2019年2月7日に行われた、株式会社メルカリ2019年6月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料
スピーカー:株式会社メルカリ 取締役社長 COO 小泉文明 氏
株式会社メルカリ 執行役員 CFO 長澤啓 氏
CtoCマーケットプレイス事業の成長イメージ
小泉文明氏:みなさん、よろしくお願いいたします。本日はお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。これから第2四半期の決算説明をさせていただければと思っております。お手元に資料があると思いますので、その資料に沿ってご説明できればと思っております。
まず成長イメージです。日本のメルカリに加えて、今後新規事業に乗ってくるメルペイ。ならびに、USの事業がどう乗ってくるのかのご説明です。現在メルカリJPは足元も好調に伸びている状況でして、今後さらにAIを活用してこの成長を加速させていきたい。ここまでは、おそらくみなさんも理解している話かなと思います。
メルペイが加わると、後ほど詳細をご説明しますが、メルペイは基本的にはメルカリで売り上げたお金……例えばTシャツが5,000円で売れた場合、メルカリでは手数料を10パーセントいただきます。4,500円がお客さまのアカウントに入りますので、その4,500円を今まではメルカリの中で使うのか、もしくは銀行の自分のアカウントに引き落とすのかの二択だったんです。
そこに今度は、この4,500円を街の中の店舗……いろんな加盟店の方々に協力していただきまして、店舗でメルペイを使えるようになる。そうなってきますと、よりメルカリで物を売りたい。物をたくさん売って、また街中で使いたい。
銀行にアカウントを持つのはけっこう手間でもありますので、メルペイを使えば使うほど、メルカリでもっと物を売って便利に生活したいという声が出てきますので……どのぐらい出てくるのかはわからないのですが。グループの中としては、メルペイのスタートによってメルカリもGMVが伸びる。そういう効果も見込まれると思っておりまして、非常にうまくメルカリ・メルペイをつなげていきたいと思っております。
3点目のUSですが、USも資料にあるとおり足元順調に伸びてきている状況でして、投資金額としても引き続き、同じような水準を規律を持ってやっている状況ながら改善していきますので、きっちりと中長期的にはこういう(グラフの)かたちで積み上がっていくものにしていきたいと思っております。
FY2019.6の事業方針
そういう中で事業の方針です。
連結ですが、私たちの会社は、冬物のアパレルはどうしてもコートなどを中心に単価が高いこともありまして、例年第2四半期は大きくジャンプアップする四半期でして、シーズナリティがある特徴がございます。ですので足元は非常に良い数字が出ていますが、下半期にかけてシーズナリティの問題もありますし、積極的な投資も行っていきますので、この点についてはみなさまにもご理解いただきたいなと思っております。
JPに関しては引き続き、AIを初めとしたテクノロジーの投資を行っていきます。やはり日本の健全な成長が私たちのグループの柱と思っていますので、きちんとメルカリJPの伸びをキープしていきたいと思っています。
2点目のUSでございますが、月間100ミリオンUSドル、だいたい100億円強。この点を1つのターゲットにしていきますので、これに向けて投資規律を保ちながら、きっちりと成長スピードと今のトレンドを伸ばしていきたいと思っています。
3点目のメルペイですが、先ほど話したいわゆるエコシステムを作っていきたい、今年度中にきちんと立ち上げたいと思っていますので、その立ち上げ後のマーケティングでありますとか、投資はしっかりやっていきたいと思っています。
これはまだローンチのスケジュールも決まってない状況ですので、ローンチして当然みなさまにもご説明した上で、今後の投資の規模感をお伝えできればと思っております。ですので、かなりまだまだ引き続き投資して、事業のトップラインを伸ばしていきたいと思っています。
メルカリの考えるAI
AIなのですが、よく私たちは「AI、AI」と言いますが、「アンタたちの店で何か良い影響があるの?」という話もあるかと思っています。私たちがまず一番重要視しているのは、出品の改善だと思っています。
私たちはC2Cのマッチングのサービス、プラットフォームになっていますので、在庫を持つモデルではないです。逆に出品が在庫になりますので、出品をいかに手軽にするかが、非常に重要な先行指標になるのではないかなと認識しています。
