師走を迎え、2025年も残りわずかとなりました。年末は何かと物入りな時期ですが、来年の家計や将来の生活設計について考える良い機会でもあります。特に、老後の生活の柱となる年金については、多くの方が関心を寄せているのではないでしょうか。
「年金だけで生活できるのか」「実際、みんなはいくらくらいもらっているのか」といった疑問は尽きません。物価の上昇や医療費の増加など、シニア世代を取り巻く経済環境は厳しさを増しています。
本記事では、最新の調査データをもとに、60歳代・70歳代の年金生活の実態や、現役世代が知っておくべき年金の平均受給額、そして老後に向けてどれくらいの資産を備えておくべきかについて、詳しくご紹介します。
1. 60〜70歳代の約3割が「年金だけでは日常生活費もカバーできない」厳しい現状
金融経済教育推進機構(J-FLEC)が実施した「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」では、二人以上世帯に属する60歳代の32.6%、70歳代の30.6%が「年金だけでは日常的な生活費の確保が難しい」と感じていることが明らかになりました。
さらに、年金だけではゆとりが得られないと考える背景として最も多かったのは「物価上昇により支出が増える見通しであるため」で、60歳代では63.3%、70歳代では62.8%に達しています。
続いて多く挙げられた理由は、「医療費の自己負担が増えると予想しているため」が60歳代で28.3%、70歳代で34.8%、「介護費の負担増を懸念しているため」が60歳代で18.1%、70歳代で26.4%でした。
物価高が続く中、医療や介護への心配を抱えながら暮らすシニア世帯の厳しい現状がうかがえます。
