2. 【年金のキホン】「仮徴収」と「本徴収」とは？
公的年金からは、税金や社会保険料（健康保険料・介護保険料など）が特別徴収として差し引かれます。
「一年を通して同じ額が天引きされる」と思われがちですが、実際には年度の途中で金額が変わるのが通常です。
これは、年金から控除される住民税や各種保険料が、仮徴収と本徴収の二段階で計算される仕組みになっているためです。
2.1 年度前半は「仮徴収」として天引き
年金から差し引かれる住民税や国民健康保険料などの社会保険料は、前年（2024年）の所得を基に計算されますが、これらの正式な年間額が確定するのは毎年6月〜7月頃です。
そのため、金額がまだ確定していない年度前半（4月・6月・8月の年金支給分）については、前年度2月と同じ金額が暫定的に天引きされており、これが「仮徴収」です。
2.2 年度後半は「本徴収」として天引き
前年の所得が確定し、その年度に負担すべき社会保険料の正式な年額が決まると、徴収方法が「本徴収」に切り替わります。
まず、確定した年間保険料から、仮徴収としてすでに差し引かれた総額を控除し、残った金額を、年度後半の支給回数で分割して天引きしていく仕組みで、これが「本徴収」にあたります。
一般的には10月支給分から本徴収が始まりますが、自治体によっては8月から切り替わる場合もあります。
2.3 「前年の所得が大きく変わった人」は注意しよう
前年の所得が増えた場合、秋以降の年金の手取り額が予想以上に減ってしまうことがあるため注意が必要です。
たとえば、前年の課税所得が増えるケースがこれに該当します。
- 不動産の売却や退職金の受け取りで、一時的に大きな所得があった
- 年金以外にパート収入や不動産収入などがあった
- 配偶者控除などの各種控除の適用がなくなり、課税対象額が増えた
このような理由で所得が上がっていると、年度後半に適用される「本徴収額」が、年度前半の「仮徴収額」より大幅に高くなることがあります。
上記から、秋以降に差し引かれる金額が増え、年金の手取りが大きく減る可能性もあるため、事前に自身の状況を確認しておくと安心でしょう。
