2019年2月22日に行われた、株式会社オークネット2018年12月期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料
スピーカー:株式会社オークネット 代表取締役社長 藤崎清孝 氏
当社ビジネスの特徴
藤崎清孝氏:藤崎でございます。本日はお忙しいなか、当社の決算説明会にお越しくださいまして、誠にありがとうございます。それでは、株式会社オークネットの2018年12月期の決算の説明をさせていただきます。
まず、簡単に当社の会社概要、そして連結実績、セグメント状況、当期の連結業績予想という流れで話をさせていただきます。
まず会社概要です。当社の主な特徴は、オンラインによるリアルタイムオークションということです。当社は、三十数年前から、オンラインによって情報だけで流通させるというユニークなオークションを始めた会社です。そして、事業領域としては、主にBtoBの流通を行う会社です。
オークネットの歩み
当社は中古車のオークションからスタートした会社です。現在も中古車オークションを主流にしておりますが、1985年からはリアルタイムオークションをスタートし、その後、このビジネスモデルを活用して、1993年には中古バイク、1997年には花き、2005年には中古デジタル機器、2008年にはブランド品、そして2011年には中古医療機器といったかたちで、他分野に展開しています。
オークネットの流通規模
当社の流通規模ですが、当社が流通して扱っている取扱高に関していいますと、3,800億円を超えています。会員数は、国内外を通じて約25,000社の会員さまとお取引をしています。各事業の取扱高につきましては、ここ(スライド)に載っているとおりです。
事業構成
当社の事業構成です。昨年度の売上高が194億円で、そのうち約60パーセントを四輪事業が占めています。そして、約20パーセントがデジタルプロダクツ事業。また、(スライドの)左上にありますように、ブランド品・中古バイク・花きといったその他の事業が約14パーセントという事業構成になっています。
連結業績サマリ
続きまして、連結の実績です。2018年12月期は、売上高が194億9,200万円と、前年比で0.4パーセント増。営業利益が32億1,900万円で、(前年比で)0.8パーセント減。経常利益が33億800万円で、(前年比で)0.4パーセント減という結果です。
1株当たり当期純利益は62円19銭となり、(前年比で)4円78銭減です。1株当たり配当金は26円を想定しています。
セグメント別増減
セグメント別の増減を(スライドの)グラフに掲げております。上段が売上高です。(全体の)売上高は、前年とほぼ同じような数字になっておりますが、内容的には四輪事業が2億5,300万円ほど減り、その分、その他事業で3億6,300万円(増加)となっています。
下段のセグメント利益は、微減となっています。四輪事業が2億2,200万円程度増えていますが、デジタルプロダクツ事業・その他事業が約1億円ずつ減ということで、このような結果になっております。
四輪事業 概要
それでは、セグメント別の状況についてお話しします。まず、四輪事業です。四輪事業は、当社の創業以来のビジネスで、オークションを中心に、流通をトータルサポートするというビジネスを行っている事業です。現車会場を持たないオンライン・オークションを行っているということが、大きな特徴です。
情報だけで流通させるためには、この(スライドの)左側にありますように、車両の検査が非常に重要です。別会社でAISという会社を設け、全国に約180名の検査員を配備して、彼らが信頼に足る情報化をしています。
その情報をもとに、(スライドの)真ん中にあります当社主催の中古車流通として、中古車のオークションおよび共有在庫市場といった流通を行っています。
そして、(スライドの)右側の他会場との提携としては、当社の会員さまが、当社のオークションだけではなく、ほかの現車会場さまからも落札ができるというサービスを行っています。
落札代行サービスは、アイオークという別会社で、別の会員組織を持ち、全国112会場の車を落札できるサービスです。また、当社の会員店さまがライブで中継した車をリアルタイムで買える、中継オークションといったものも行っています。
四輪事業 セグメント実績①
セグメントの実績です。四輪事業につきましては、減収増益という結果になりました。
主な内容としては、中古車オークションは、後ほど少しお話ししますけれども、バリューアップセンター(の本格稼働)や、ディーラー系、レンタル・リース系へ向けた出品誘致といった施策が功を奏し、成約率が堅調に伸びています。