例えば今……宣伝みたいになりますが、メルカリの本が先日出ました。こういう本のバーコードを撮ってバーコードから本のデータベースを引っ張ってくるものもありますし、同じデータベースにはなるのですが、表紙を撮っていただくと本の情報を引っ張ってきたりもできます。
私がG-SHOCKの時計をカメラで写真を撮った瞬間に、ジャンルが「時計」で選ばれて、ブランドが「CASIO」で「G-SHOCK」と出てきます。そういうかたちでサイズであるとか、いろんなところにAIを活かして、人間が入力するものをなるべく減らしたいと思っています。
実は、USではさらに進んでいます。アメリカの場合、シッピングコストに対して重さも非常に関係しますので、カメラで撮った場合にだいたいの重さの推計もやっています。
いろんなところにテクノロジーが入ることによって、お客さまに「売ること」を空気のように体験していただきたい。私たちの生活の中では、「買うこと」はかなり空気に近付いてきているのではないかと思います。
何か欲しいと思ったら、すぐそのときにAmazonであるとか、当然メルカリでも良いのですが、(サイトやアプリなどを)開けば「買うこと」は空気みたいな存在になっていると思うんです。「売ること」に対してAIの知能を使っていく。その投資をきっちりとしていきたいと思っています。
あとは、メルカリとメルペイのデータです。メルペイを通じて、おそらくかなりの店舗さまと一緒にいろんなデータが取れてくると思っています。今までの現金を中心とした社会においては、どういうものに本当にお金が使われていたか、わかりづらかったと思っています。
メルペイを通して、実際のお金の使われ方を見える化していく。それをベースとしたサービス連携に対してAIを使っていきたいと思っていますので、引き続きこのテクノロジーで世の中を変えることにコミットしていきたいと思っています。
ここまでが大きな話です。このあとは長澤にバトンタッチしまして、第2四半期の決算概況についてご説明できればと思っております。
決算概況 2Q(10月–12月)
長澤啓氏:それでは私から、第2四半期の決算概況についてご説明させていただきます。
まずサマリーです。連結でGMV(流通高)が1,388億円。年率の成長率は前年同期比で49.9パーセントと、非常に高い成長を実現しております。売上高で132億円。小泉が申し上げたとおり、我々の事業を大きく3つに分けてお話しさせていただきたいと思っています。
まず、メルカリの日本。ここはコアな事業で、引き続き成長力が非常に強い状況になっています。流通高が1,289億円、年率の成長率で48.7パーセントと、前年同期比の成長率が上がっている状況です。
ここに関しては後ほどもご説明しますが、やはり第2四半期は我々の事業の特性上非常に強いシーズンになっていますので、第2四半期をピークとして第3四半期・第4四半期と成長率そのものが多少なだらかになっていくのは、我々の事業の特性上あるのかなと思っています。
2点目のメルカリUSですが、月間100ミリオンUSドルの水準に向かって、着実にGMVを積み上げている状況でございます。今の10~12月の四半期で、87ミリオンUSドルです。着実にGMVが積み上がっていると考えております。
3点目のメルペイに関しては、みなさまのご期待やご質問もいろいろあるかと思いますが、足元はプロダクトを開発中で、もうしばしお待ちいただければなと思っています。
決算概況(連結) 2Q(10月–12月)①
先ほど申し上げた連結ベースです。
流通高で見ると、第2四半期のジャンプは非常に大きいのがおわかりいただけるかなと思っています。毎年、やっぱり第2四半期のジャンプが大きいところではありますが、ハイシーズンであることと、とくに日本の事業に関してはマーケティング・プロダクトの施策が非常に良い結果を生んだということで、我々の想定以上のグロースになったと考えています。
決算概況(連結) 2Q(10月–12月)②
売上高と営業損益の推移です。
売上高に関しましては、基本的にGMVと同じようなトレンドで動いていきますが、営業損益を見ていただくと、この四半期は11億円の営業損失になっております。後ほど出てきますが、日本事業の営業利益はプラス30億円になっていますので、差分のマイナス41億円が先ほど申し上げた、主にUSとメルペイ事業での投資になっています。
すなわち、メルペイとUSの営業損失レベルは前期比とほぼ変わらず同水準で推移していまして、一方で営業損失が減っている分は、ほぼ日本事業の営業利益の増分で生まれています。
