2019年3月16日のダイヤ改正によって、JR山手線内回りの品川行き最終電車が約30分も早まりました。この改正は、30分近くの大幅な時間変更があるということで大きな話題を呼びました。
その一方で、東京都と東京オリンピックの大会組織委員会が前日の3月15日、「大会期間中の運行時間を最大90分繰り下げることをJRや私鉄各社と合意した」と発表しました。
同時期に話題を呼んだ2つの「終電」ニュース。それぞれ詳しく見てみましょう。
早まる終電
JRは毎年ダイヤ改正を行っています。新しい電車の運行や新幹線など他の路線との時間調整など、理由はさまざまです。
今回の山手線に関する大幅なダイヤ改正は、品川駅の工事による留置線の廃止に伴うものです。それによって、山手線の内回り最終電車が早まっただけでなく、終点が品川駅のひとつ手前である大崎駅に変更されました。渋谷駅発の品川駅に行く最終電車は、以前の午前1時7分から、27分も早い午前0時40分になり、品川駅を夜遅くに利用していた人にとっては痛手となるかもしれません。
実際、年度末の金曜だった3月29日には、品川駅を降車駅や乗り継ぎ駅として利用しているとみられる人を中心に、
「ダイヤ変わったの知らずに山手線に乗ろうとしたら電車終わってた」
「終電後の山手線某駅でタクシー待ちの行列ハンパない」
などの嘆きがネット上でも散見されました。
早まることへの世間の反応は?
品川行きの終電が早まることに対して、周辺の利用者の間では、
「居酒屋にあまりいれなくなってしまった」
「飲食業界には痛手かもしれない」
のような、「仕事後の楽しみ」に対して不安に思う声が上がっている一方で、
「残業が減れば良い」
「JRの社員さんも早く帰れるようになるといいですね」
といった、長時間労働を改善する一歩になるかもしれないという前向きな意見も多く見られます。
遅くなる終電
終電が早くなったというニュースの一方で、東京オリンピックの開催を受けて、電車の終電時間を遅らせるというニュースも流れました。
記事の冒頭でもお伝えしたように、東京都および東京オリンピック大会組織委員会は、大会期間中の2020年7月24日から8月9日まで、終電時間を最大90分繰り下げることを関係各社と合意したと発表しました。対象路線は都心から70キロ圏内の60路線にも及び、JR山手線や東京メトロ、都営地下鉄は午前2時ごろまでの運転を検討しているようです。
このオリンピック期間中の臨時ダイヤについて、世間では、
「現場を殺す気か」
「終電を早めたり遅くしたり、鉄道業界は大変だ」
といった、鉄道の現場に対する同情の声が多く上がっています。しかし、オリンピックの競技自体が夜遅くまで及ぶため、現行のダイヤでは対応できないのが実際のようなのです。
これからの働き方や休み方はどうなる?
2019年2月には、東大阪市のセブンイレブンの店主が人手不足を理由に営業時間を短縮したところ、本部から契約解除と違約金を要求されたという騒動もありました。この事件が発端となって、コンビニエンスストアの24時間営業に対しては、議論が活発化しています。
世間では半数以上が、24時間営業でなくとも「困らない」と回答しており(リサーチプラス調べ)、夜遅くの労働に対して疑問視する意見も多く見られます。また、特に若者の多くが「困らない」と回答しているといいます。
経済成長を図るために、ひたすら「便利さ」を追求していた時代から状況は変わり、現在は経済や社会が成熟したと言ってもよい時代でしょう。そのような中、政府も「働き方改革」を掲げ、積極的に長時間労働を減らそうとしています。
成熟した社会で育った若者が「困らない」と回答しているこの時代。鉄道やコンビニなど「便利さ」が重要視されていた業界に対しても、関係者が早く帰って家でゆっくり休めるような「ゆとり」を求めてもよい時代なのかもしれません。
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