共有在庫市場につきましても、いろいろな促進キャンペーン等の効果で、(成約台数が)増加しています。
そして、ライブ中継オークションも、後でお話ししますが、「おまとめサービス」という新たなサービスの利用促進によって、落札台数が増えている状況です。
唯一、落札代行サービスについては、大手入札会場の開催中止もあり、落札台数が減少したという結果です。
車両検査サービスについては、現車会場あるいは中古車情報誌等からの受託検査台数等が増え、堅調に推移しています。
四輪事業 セグメント実績②
四輪事業のセグメント実績の内容です。KPIですが、(スライドの表の)最上段が四輪事業全体の落札台数で、(前年同期比で)4.4パーセント増となり、落札シェアも増えています。
内訳としては、中古車オークションでは、総出品台数・成約台数ともに前年を上回りました。共有在庫市場についても、前年を上回ることができました。ライブ中継オークションでは、中継台数は減りましたが、落札台数は増加することができました。
先ほど触れた落札代行サービスについては、(前年同期比で)91.6パーセントということで、前年をショートしています。(車両検査サービスの)検査台数は約90万台で、(前年同期比で)6.5パーセントの増加という結果になりました。
四輪事業 セグメント実績③
(スライドの)左側にありますように、四輪事業の中古車のオークションについては堅調に推移しており、出品・成約ともに増加しています。
また、当社の扱っている車の内容自体も、(成約車両金額の)市場平均は1台あたり54.3万円ですが、当社はその倍の100万円を超える車が流通しているということで、質の高い車が流通しているということになります。
四輪事業 年間重点取組事項①
そして、先ほど触れたバリューアップセンターがどういうものかといいますと、(スライドの)左下にあるように、オークションへかける際により高く車を販売するために、こちらのバリューアップセンター、デポに入れていただきます。ここでのクリーニング、あるいは検査・加修等を当社が行い、全体的に価値を高める、すなわちバリューアップしていくというセンターを、全国7ヶ所に設け、ここ数年、サービスを提供しております。
(スライドの)右側にあるように、流通・出品・成約すべてにおいて増加傾向にあるということで、効果を発揮しています。
四輪事業 年間重点取組事項②
もう1つ、昨年度から「サテロクプレミアム」というサービスを始めました。これは、査定と登録ができるということで「サテロク」という名称にしております。当社の会員店さんが下取りあるいは仕入れをするときに「サテロクプレミアム」を活用することによって、非常に簡単に査定・登録ができるというサービスです。
こういった入力端末は、従来からこの業界にもよくあるのですが、当社の特徴としては、(スライドの)真ん中にありますように、AISの蓄積した検査データをもとにして、いろいろなサービスを付加しているというところです。
例えば、スライドにある「修復歴AI Assistant」という機能は、「この車種は過去にどういうところに修復歴があったか」という傾向を示し、検査員に(事故の)可能性のある箇所をしっかり見ていただくことができるというものです。
また、「AIS Dictionary」という機能は、車種が非常に多い中で、1台ずつチェックしていくとき、例えば車体番号一つとっても、輸入車はとくにそうですが、どこに車体番号があるかわからないということがあります。車体番号を探すだけで30分かかってしまうということも、よくあります。このようなことを、写真などでデータ化して、共有しています。
仕入れ場面で、非常に簡単に登録し、査定することができるということで、会員さまに対する利便性向上ということを含めて、このサービスを提供し始めています。いったん情報化しますから、その情報をもとにして、その後の流通に繋げるということが非常にしやすくなるということで、今後も拡大していきたいと考えております。
四輪事業 年間重点取組事項③
そしてもう1つ、先ほど触れた、ライブ中継オークションでの「おまとめサービス」です。これは、いろいろな会場から買ういままでのやり方ですと、各会場ごとに落札の金額を入金しなければならず、決済関係が別々ということが非常に手間でした。
当社のこの「おまとめサービス」を使うことによって、複数の会場で落札した車両も、決済・陸送関係が一括でできるようになります。しかも、支払延長も可能です。こういった部分も功を奏して、(会員数が)拡大してきています。
