キヤノントッキ、2年連続で売上高1000億円超

19年は原価低減や装置大型化に注力

真空蒸着装置は有機ELディスプレーの製造に不可欠(写真はSamsungのGalaxy Note9)

 有機ELディスプレーの製造に不可欠な真空蒸着装置のトップメーカーであるキヤノントッキ㈱の2018年度(18年12月期)業績は、売上高が前年度比19%減の1168億円、営業利益が同52%増の328億円、純利益が同54%増の227億円となった。減収だったが、売上高は2年連続で1000億円を超え、量産用装置の増加や経営の効率化などで大幅な増益となった。

2年間で売上高7倍に

 キヤノントッキは、真空技術応用製品を開発する津上特機㈱として1967年に設立され、93年に有機EL製造用実験装置を完成させた。99年から量産製造用の全自動システム「ELVESS」の販売を開始し、有機ELディスプレーの実用化、量産化に大きく貢献してきた。キヤノングループの一員になったのは07年で、現在は有機EL専用製造装置メーカーとして世界最大の売上規模を誇る。調査会社Display Supply Chain Consultants(DSCC)の調べによると、真空蒸着装置市場で8割近いシェアを有している。

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 有機ELディスプレー市場では、韓国のサムスンディスプレー(SDC)が16年に9.8兆ウォン、17年に13.5兆ウォンという大型投資を断行し、スマートフォン用中小型の大増産を進めた。これに伴って、キヤノントッキの真空蒸着装置に引き合いが急増し、売上高は16年度が前年比3.3倍の703億円、17年度はさらに2倍の1435億円へと急拡大し、15年に比べて売上高は2年で約7倍に伸びた。

 だが18年は、スマホ用有機ELの需要不振によって、SDCが増産投資を大幅に抑制し、設備投資額をわずか2.9兆ウォンにとどめた。これに伴い、過去2年に比べて真空蒸着装置の需要も下ぶれしたが、キヤノントッキはSDCを追撃する韓国LGディスプレーや、BOEなどの中国パネルメーカーに出荷したとみられる。

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19年は体質強化に注力

 19年は、ディスプレー各社の投資一巡によって、真空蒸着装置の需要減少が見込まれる。キヤノントッキの親会社であるキヤノンの18年10~12月期決算によると、「現在はスマートフォン市場の減速によって、パネルメーカーの投資が一巡している。これまでは旺盛な需要に応えるべく(真空蒸着装置の)増産対応に追われる状況だったが、次の投資拡大フェーズに備えて、今後は収益体質をより一層強化していく」と説明している。

 具体的には、部品点数の削減による装置のダウンサイジングや、コストダウンしやすい汎用部品への切り替え、生産工程の標準化など、原価低減活動を加速させていく考え。また、テレビ用の大型有機ELディスプレーの需要が拡大しているため、大型蒸着装置の開発も進めていく方針だ。

電子デバイス産業新聞 編集長 津村 明宏

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津村 明宏(電子デバイス産業新聞)

1995年3月 関西大学 経済学部卒。1999年3月 ㈱産業タイムズ社に入社。
電子デバイス業界の専門紙である電子デバイス産業新聞(旧・半導体産業新聞)の記者として、2007年より副編集長、2009年12月より編集長