2019年3月18日に行われた、株式会社はてな2019年7月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料
スピーカー:株式会社はてな 代表取締役社長 栗栖義臣 氏
ミッション
栗栖義臣氏:みなさん、こんにちは。社長の栗栖と申します。ただ今より、2019年7月期第2四半期の決算説明をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
最初に、当社のミッションでございます。「『知る』『つながる』『表現する』で新しい体験を提供し、人の生活を豊かにする」というものを掲げています。当社は2001年に創業いたしまして、日本のUGCサービスという市場でサービスを提供してまいりました。
UGCサービスは、テキストや画像等をWebサイトに投稿して、多くのユーザーさまに見てもらうサービスでございます。
個人向けサービス
当社は、個人向けのサービスと法人向けのサービスの2つを展開しています。個人向けのサービスですが、ユーザーが文章や画像などのコンテンツを発信・閲覧・拡散するプラットフォームを提供しています。こちらを「コンテンツプラットフォームサービス」と呼んでいます。代表的なものを2つご紹介させていただきますと、「はてなブログ」と「はてなブックマーク」というサービスを提供しています。
「はてなブログ」は、名前のとおり当社が提供しているブログサービスでございます。シンプルなデザインで、わりと長い文章を書いて情報発信したいユーザーさまに大変人気のサービスでございます。
もう1つ、「はてなブックマーク」というサービスも提供しています。こちらは、Webページで気になったニュースや記事をオンライン上にブックマーク、保存できるサービスでございます。
多くのユーザーさまが保存したWebページはおもしろい、人気があるページであるというところでランク付けをして、サイト上で見ることができるサービスでございます。
法人向けサービス
続きまして、法人向けのサービスでございます。直近では、この法人向けのサービスを拡充しています。法人向けのサービスは大きく2つあり、「コンテンツマーケティングサービス」と「テクノロジーソリューションサービス」を提供しています。
コンテンツマーケティングサービスは、名前のとおり企業のコンテンツマーケティングを弊社がお手伝いさせていただくサービスでございます。法人のオウンドメディアの構築や運用、またメディアを持っているお客さまのコンテンツ制作のお手伝いや、作ったコンテンツをネットで拡散していくことをお手伝いしています。
テクノロジーソリューションサービスは、「Mackerel」と「受託サービス」を提供しています。近年、クラウドという名前をよく聞くと思いますけれども、クラウド時代になりまして、多くの法人さまが自分たちでサーバーを運用して、いろんなサービスを提供する時代になってきています。
当社はクラウド上のサーバー、あるいはデータセンターの中のサーバーを効率的に管理して、高いパフォーマンスを継続するといったSaaSのサービスを提供しています。
「Mackerel」は、これまでのサービスと若干毛色が違いますが、これまで当社がUGCサービスを提供する中で、1,000台以上のサーバーを購入してきたノウハウを、こういったサービスに落とし込んで提供しております。
「受託サービス」についてでございます。法人向けにUGCサービスの開発や運用を受託するもので、UGCサービスに特化しているところが、わりと特徴的だと思っています。
個人ユーザーの方も巻き込むようなサービスを作る上で、独自のノウハウや運営のコツがございまして、そうしたものを提供しています。
決算サマリ(1/4)
最初に、当社の概要を説明させていただきました。次に、決算のサマリを説明させていただきまして、今説明しましたコンテンツプラットフォーム、コンテンツマーケティング、テクノロジーソリューションという3つのサービスのそれぞれの決算の内容を説明させていただきます。そして費用の状況の後に、今後の見通しを説明させていただきます。
まず、決算のサマリでございます。売上ですが、増加しています。前年同期比でプラス34パーセントと伸ばすことができました。2019年第2四半期で、12億5,000万円に到達しています。
決算サマリ(2/4)
経常利益も大きく伸びています。前年同期比で107パーセントで、2億5,900万円に到達しています。
決算サマリ(3/4)
