2019年3月20日に行われた、株式会社フィット2019年4月期第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社フィット 代表取締役社長 鈴江崇文 氏
2019年4月期第3四半期決算説明会
鈴江崇文氏:株式会社フィットの代表をしております、鈴江でございます。本日はお忙しいなか、お集まりいただきまして、ありがとうございます。2019年4月期第3四半期の決算説明をさせていただきたいと思います。
当社は今、上場してちょうど3年です。ご存知のように、上場直後に内部体制の課題もございまして、2年間、内部体制の構築に尽力してまいりました。今年度に関しましては、役員一新と、現場への権限委譲による再成長を目指して準備する1年にしようということで、取り組んでまいりました。
当初予想しておりました数字から、大きく下回る結果にはなっておりますが、今の見込みと今後の予定について、簡単に説明させていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
会社概要・沿革
初めての方もいらっしゃるかと思いますので、まずは当社の概要でございます。この3月末をもって10年になる会社でございます。四国と東京、関西に拠点を設けまして、クリーンエネルギーを中核といたしまして、次世代の街づくりと言いますか、インフラをつくることで、世の中を変えていこうとチャレンジしているところでございます。
お客さまの中心は個人の方でございまして、今後は、生活をチェンジするような新しい挑戦に取り組んでまいりたいと考えております。
最近、金融ライセンスと不動産特定共同事業のための免許を取得いたしまして、金融の新しい仕組みづくりなどにもチャレンジしていきたいと考えております。
主な財務実績(売上高・経常利益・当期純利益)
主な財務実績でございます。2016年3月11日に上場して3年間、成長が止まっておりますので、当期は再成長に向けた準備期間にしようということで取り組んでまいりました。数字に関しましては、ご覧のような内容でございます。
2019年4月期業績予想に関する資料
今年度の予想でございます。発表させていただいておりますように、当初の予定を下回る数字になっております。
売上で50億円、営業利益でマイナス1億9,000万円、経常利益もマイナス1億9,800万円ということで、当初の予定を下回っております。
2019年4月期業績予想変更の要因等
その要因でございますが、冒頭に申し上げましたように、当期は次の成長のための準備期間といたしまして、いろんな施策を打ってまいりました。主には、既存事業の組織の再編成といいますか、執行役員や現場への権限委譲を行い、これにかかわる採用・教育等で予定よりも多く投資をしてまいりました。
また、先ほど申し上げましたように、新しい経営の仕組みということで、不特法や金融市場を使った新規事業のための準備、そして将来的には海外にも進出するということで、いろんな調査なども行いました。今もその準備等に注力しており、未来のための準備をしてきたところが、業績予想変更の主な要因でございます。
売上高につきましては、短期的に数字を追いかけるというよりも、中長期的に考えて、そこに時間を費やそうということで、一部営業活動ができなかった部分があります。
前年度もお話ししておりますが、改正FIT法にも少し影響を受けました。本当に聞いたことがないような制度の穴といいますか、そういうものにも巻き込まれ、もう1年近くが経ちます。
完成して、契約も終わっているものが売上に計上できないということが今も続いておりまして、そのあたりで予想していたものがずれているところでございます。
また、不動産特定共同の小口投資で、現物のない不動産の投資の仕方のようなものを開発していこうという、昨今の業界的な動きもありますので、無理をして何かをやっていくというよりは、中長期的にそこにリソースを割こうということで、営業リソースを新規事業に投じています。それにより、売上高が減少しております。
経費のところですが、毎年だいたい年間10億円から11億円ぐらいの経費で推移しております。今年度は予定よりも2億9,000万円ほど販管費が増加していますが、こちらも先ほど申し上げましたように、新規事業、海外事業の準備も含めたところにお金を使っております。
