6. まとめにかえて
本記事では、公的年金の平均受給月額と、70歳代の貯蓄状況、そしてほぼ年金オンリーで暮らす65歳以上夫婦世帯の家計収支の現実を見てきました。
厚生年金の平均は14万円台後半、国民年金は5万円台後半でしたが、月額階級別の受給権者数を見ると、受給額には大きな個人差があることがわかります。
また、70歳代夫婦の貯蓄中央値は800万円、一方で貯蓄ゼロの世帯も2割以上存在し、資産格差の広がりも浮き彫りになりました。
さらに、標準的な年金収入で暮らす65歳以上の無職夫婦世帯の家計は、平均で月々3万4058円の赤字が生じており、年金だけで生活を維持するのが難しい現実も明らかになりました。
2025年後半にかけても、食料品を中心とした物価の動向から目が離せません。公的年金は生活の土台となりますが、それだけに頼るのではなく、資産状況に応じた老後の生活設計が不可欠です。
健康面・体力面が許すうちは短時間の就労で収入をカバーしたり、新NISAのような制度も活用した計画的な資産形成をしたりと、できることから少しずつ対策を始めていくことが、老後の安心につながるでしょう。
参考資料
マネー編集部貯蓄班
執筆者
マネー編集部貯蓄班は株式会社モニクルリサーチが運営する『くらしとお金の経済メディア ~LIMO(リーモ)~』において、大手証券会社やメガバンク等の金融機関にて勤務経験のある編集者が中心となり、金融庁や総務省など官公庁の公開情報等をもとにお金の課題に寄り添う専門チームです。
主なメンバーは野村證券株式会社出身の宮野茉莉子、SMBC日興証券株式会社出身の安達さやか、地方自治体職員出身の太田彩子、株式会社三菱UFJ銀行と三井住友信託銀行株式会社出身の和田直子、株式会社三菱UFJ銀行出身の中本智恵、日本生命保険相互会社出身の村岸理美など。
編集者の多くは、金融機関にて個人リテール業務を経験。若年層からシニア層、富裕層に至るまで、幅広い顧客に対し、投資信託・保険を中心とした総合的なライフプランニングを実行してきた。なかには、リテール営業で社内トップの実績を持ち、行内で表彰された実力者も。人材育成や社内教育にも携わるなど、金融知識と実務経験の両面で信頼される編集者が在籍しています。
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、一種外務員資格(証券外務員一種)などの資格保有者も多数在籍。(最新更新日:2025年6月23日)
監修者
校閲者・編集者/記者/二種外務員資格(証券外務員二種)
早稲田大学第一文学部卒。学参系編集プロダクションなどで校正・校閲・執筆を経験。人文・社会系一般書籍、中学・高校社会科教材、就職試験問題の制作関連業務で15年以上の経験を持つ。現在はLIMO編集部において、金融系メディアの編集者兼執筆者として、コンテンツ制作や編集に携わる。紙媒体での経験を生かし「お金とくらし」にまつわる情報を丁寧に発信している。ニ種外務員資格(証券外務員二種)保有。(2025年11月22日更新)