今期の通期予想に対する進捗でございますが、売上の進捗はちょうど半分の50パーセントで、経常利益につきましては73パーセントまで進捗しています。
決算サマリ(4/4)
今期ですが、利益率は当初の発表のとおり低下する予想をしていまして、2018年が16パーセントでございましたが、通期の予想では14パーセントを予想しています。ただ、第2四半期の段階での利益率は通期予想を上回る着地を示しており、今後の計画等々もございますので、着地予想は引き続き14パーセントとさせていただきます。
コンテンツプラットフォームサービス(1/3)
コンテンツプラットフォームサービスの説明をさせていただきます。個人ユーザー向けのサービスで、多くの個人ユーザーさまに使っていただいております。ユーザーさまの指標が大変良好でございまして、ユーザー数の増加ペースは好調を維持しています。
月間のユニークブラウザ数についてです。当社が提供していますサービスにアクセスしてくるユニークのブラウザ数ですが、2億3,800万ユニークブラウザで、過去最大の数字を示しています。当社への登録ユーザー数ですが、対前半期でプラス10パーセントの786万人に到達しています。
コンテンツプラットフォームサービス(2/3)
一方の訪問数です。当社のサービスにやって来るユーザーさまの数でございますが、「人力検索はてな」など、古くからあるサービスを中心に、引き続き減少傾向でございます。
最初に説明させていただきました「はてなブログ」「はてなブックマーク」とは別に、当社が創業当初から提供しているサービス群を、まとめてレガシーサービスと呼んでいますが、そうした古くからあるサービスも、訪問数は減っているところでございます。
そうしたサービスにも広告を表示して収益を得ておりますが、広告単価も伸び悩んでおり、減少傾向にあるというところを報告させていただきます。
コンテンツプラットフォームサービス(3/3)
コンテンツプラットフォームサービスでございますが、対前年比でプラス8パーセントでございます。3億800万円を到達しています。
コンテンツマーケティングサービス(1/4)
コンテンツマーケティングサービスでございます。こちらは、「はてなブログ」という個人ユーザー向けサービスを、「はてなブログMedia」というかたちで、法人のみなさまにオウンドメディアを自社で運用していただくサービスとして提供しています。こちらの運用数が増加しています。
新規開設のペースが堅調でございまして、通期の目標をすでに達成しています。新規の開設が13件ございまして、解約が1件でしたので、この半期では運用数の増分がプラス12件となり、トータルで58件を達成しています。
コンテンツマーケティングサービス(2/4)
こちらはメディアでございますが、さまざまな事由によって運用を終えていくメディアもございます。今期の第2四半期までの累計の解約数は1件のみとなっていまして、市況や商品力に問題ないと判断しています。解約数はグラフにあるように、前年およびその前の1年では、それぞれ7件、9件でございました。
コンテンツマーケティングサービス(3/4)
「はてなブログMedia」の案件事例を紹介させていただきます。1つは、LINE株式会社さまの「LINE RECORDS」というサイトでご利用いただいています。音楽レーベル「LINE RECORDS」さまの公式サイトとして、弊社のサービスをご利用いただき、サイトの中で、アーティストのみなさまの紹介やオーディションの情報を公開しております。
また、株式会社リクルート住まいカンパニーさまの「SUUMOタウン」というサイトでもご利用いただいています。こちらは、不動産や住宅サイト「SUUMO」のオウンドメディアでございまして、街に関わるいろいろな情報を提供するメディアでございます。
こうしたかたちで、企業さまの公式サイト的な利用のされ方や、普通のオウンドメディアといったかたちで、利用の幅はさまざまですが、非常に引き合いの多い状態がずっと続いているかたちでございます。
コンテンツマーケティングサービス(4/4)
コンテンツマーケティングサービスにつきましては、売上は堅調に増加していまして、対前年比でプラス18パーセントと、こちらも伸ばすことができました。金額としては、4億1,400万円を達成しています。
テクノロジーソリューションサービス(1/4)
テクノロジーソリューションサービスでございます。「Mackerel」について、顧客の数を実数ではなくて指数として、みなさまに紹介させていただいております。
