3. 60歳代が考える「年金受給までに最低限備えておきたい金融資産額」はどのくらい?
J-FLEC(金金融経済教育推進機構)が実施した「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」では、60歳代が「年金受給を迎えるまでに最低限備えておきたい金融資産額」は平均2110万円、「毎月の最低生活費」は平均31万円という結果が示されています。
この数字から見えてくるのは、年金だけでは老後の生活費を十分にまかなえない現実です。物価の上昇や医療・介護費の負担を考えると、年金以外の収入源や貯蓄の準備が欠かせません。特に、毎月31万円という生活費の目安は、単身世帯や夫婦世帯にとって大きな負担になることもあります。
こうした背景から、退職金や企業年金に加え、昨今ではiDeCoや新NISAなどの制度を活用して資産形成を進める人が増えてきています。こうした制度をうまく取り入れ、年金だけに頼らない準備を進めていきましょう。
4. まとめにかえて
この記事では、最新の調査結果をもとに、シニア世代の年金生活の実態と平均受給額を見てきました。60歳代・70歳代の約3割が「年金だけでは生活費をまかなうのが難しい」と感じており、その背景には物価の上昇や医療・介護費への不安があります。さらに、厚生年金と国民年金の受給額には大きな差があり、厚生年金では男女間の格差も目立ちます。
また、60歳代が考える老後の最低生活費は月31万円。そのために必要な金融資産は平均2110万円とされ、公的年金だけでは十分とは言えない現実が浮き彫りになっています。
こうした現状は、現役世代にとっても将来の暮らしを考えるうえで見過ごせません。
年末は、将来の年金をちょっと確認してみるいい機会です。今できることを少しずつ始めておけば、これからの暮らしにきっと安心感が生まれるでしょう。
参考資料
マネー編集部
執筆者
私たちは、保険会社・大手銀行・証券会社など金融機関での勤務経験を有したメンバーで構成する、株式会社モニクルリサーチ運営の『LIMO(リーモ)〜くらしとお金の経済メディア〜』のマネー編集部です。
三井住友信託銀行株式会社出身の和田直子・株式会社三菱UFJ銀行出身の中本智恵・SMBC日興証券株式会社出身の安達さやか・日本生命保険相互会社出身の村岸理美などを中心としたメンバーで構成。それぞれが大手金融機関にて主にリテール・法人・富裕層向けの資産にまつわるアドバイス業務を経験。主に国内外株式の仲介、国内外の債券、投資信託、生命保険の販売業務に従事し、トップセールスで多数の表彰歴を持つ人や、研修講師として年間100回超の登壇経験を持つ元研修講師なども在籍。
専門性の高いテーマで年間8000本以上の企画・執筆・編集・監修の実績があり、特に以下の分野を中心に、厚生労働省・金融庁・総務省などの官公庁の一次情報をベースに記事を企画・執筆・編集している。
【主な執筆分野】
公的年金制度(厚生年金保険・国民年金)、社会保障制度、相続・贈与・退職金、NISA・iDeCoなどの税制優遇制度、資産運用・資産形成・保険など
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