とくに、執行役員に権限を委譲して、そこへの家庭教師というと少しおかしいですけれど、外部のコンサルの方やパートナーの方と連携して、教育の厚みを増して支援していったことが、販管費の増加の大きな要因になっております。
以上が、業績予想変更の要因等でございます。
当社を取り巻く環境(エナジー事業)
今後の取り組みですが、来年度に向けて、中期経営計画を作成中でございます。来期の早々に発表できるように準備をしておりますので、今日は、少し繰り返しの部分になるかもしれませんが、今までやってきたことのお話をさせていただきます。
海外事業や、ずっとチャレンジしておりますバイオマス発電、ネクスト太陽光といったところについて、詳細は中計でしっかりと可能性を見せられるようにしたいなと思っております。繰り返しになりますけれども、今日はその抜粋といいますか、今までお話ししておりますところをお伝えいたします。
エナジー事業についてです。みなさんは、太陽光はもう難しいのではないかとお話ししておりますが、私はそうは思っていません。我々は地方でのビジネスが中心でございますけれども、地方では耕作放棄地は42万ヘクタールあり、どんどん人が減っています。そのなかで、地方はエネルギーと農業で活性化するべきだと私は考えています。
FIT制度の終了に伴い、確かに太陽光はかたちが変わり、純粋に「つくって、開発して、FITに売っていく」というところは縮小していきます。それは間違いないと思います。
しかし、つくった電気をそのままグリーンな電源として家庭、工場、企業で使っていただくという市場は、これから大きくなっていくと考えています。
では、FITがない値段で売って成り立つのかということですが、2012年7月のFIT制度導入の時期から7年弱、我々なりにここは追求して、コストダウンや運営を行ってまいりました。よって、十分に成り立つ市場がつくれると考えています。
O&M事業についてです。スライドは、富士経済さんが出している数字ですが、O&Mサービスもこれから増えていくということです。また、PPAモデルなどの新しい市場もできつつあります。
グリーン電源市場は……グラフの緑の点線のところだけは、まだ市場の予想が出ておりませんので、伸びていくであろうとは言われていますが、数字として出ているものはございません。しかし、我々はここは伸びていくと思っています。
みなさんもおわかりのとおり、RE100、ESG投資、SDGsなど、このあたりは世界的に非常に盛り上がってきておりますので、我々はそこにリーチしていきたいと考えております。
実際に太陽光を手がけていて思うのですが、例えばグリーン電源を買いたいといった時に、グリーン電源を買えるところが今はほとんどありません。例えば、一部の電力会社さんが水力発電所を持っていて、そこで供給があるかもしれませんが、グリーン電源はありません。
そうすると、太陽光はFIT制度に紐づいており、純粋なグリーン電源ではないというところでいくと、これからFITが終わったあと、我々としてはグリーン電源の開拓をしっかりやっていきたいと考えています。
今後の方向性(エナジー事業)
エナジー事業でございます。こちらは前回お話ししているものとほとんど同じでございますけれども、この緑色の「コンパクトソーラー事業」について、実際にこれまでも、エナジー事業の売上は、基本的にはこのコンパクトソーラー事業一本でした。
6~7年やってきておりますので、さすがに成長性に陰りがあるということで、コンパクトバイオマスやコンパクトウインドの商品開発をしておりましたが、こちらもなかなかうまく収益化できておりません。
ウインドは、少し単価も下がったりして、日本ではコンパクトは難しいかなと思っておりますけれども、コンパクトバイオマスに関しましては、のちほど少しイメージ図だけお見せしますけれども、我々はここに必ずチャレンジして、成長性のある事業を生み出したいと考えております。
また、販売事業だけに頼ると、どうしても改正FIT法による影響のように波が出てしまいますので、運営事業でストック型の収益がしっかり積み上がっていくようなかたちで、ビジネスモデルを転換しているところでございます。
運営事業の収益は、今はまだ、ほんの1桁、数パーセントというかたちでしかないのですが、来年以降は2桁以上のパーセンテージの売上、粗利になるような計画を組んでおりますし、それがどんどん積み上がっていくビジネスモデルへと転換を進めているところでございます。