決算概況(連結) 2Q累計(7月–12月)
10ページは、第1四半期・第2四半期の累計の数字になっております。ご参考までということで、説明は割愛させていただきます。
優秀な人材を積極的に採用
11ページです。
先ほどから申し上げているAIとか、とくに今後金融決済事業に入っていく中でガバナンスとか管理体制をさらに強化していかなければいけないと考えていますので、そこの人員を中心として、引き続き積極的な採用をしております。
多少この増加傾向は緩んでいきますが、2019年6月期の決算期まではやや増えていくと見積もっております。1,639人のうち、だいたい1,400人が日本にいます。
メルカリ事業 (JP)
続きまして、事業別の詳細をお話しさせていただきます。
13ページ、日本事業のGMVです。先ほどから申し上げているとおり、第2四半期でのジャンプがあります。我々が開示で申し上げているKPIとしている10~12月の第2四半期の平均MAUが1,236万人で、ここに関しても力強い成長をしています。
右上の数字の(MAUの)成長率で見ていただくと、28.2パーセントとあります。一方でGMVが48.7パーセントなので、いわゆる数以上にGMVが成長しております。この差分は何からくるのかと申し上げると、やはり単価の上昇トレンド。前四半期からずっと説明しておりますが、引き続き伸びています。
前年同期比の成長率そのものが、例えば第3四半期・第4四半期と見て、「同じ四半期で比べれば、そんなに変わりはないんじゃないか?」「季節性のトレンドは、成長率ではあまり出ないんじゃないか?」とおっしゃる方もいると思います。
やはり我々が事業として成熟していく中で、より冬場の成長に関しては季節性によりGMVが伸びるトレンドが顕著になってきていると思っています。したがって、年率の高い成長率が第3四半期・第4四半期もこのまま続くと思っていただくと、ミスリーディングかなと思っています。
ですので、第3四半期・第4四半期に向けてという観点で、多少成長率はなだらかになっていくと考えています。
メルカリ事業 (JP) 2Q(10月–12月)
14ページです。
左側が売上高で、ほぼGMVと比例して動いていきます。営業損益では営業利益が30億円、日本事業で生まれています。実は、ここに関して多少の期ずれ要因がございまして、次のページでご説明させていただきたいと思います。
メルカリ事業 (JP) コスト構成
30億円の営業利益を生んだ中で見ていただくと、まず、広告宣伝費は増やさずにGMVを積み上げていく。要は、広告に頼らないGMV成長を目指しております。広告宣伝費の水準は、前四半期や前々四半期を見ても増やしていないことがおわかりいただけると思っています。
一方、新しく上場して、先日インセンティブ制度の「RSU(Restricted Stock Units)」を導入する発表もさせていただいております。この制度導入に関わって第2四半期で発生する費用のうち、一部が第3四半期にズレ込んで、期ズレが発生することが出てまいります。
ここはメルカリJPおよびメルペイ社で第2四半期から第3四半期に人件費のズレる部分がございますので、その分第2四半期は軽くなっていて、第3四半期で若干コストが重くなる部分が出てまいります。
ですので、こちらの第2四半期の営業利益の水準は多少ゲタを履いているということで、第3四半期・第4四半期に関して申し上げると、営業利益が出ているのは日本事業においても多少下がっている水準になってまいります。
メルカリ事業 (JP) 2Q累計(7月–12月)
16ページは、6ヶ月累計の数字でございます。説明は割愛させていただきます。
メルカリ事業 (JP) ユーザ層の拡大
17ページです。
我々の足元のマーケティングの施策で申し上げると、これまではやはりマス広告。テレビを中心とした広告を使って、主に20~30代の若い女性の方々を中心に広がってきたアプリでありました。足元では、マーケティング・プロダクトの両側からお客さま層を広げていくことにいろいろと取り組んでおります。
具体的に申し上げると、マーケティングではテレビだけじゃなくて、例えばチラシ広告であったりとか、いわゆるCRM施策と呼んでいる、ユーザを効率的に活性化していくことを自動的に運用していくプロダクトを作ってみたりとか、マーケティングサイドも新しい試みとしてやっております。
