に資産を守る一方で、旅行や家族との時間に賢くお金を使うアクティブなシニア像が見えてきました。
豊かな老後を継続させるには、貯蓄の取り崩しだけでなく、年金額を増やす「繰下げ受給」などの制度活用や、長く働くための健康維持も不可欠です。
今のうちから、自分にとっての「お金と時間の最適なバランス」を検討し、準備を進めていきましょう。
7. 繰下げ受給「みんな年金を何歳からもらい始める?」
一般的な老齢年金の受給開始年齢は65歳ですが、「繰上げ受給」で前倒しする方法と、「繰下げ受給」で後ろ倒しする方法を選ぶことができます。
受給開始時期や、年金額の減額率・増額率についても整理しておきましょう。
7.1 繰上げ受給
- 60歳から65歳になるまでの間で受け取り始める
- 原則として「老齢基礎年金・老齢厚生年金」はセットで繰上げ請求が必要
- 繰り上げた月数に応じて年金が減額される
- 減額率:繰り上げた月数×0.4%(最大24%)
7.2 繰下げ受給
- 65歳で受け取らずに「66歳以後75歳まで」で受け取り始める
- 老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰下げが可能。どちらか一方のみ繰下げすることができる
-
繰り下げた月数に応じて年金が増額される
-
増額率:繰り下げた月数×0.7%(最大84%)
-
なお、いったん決まった「繰上げ受給の減額率」「繰下げ受給の増額率」は、生涯適用されます。繰上げ受給をした場合、65歳以降も減額された年金額が続く点には留意が必要です。
また、特別支給の老齢厚生年金には繰下げ制度は設けられていません。
7.3 【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
参考資料
- 厚生労働省 高年齢者雇用安定法の改正~「継続雇用制度」の対象者を労使協定で限定できる仕組みの廃止~
- 総務省統計局「家計調査報告 貯蓄・負債編 2024年(令和6年)」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2024年(二人以上の世帯)」
- 総務省統計局「家計調査 用語の解説」
- 日本年金機構「年金の繰上げ受給」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
マネー編集部貯蓄班