いきなりそのようにはならないですけれども、5年ぐらいかけて、しっかりつくっていきたいと考えています。
先ほど申し上げたグリーン電源……(スライドの10ページの)緑のラインのところは、(スライドの11ページの)非FIT電源です。今はFITに売っていますけれども、FITに売らない純粋なソーラーやバイオマスで生み出した電源を、グリーン電源として直接ニーズのある方に売っていきます。
実際、RE100を目指されている方は、この電源がほしいということで、けっこう盛り上がってきているところですので、こういう開発をしっかり進めていきたいということです。
今後の方向性(住宅事業)
住宅事業のところは、前回と同じで繰り返しになります。商品については、超低価格住宅ということで、マーケティングはほとんどしていないのですが、お問い合わせをいただいております。手前みそですけれども、日本一買いやすい住宅です。
これを1棟ずつ売るのではなく、コンペ式で街づくりに限定して、行政など、街づくりを考えていらっしゃる方に向けた商品として提供していくということで、準備をしているところでございます。
また、住宅ローンがなかなか難しい方が持てる家というところでも、我々は開発していきたいと考えています。最終的には、これから人口がどんどん増えて、モノを消費していくアジアへの進出のきっかけにできればと考えております。
エリアの拡大についてです。来期から本格的に四国エリア外で展開します。今もFC店では展開しておりますけれども、直営店としてテスト出店する予定です。四国地域以外への直営の積極的な展開ということで、西日本中心になりますが、人材の採用も進め、出店できるように準備しているところです。
今後の方向性(バイオマス発電事業)
バイオマス発電事業です。スライドはイメージ図になりますけれども、バイオマスプラントと地域資源ということで、地域にある木質の材料でもいいのですが、我々としてはやはり循環型です。
ゴミや畜産の糞尿を用いて、限界費用0円でエネルギーや資源を生み出すバイオマスプラントをつくって、建築とセットにして街づくりを行うといった構想をもともと持っていますし、今でも事業として準備しているところでございます。ただ、バイオマスのところがなかなかうまくいっておりませんので、いくつかテストを重ねながら、未来に向けた新しい街づくりができればと考えています。
これにより、農業も含め、建築物やバイオマスとセットにした街をパッケージ販売できますので、当社としては大きなビジネスになります。この構想は、ネクスト太陽光の1つだと思います。
今後の方向性(新規事業)
こうした新しい街づくりや新しい事業を進めようと思った時に、今までの金融だけでは難しいことも出てくるだろうと考えています。そこで我々は、国民のみなさんが参加できる……我々が目指している循環型社会や限界費用0円で世の中を変えるようなビジネスに参加できる仕組みをつくるため、不特法や金融二種の免許を取得して、小口で資金が集まる仕組みを準備しています。
我々はまだまだよちよち歩きではありますが、1歩ずつ、しっかりと地に足をつけ、新しいお客さまを開拓していきたいと考えております。このあたりが、クラウドファンディングや新規事業というところで取り組んでいる部分です。
以上、今後の取り組みについてお話をさせていただきました。まずは、既存のエナジー事業や住宅事業の足元を固めながら、ネクスト太陽光であるバイオマスを中心とした街づくりと、こうした新しい金融の仕組みを組み合わせたビジネスに取り組んでいきたいと考えています。
2019年4月期第3四半期に関する資料
最後に、第3四半期の数字でございます。エナジーと住宅のセグメントで、それぞれ……エナジーの場合は1区画54キロという区画で一貫して計算しておりますけれども、住宅の場合は棟数ということで、こちらのスライドの下部に内訳を記載しております。
簡単ではございましたけれども、当社の第3四半期の決算説明となります。繰り返しになりますが、当社といたしましては、今年度は再成長の1年にしようということで準備しております。来年度以降、中期経営計画の発表をさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。ありがとうございました。