デジタルプロダクツ事業 概要
続きまして、デジタルプロダクツ事業についてお話しさせていただきます。デジタルプロダクツ事業は大きく2つに分かれ、1つは日本国内を中心とした中古PC等のオークション流通。そしてもう1つが中古スマートフォン流通で、主に海外で大きな流通になっています。
どちらも、当社センターに入庫していただいて、センターにて検品・データ消去・評価等を行います。スマートフォンについてはセンターにて商品化まで含めて行い、オンライン・オークション取引をして流通させるというビジネスです。
デジタルプロダクツ事業 セグメント実績
昨年度のデジタルプロダクツ事業のセグメント実績は、残念ながら減収減益という結果になりました。主な理由は、中古スマートフォンの流通(の不振です)。
上期は、新型スマートフォンが出るということで、期待による買い控え等がありました。ところが、この秋(2018年秋)に発売された新型スマートフォンは、なかなか売れませんでした。(新型スマートフォンの)販売不振により、買い替え需要が想定を大きく下回ったことで、流通台数が減少しました。
しかし、当社では引き続きグローバルに会員組織が拡大しており、大きなネットワークになってきています。国内を中心とした中古PCについては、堅調な推移です。
残念ながら、(スライドの)右下の表にあるとおり、(デジタルプロダクツ事業の)取扱高・流通台数ともに前年同期を大きく下回ってしまったという結果ですが、会員数は増加しています。
デジタルプロダクツ事業 年間重点取組事項
今後の取り組みですが、まずはやはり会員数拡大です。昨年度で531社ということで、これだけの海外におけるネットワーク、バイイングパワーを持っているのは、当社の大きな強みだと考えています。
そういう意味では、こういった全世界的なバイヤーをいかに拡大し、強化していくか、または高く売れるようにしていくかということ……こういった部分は、これからもしっかりやっていきたいと思います。そして、リファービッシュという再生品の流通も、耕していきたいと思います。
グローバル事業展開_デジタルプロダクツ事業市場規模
もう1つ、当社が今年度力を入れていきたいのが、海外展開です。なかでも、米国での事業を進めていきたいと思います。
(スライドの)図にありますように、日本は約600万台程度の中古の市場がありますが、アメリカの市場は約3,000万台で、日本の約5倍の流通が行われています。このような大きな市場の中で、当社も流通を手がけていきたいと考えています。
グローバル事業展開①
数年前から、(アメリカへの)進出を検討してまいりましたが、昨年、非常によいかたちでこの展開ができ得る態勢になることができました。具体的には、2018年11月にADP USAという会社を設立し、テキサスにある大手の中古スマートフォンの流通をしている事業者から、設備や関連した部分のものをすべて承継することができたということで、一気に日本と同等の拠点を作ることができました。
しかも、このサイト自体は、(スライドの)下部の説明にあるとおり、R2という認証をすでに取得しています。アメリカの規定で、R2認証がないと中古スマートフォン等は扱えません。このように、この(2019年12月期)上期には、いよいよ(アメリカでの事業を)スタートできる態勢になってきたと思っています。
グローバル事業展開②
これまでは、(スライドの)図の左上にある日本におけるデータセンターの中でデータ消去・グレーディングして、サービスプラットフォームをもとに海外・日本に流通していました。
それに加え、今年度は、米国でも同じようなスキームを整えて、米国での流通をしっかり取り、当社のバイイングパワーの源である会員店さまに対して流通していくことに力を入れていきたいと思います。
その他情報流通事業 概要
続きまして、その他情報流通事業です。その他の流通事業は、先ほど触れましたように、ブランド品・中古バイク・花きの3つです。
その他情報流通事業 セグメント実績①
この3つのセグメントの実績は、昨年度は増収減益という結果になりました。ブランド品につきましては、また後で触れますけれども、好調に推移をしていまして、いまはまだ伸び盛りという状況です。
中古バイクにつきましては、取扱高は前年並みですが、小売不振等で出品台数が減少してしまっています。
そして花きも、残念ながら昨年度は自然災害、とくに台風等で非常に大きな影響があり、取扱高が減少してしまったという結果です。
