5. 平均寿命の推移から見る「人生100年時代」はすぐそこに!

私たちは日頃「平均寿命」という言葉を何気なく使っていますが、これは0歳の平均余命を指します。

厚生労働省が2025年7月25日に公表した「令和6年簡易生命表の概況」によると、最新の平均寿命は男性が81.09年、女性が87.13年でした。

前年と比較すると、男性は横ばい(▲0.00年)、女性はわずかに下回りました(▲0.01年)。また、平均寿命の男女差は6.03年で、前年より▲0.01年とわずかながら縮まっています。

過去の推移も見てみましょう。

  • 昭和22年:男50.06 女53.96 男女差3.90
  • 昭和25-27年: 男59.57 女62.97 男女差3.40
  • 昭和30年: 男63.60 女67.75 男女差4.15
  • 昭和35年: 男65.32 女70.19 男女差4.87
  • 昭和40年: 男67.74 女72.92 男女差5.18
  • 昭和45年: 男69.31 女74.66 男女差5.35
  • 昭和50年: 男71.73 女76.89 男女差5.16
  • 昭和55年: 男73.35 女78.76 男女差5.41
  • 昭和60年: 男74.78 女80.48 男女差5.70
  • 平成2年: 男75.92 女81.90 男女差5.98
  • 平成7年: 男76.38 女82.85 男女差6.47
  • 平成12年 :男77.72 女84.60 男女差6.88
  • 平成17年:男78.56 女85.52 男女差6.96
  • 平成22年:男79.55 女86.30 男女差6.75
  • 平成27年 男80.75 女86.99 男女差6.24
  • 令和2年 男81.56 女87.71 男女差6.15
  • 令和3年 男81.47 女87.57 男女差6.10
  • 令和4年 男81.05 女87.09 男女差6.03
  • 令和5年 男81.09 女87.14 男女差6.05
  • 令和6年 男81.09 女87.13 男女差6.03

長期的なデータを見ると、男女ともに平均寿命が大きく延びており、「人生100年時代」が現実味を帯びてきたことを実感することができます。

長くなった老後を豊かに過ごすためには、現役時代からの計画的な貯蓄や資産形成、さらには公的年金制度への理解が大切となってくるでしょう。

6. まとめにかえて

この記事では、公的年金(厚生年金・国民年金)の平均額、70歳代の貯蓄の現実、そして年金生活世帯の家計収支の赤字構造を検証しました。

公的年金の受給額には男女差・個人差が大きく、また、貯蓄が潤沢な世帯もあれば、貯蓄ゼロの世帯も約2割存在し、資産状況の二極化が浮き彫りになりました。

そして、長寿化の進展を示す平均寿命の伸長は喜ばしいことですが、標準的な年金収入の夫婦世帯が月々赤字になっている家計収支を見ると、長生きすることへの「お金の備え」の重要性を再認識させられます。

公的年金はセカンドライフの基礎ですが、それに加え、健康寿命を意識した就労による収入の確保や、少額でも長期的な資産運用を検討するなど、今からできる対策を始めていくことが、不安の解消につながるでしょう。

参考資料

マネー編集部貯蓄班