プロダクトサイドでも、先日の前四半期(の決算説明会)でお話ししていますが、「CARTUNE」という新しい領域のGMVを拡大していく。具体的に申し上げると「CARTUNE」は車のSNSです。ここに物販の流れを付けていくことについて、(2019年)2月4日に連携を発表して、実際にこれからのオートパーツの流通高の伸びを期待しています。
プロダクト・マーケティングの両方で、これまでのメルカリのお客さま層から、もっともっとあらゆる年代や性別の方に使っていただけるようなユーザ層に広げていきたいと考えています。
メルカリ事業 (JP) マーケティング施策
18ページはまさにチラシ広告で、今までにない取り組みです。メディア等でご覧いただいた方もいらっしゃるかもしれませんが、新しい試みに取り組んでおります。
メルカリ事業 (JP) カテゴリー別施策①
19ページは、「CARTUNE」という新しい車のSNSとの連携です。具体的にどんなかたちになっているかは、20ページを見ていただくとおわかりいただけると思います。
メルカリ事業 (JP) カテゴリー別施策②
「CARTUNE」という車のSNSの中で、お客さまが自分の自動車部品を売るとメルカリに連携されていく。いわゆるトランザクションができるようなことが(2019年)2月4日からスタートしております。
メルカリ事業 (JP) カテゴリー構成
カテゴリーは今どうなっているかについて、毎四半期でお見せしているパイチャートです。
第2四半期同士の前年同期比較ですので、ほぼ同じトレンドです。とくにこの四半期はアパレルが非常に強く、レディースとかメンズの割合が多くなるところです。
1つ顕著な傾向として見ると、エンタメ・ホビーのGMVが16パーセントから19パーセントに伸びています。主に男性のユーザの方々が取引されるところではありますが、バーコードで出品できることもそうですし、最近伸びているトレーディングカードやゴルフ用品も含めて、男性のカテゴリーが増えて、こういった傾向が続いています。
メルカリ事業 (US) 2Q(10月–12月)
メルカリUSです。
USも先ほど申し上げましたが、基本的には前四半期とあまりバーンレートは変化させない。要は、営業損失のレベルは変えずに運営して、その中でGMVを積み上げていけるかに取り組んでおります。12月に向けてはクリスマスシーズンですので、当然ハイシーズンになっていきます。良いシーズンであり、着実にGMVを積み上げることができたのかなと思っています。
メルカリ事業 (US) 取り組み内容と成果
具体的な成果を大きく3つ挙げています。
1点目に、クーポンに依存しないかたちでGMVを成長させられました。クーポンで強くインセンティバイズしてお客さまに購入していただくよりは、クーポンの比率を下げていく中でどれだけGMVを積み上げていけるかに、我々としては取り組んでいます。その中でGMVを積み上げられたのは、非常に大きかったのかと思っています。
2点目がUPSとの連携で、出品物の梱包・配送代行サービス(を行っています)。そして日本では、QRコードでスキャンして、しかも匿名で配送できる。UPSと(の連携サービスを)ついにローンチできるところまでこぎ着けました。(2019年)11月15日に発表しております。
まだ、ここが配送のマス部分になるところまでにはいってないのですが、1つの大きなステップ、大きなプログレスとしてあるのではないかと思っています。
3点目は、CSの効率性改善です。若干曖昧な表現になっていますが、地味ながら非常に重要なところでございます。例えば、我々がカスタマーサポートのKPIとしてベンチマークしてよく見ているのは、「1人当たりの処理件数がどうなのか」。これが非常にクローズにウォッチしている指標です。
この部分がかなり改善してきていることが足元で見えますので、そういったところも含めて限界利益率を下げていく方向に働いているのかなと思います。GMVの積み上げもそうだったのですが、一言で申し上げれば、US事業の足腰が非常に強くなった四半期なのかなと思っています。
メルペイ事業
最後にメルペイ事業です。
ここは、まさにみなさんのご関心があるところではないかなと思うのですが、金融サービスということで、我々としても慎重に取り組んでいるところで、良いプロダクトできちんとローンチしたいと思っています。
中途半端なものでバグとかがあって、あとから直すわけにもいきませんし、やはりここはプロダクトの完成度をきちんと高めて、その上でローンチしたいと思っていますが、その発表を含めてもうしばしお待ちいただければなと考えています。
取り急ぎ、我々のご説明はここでいったん以上とさせていただきます。みなさんからご質問等がございましたら、ぜひいただければと思います。