その他情報流通事業 セグメント実績②
3事業のKPIです。ブランド品は、ここにありますように、取扱高・総出品商材数ともに増加しており、会員数も増加しているという状況です。
中古バイクにつきましては、出品台数は前年並みですが、成約率が落ちています。そして花きも、取扱高が減ってしまいました。
その他情報流通事業 年間重点取組事項①
これからの重点取組です。ブランド品は、(スライドの)左側にありますように、順調に推移しています。なかでも、海外の取扱高が、まだ少ないものの、順調に伸びています。
海外バイヤーがバイイングパワーを付けてきて、商品が高く売れることで活性化が進みつつあり、グローバルオークションが拡大しています。香港・米国・カナダ・東南アジア・ヨーロッパ等、海外におけるバイイングパワーの拡大をしっかりやっていきたい(と考えています)。
その中の1つとして、米国でのLePrixという企業……これは、ベンチャー的な企業ではありますが、既に500社以上の会員を持っています。当社の商品を買っていただきたいということで、こちらの企業と業務提携をしています。
そして、昨年度からシンガポールでのオークションを行っています。商習慣的にまだまだ普及が進んでいませんが、これから大きな拡大を見込みたいと考えています。
その他情報流通事業 年間重点取組事項②
続きまして、中古バイクです。中古バイクにつきましては、国内における流通の規模も大きくなっていないということで、非常に苦戦しています。会員さまに対するサービス内容自体を、しっかり強化していくということ。そして、小売向けのサイトである「バイクの窓口」といった情報流通・情報販売的な部分でのサービスを強化することで、拡大を図っていきたいと思います。
そして、花きは、昨年(2018年)の暮れ頃から、新たに「お取寄せ取引(リバースサイト)」というサービスを開始しました。
いままでは、切り花などができたときに、生産者が市場に持ってくる。そして、バイヤーはその中から選択して買うという、一方通行的な市場でした。当社は、情報で流通させることの強みを活かし、バイヤーである花屋さんその他のところが、「こういうものがいつ欲しい」ということを逆に発信して、出荷者に対してそれを出荷してもらう「リバース」という流通の仕方(を提供しています)。国内においては非常にユニークな試みだと思いますが、こういったものも手がけて、新たな流通を作っていきたいと思います。
そして、「贈答の窓口」においても、大手法人顧客等の拡大をしていきたいと思っています。
その他事業の取組施策_医療事業
最後に、その他の事業です。今回は、主に医療事業のお話しをします。医療事業はいままで、(スライドの)左側にありますように、中古医療機器の流通を行っていました。一昨年頃から、もう1つ、病院向け自動受付精算機KIOSK端末の流通サービスを、販売も含めて提供しています。
それに加えて、昨年(2018年)の後半から、医師のための医療動画プラットフォーム「iryoo.com」というサービスも開始いたしました。日経メディカルさんとも連携して、医師同士が動画投稿を通じて、お互いの医療知識を高めるプラットフォームを提供しています。
医療業界では、動画によるいろいろな研修や教育が広く行われるようになってきました。その中で、医師自身が、動画を通じていかにわかりやすく情報を得るかということが非常に重要になっています。このことから、日経メディカルさんからも賛同をいただき、連携して広めようということでスタートしたビジネスです。
この医療事業は、会社に対する貢献度合いはまだまだ低いのですが、医療業界自体は非常に大きな市場であり、裾野の広い、ポテンシャルのある事業だと認識しています。そこで、今年度から社内で医療事業部門というかたちで独立して、こういったサービスを大きく展開していくことになりました。今後に期待していきたいと思います。
2019年12月期 連結業績予想
最後に、今年度の連結業績の予想です。2019年12月期におきましては、売上高は206億2,400万円で、(前年比で)5.8パーセント増。営業利益は35億1,200万円で、(前年比で)9.1パーセント増。経常利益は36億7,900万円で、(前年比で)11.2パーセント増。1株当たりの当期純利益は78円42銭、1株当たりの配当金は26円を想定しています。
当社は、ユニークなリアルタイムオプションからスタートしました。新たな次世代の流通を目指して、これからも邁進していきたいと思っていますので、ぜひご支援・ご協力いただければと思います。ありがとうございます。