2015年の数字を100としまして、通期の目標が今期は4,270でございますが、この半期を終わりまして、3,505まで到達しています。今期の通期目標のおよそ半分くらいまで達成しているというところで、下半期に向けても、引き続き数を伸ばしていこうと考えています。
テクノロジーソリューションサービス(2/4)
当社は、マンガのビューワを提供しています。「GigaViewer」という名前で、Webでマンガを読むサービスになりますが、搭載7件目の事例ができました。
リイド社が2018年12月に新規オープンしたマンガサービス「コミックボーダー」というサイトにおいて、サイト全体のデザインを弊社が担当するとともに、ビューワを導入いただきました。
ビューワを導入いただきますと、マンガの前後に当社が運用する広告が表示されて、広告の売上等々をお客さまとレベニューシェアするかたちとなっています。サイトへの「GigaViewer」の導入が進みますと、弊社としても広告の売上が伸びていくかたちになっています。
テクノロジーソリューションサービス(3/4)
受託のサービスとしまして、任天堂さまのタイトルの一部機能の開発に協力させていただいております。具体的には、2018年12月に発売されたNintendo Switchのソフト、『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』の「ニュース・お知らせ機能」の開発に協力させていただきました。
任天堂さまとの共同開発事例につきましては、「うごメモシアター/うごメモはてな」「Miiverse」「イカリング2」に続きまして、4例目となっています。
テクノロジーソリューションサービス(4/4)
テクノロジーソリューションサービスの売上につきましては、大きく伸びています。対前年でプラス76パーセントとなっており、金額としましては、5億3,500万円に到達しています。
費用の状況(1/3)
続きまして、費用の状況でございますが、増加しています。費用全体では、対前年でプラス20パーセントの増加です。当社は、サーバーを使ってWebサービス等々を提供していますので、データセンターの利用料が対前年でプラス9パーセント、人件費がプラス24パーセントとなっています。
費用の状況(2/3):人件費
人件費でございますが、増員に伴い増加しています。2019年第2四半期末の人員数が139名となり、1年前からの増員数としましては、プラス22名となっています。
費用の状況(3/3):データセンター利用料
データセンターの利用料でございますが、ITインフラ投資で、3,800万円の投資を実施しています。こちらは、予定投資額の51パーセントに相当し、半期で51パーセント投資しており、進捗は順調です。
これに加えまして、当社のサービスへのアクセスやユーザーさまが増えますと、その分、サーバーのコストもかかりますので、事業拡大に伴う自然増としまして、2,700万円増加となっています。
一方で、並行して進めていますコスト削減の施策等々もございます。サーバーの運用費を抑えるコスト削減の施策で4,800万円の削減となり、データセンター利用料は、トータルでは2億500万円に落ち着いているかたちでございます。
今後の方針
それでは、今後の見通しでございます。方針は引き続き、スライドに記載の3点、「B2Bストック型ビジネスを深掘り」「技術基盤への投資を拡大」「新規事業への布石」という、この3つを継続していきたいと思っています。
1.B2Bストック型ビジネスを深掘り(1/4)
順番に説明してまいります。「B2Bストック型ビジネスを深掘り」という点につきましては、「Mackerel」を引き続き伸ばしていこうと考えています。数字面も大変好調で、ダイレクトセールスを継続していくことを考えています。
1.B2Bストック型ビジネスを深掘り(2/4)
「Mackerel」につきまして、最近、機械学習の技術を投入しました。本格的に機械学習を使ったプロダクトは、わりと珍しいかと思います。本格的に機械学習を活用した機能を投入しまして、「Mackerel」をさらに魅力的な商品にしていこうと考えています。
スライドは、先日リリースさせていただきました、「ロール内異常検知」という機能でございます。「Mackerel」というサービスは、実際に使っていただかないとイメージしづらいと思いますが……サーバーの負荷状況について、例えば「CPUの利用率が90パーセントを超えたらメールを飛ばす」ですとか、「ディスクシステムが95パーセント以上になったらメールを飛ばす」といったかたちで、サーバーの管理者が設定をして監視をします。
