3. 年収1000万円の「年金受給額の目安」
では、年収1000万円の人が老後に受給できる厚生年金はいくらになるのでしょうか。
次のケースでシミュレーションしてみましょう。
【シミュレーション条件】
- 平均年収:1000万円(平均標準報酬月額は65万円)
- 退職年齢:65歳
- 厚生年金加入期間:22歳から65歳の43年間(2003年4月以降のみ)
- 国民年金保険料:40年間完納(受給額は83万円とする)
- 経過的加算・加給年金額は考慮しない
厚生年金受給額は、以下の計算式で求めます。
厚生年金額=報酬比例部分+経過的加算+加給年金額
ただし、主な部分は報酬比例分となるため、今回はシミュレーション条件にある通り、経過的加算と加給年金額は考慮しないものとします。
報酬比例部分は、加入期間が2003年3月以前と、2003年4月以降に分けて計算し、2つ合わせた金額となります。
今回のシミュレーションでは加入期間が2003年4月以降のみであるため、以下の計算式を用います。
平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間月数
計算すると、平均年収1000万円の場合の厚生年金の目安は年額約184万円となり、国民年金83万円を足すと約267万円となります。
月額に換算すると、目安は約22万円です。
厚生労働省年金局の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均受給額は月額約14万6000円(国民年金を含む)です。
月額22万円は平均より8万円も多いため、受給できる方は経済的にゆとりができて恵まれている方といえるでしょう。
ただし、厚生年金の加入期間である43年の間、年収1000万円をキープし続けることは非常に困難な傾向にあります。
そのため、今回のシミュレーションは、あくまでもひとつの参考として捉えるようにしましょう。
4. まとめ
現在の日本で年収1000万円以上をもらっている人は、給与所得者全体の約6%です。
平均給与が478万円であることを考えると、年収1000万円は簡単に到達できる金額ではないことがわかります。
一般的に、現役時代の年収が高い方ほど老後に受給できる厚生年金も高額になります。
もちろん、現役時代に負担する保険料も高額になりますが、老後の年金受給額が高額になるのは非常に魅力的です。
年収1000万円を達成するのは難しくても、年収を可能な限り上げることで、老後の年金受給額を増やすことが可能です。
ライフスタイルや目標などに合わせて、資格取得やスキルアップなどで収入を増やせるよう、できることから始めてみるのも良いでしょう。
参考資料
木内 菜穂子