12月も半ばを過ぎ、街には慌ただしくも華やかな師走の空気が流れています。 この時期は1年間の家計を振り返るとともに、来年に向けたマネープランを練る絶好のタイミングです。
2025年度は公的年金の支給額が1.9%増額改定されましたが、物価高騰が続く現状では、増額分だけで生活のゆとりを確保するのは容易ではありません。 老後の生活設計を立てる上で、まずは自分たちが将来受け取る年金の仕組みを正しく理解しておくことが不可欠です。
日本の公的年金制度は、すべての国民が加入する国民年金と、会社員らが上乗せで加入する厚生年金の2階建て構造になっています。
今回は、意外と知らない年金受給額の実態や、高齢者世帯の収入構造について詳しく解説していきます。 今のうちから制度の基本をおさらいし、安心できるセカンドライフへの準備を始めましょう。
1. 【仕組みをおさらい】日本の公的年金制度は「国民年金と厚生年金」の2階建て構造
日本の公的年金は、「国民年金」を土台とし、その上に「厚生年金」が重なる構造となっており、一般に「2階建て」と呼ばれています。
ここでは、これら2つの年金制度について、基本的な仕組みをあらためて整理していきます。
【1階部分】国民年金(基礎年金)の仕組みをおさらい
- 加入対象:原則として日本に住む20歳から60歳未満のすべての人
- 保険料:全員定額、ただし年度ごとに改定される(※1)
- 受給額:保険料を全期間(480カ月)納付した場合、65歳以降で満額の老齢基礎年金(※2)を受給できる。未納期間分に応じて満額から差し引かれる
※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円
【2階部分】厚生年金の仕組みをおさらい
- 加入対象:会社員や公務員、またパートなどで特定適用事業所(※3)に働き一定要件を満たす人が、国民年金に上乗せで加入
- 保険料:収入に応じて(上限あり)決定される(※4)
- 受給額:加入期間や納付済保険料により、個人差が出る
厚生年金は2階部分に位置づけられ、会社員や公務員が国民年金に上乗せして加入する制度です。
国民年金と厚生年金では、加入できる人の範囲や保険料の決まり方、将来の年金額の算出方法がそれぞれ異なります。
この違いにより、老後に受け取る年金額は、加入していた制度や現役時代の収入水準によって差が生じます。
また、公的年金の支給額は、物価や現役世代の賃金動向を踏まえて、毎年度見直される仕組みになっている点も押さえておきたいところです。
※3 特定適用事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
