現在、政府が新たな所得支援の仕組みとして検討を進めているのが「給付付き税額控除」です。
高市総理は、現金給付に代えてこの制度の導入を目指す方針を示しています。
税額控除と現金給付を組み合わせることで、低所得者から中間層まで幅広く支援を行える点が大きな特徴といえます。
本記事では、給付付き税額控除の仕組みや導入の狙い、そして「減税・給付・再分配」という3つの観点から、その意義をわかりやすく解説します。
1. 「給付付き税額控除」ってどんな仕組み?
「給付付き税額控除」とは、所得税の減税(税額控除)と現金給付を組み合わせた制度です。
通常の減税制度は「税金を納めている人」だけが恩恵を受けますが、この制度では、所得が少なく納税額がゼロの人や、住民税・所得税が非課税の世帯にも支援が行き届きます。
つまり、給付付き税額控除は単なる減税策ではなく、低所得者層や非課税世帯に対して実質的な現金給付を行う新しい支援の仕組みとして期待されているのです。
1.1 【給付付き税額控除】控除額を10万円とした場合
【中・高所得層】
- 所得税の納税額:30万円(控除額10万円を上回る)
- 控除・給付の適用:10万円が減税として適用
- 最終的な効果:納税額が20万円に軽減され、税負担が減る
【低所得層】
- 所得税の納税額:8万円(控除額10万円を下回る)
- 控除・給付の適用:8万円分は減税(納税ゼロ)、残り2万円を現金給付
- 最終的な効果:納税額がゼロになり、さらに2万円が現金で支給される
【非課税世帯】
- 所得税の納税額:0円
- 控除・給付の適用:控除する税金がないため、10万円が全額現金で支給
- 最終的な効果:減税の恩恵を受けられない層にも直接的な支援が届く