「Mackerel」は、そうした細かい設定がありません。機械学習によって、過去のデータを参照して、通常とは違った値を示したときに、管理者にメールが自動的に飛ぶといった仕組みで、提供し始めています。
技術に詳しい人がかなり詳しく使えるという部分だけでなく、こういった機能によって、わりと監視初心者の方の監視の手助けにもなればというところで、現在βリリース中でございますので、5月頃に本格リリースして、有償化していくことを考えております。
1.B2Bストック型ビジネスを深掘り(3/4)
続きまして、マンガビューワについてのご説明でございます。こちらは、導入事例をさらに拡大していこうと考えております。
こちらの導入事例が増えますと、マンガビューワのページビュー、閲覧数が増えますので、今後も売上のレベシェアが増えていくかたちでございます。
現在、集英社さま、講談社さま、新潮社さまといった大手の会社さまにご利用いただいておりまして、非常に引き合いも多く、こちらの案件は引き続き対応していくといったことを考えております。
1.B2Bストック型ビジネスを深掘り(4/4)
「はてなブログMedia」については、先ほど、通期の目標をすでに達成しましたと説明させていただきましたが、この好調を踏まえ、運用数の目標を57件から63件に引き上げます。
ここも、案件の問い合わせが引き続き活況です。解約の事例が半期で1件といったところで、その部分のトレンドはこれまでと変わらないと思いますが、引き続き引き合いも増えていますので、当期中にどんどん伸ばして、通期の運用数の目標を達成していこうと考えております。
2.技術基盤への投資を拡大(1/2)
続いて、技術基盤への投資の拡大という点でございます。2年越しのITインフラ投資の2年目というところで、こちらは古くから弊社で運用しております「はてなブックマーク」等々、コンテンツプラットフォームのサービスのIT基盤の部分を刷新していくプロジェクトでございます。
古い環境から新しい環境に順次システムを移管しながら、サービスを継続して運用していく関係で、新システムへの移行期間中、その部分の利用料が二重化するといったことがございますが、こちらの計画を引き続き進めまして、システムの移管を完了し、ITインフラ投資をしっかりと終えようと考えております。
2.技術基盤への投資を拡大(2/2)
開発投資によりサービス統廃合を果たすということですが、「はてなブログ」というサービスのほかに、当社の創業当時からのサービス「はてなダイアリー」というものがあります。こちらは、2003年に開始したブログサービスでございます。
先日、こちらをクローズすると発表させていただきました。「はてなダイアリー」をご利用いただいているユーザーさまを、「はてなブログ」に順次移管して統合していくといった作業を進めております。
それにより、システムの運用面もそうですが、さまざまなものの効率が一本化されるということで、開発効率が向上したり、機能開発が進めやすくなると考えていますので、こちらの統合もしっかりと進めていこうと考えております。
3.新規事業への布石
新規事業への布石という点でございますが、こちらは課金ビジネスの強化を模索させていただいております。現在、既存のコンテンツプラットフォームサービスでの課金により売上向上とスライドに書いております。
本日は実数は公開しないのですが、「はてなブログPro」という個人ユーザー向けのブログ課金サービスがございまして、非常に好調に数字が伸びている状況でございます。
市場としましても、個人の方がこういったWebサービスに課金していくといった環境は整っていると考えていますので、こうしたかたちで、新たな課金形態のサービス、あるいは機能といったところを検討していこうと考えております。
業績見通し
今後の業績の見通しでございます。もともと期初に公表させていただきました数字からは変更ありません。売上は25.2億円、経常利益は3.53億円といったところを見通しとして挙げさせていただきます。
短中期成長イメージ
最後に、短中期の成長イメージでございます。コンテンツプラットフォーム、コンテンツマーケティング、テクノロジーソリューションという3つのサービスを、それぞれしっかり伸ばしていこうと考えております。
これらの3つのサービスは、独立しつつも、それぞれシナジー効果を生んでいるサービスと考えております。ここはしっかりと成長させ、目標としましては年率20パーセント超の成長を果たしていきたいと考えております。
本日の発表は以上となります。ご清聴ありがとうございました。