2019年3月14日に日本証券アナリスト協会主催で行われた、株式会社シルバーライフ2019年7月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料 質疑応答パートはこちら
スピーカー:株式会社シルバーライフ 代表取締役社長 清水貴久 氏
2019/7期2Q 業績前年同期比
清水貴久氏(以下、清水):ただいまから、株式会社シルバーライフの2019年7月期第2四半期決算説明をさせていただきます。
お手元の資料の3ページです。今回は、まず売上高は37億9,100万円となり、前年に対してはプラス23.1パーセントとなりました。予算に対して(の進捗率は)若干半分に満たない49.1パーセントになります。
そして売上総利益からは、かなりよく伸びてきているように見えます。売上総利益は10億7,200万円、営業利益は4億3,300万円、経常利益は4億8,700万円、当期純利益は2億9,900万円です。対前年では、営業利益から先はプラス60パーセント以上。そして、計画に対する進捗率も、半期決算の時点で60パーセント以上を達成しております。
それに伴いまして、この決算説明会の1週間ほど前に、半期決算について上方修正を入れさせていただきました。
販売区分別売上 FC加盟店
それでは売上について、それぞれの部門ごとに解説をさせていただきます。
私どもの場合、売先は全部で3種類です。1つ目が、売上の約7割を占めるフランチャイズ加盟店に向けた、食材の売上です。こちらは、この半年で店舗数が約45店舗増えまして、全体で671店舗です。既存店舗の売上が好調なことに加えて、昨年(2018年)出店の店舗の売上が伸びてきております。こちらで、前年同期比プラス18.0パーセントに至っております。
私どもの場合はどのお店も、オープン直後は売上の貢献がほとんどありません。どのお店も、最初は売上が必ず0からスタートして、そこから時間とともに徐々に伸びていくタイプの売上傾向です。そのため(新たに)出した45店舗は、実は売上にほとんど貢献しません。こちらの店舗の売上が貢献してくるのは、来年(2020年)以降だとお考えいただければと思います。
販売区分別売上 高齢者施設等
次に、高齢者さま向けの施設です。こちらは売上高が6億4,100万円で、前年同期比プラス32.4パーセントとなりました。
後ほどご説明いたしますが、こちらについては、今回私どもの売上増加が伸び悩んだ原因となる部門です。ですので、第1四半期の売上に対して、第2四半期の売上は減少しております。しかし、需要そのものは強いために、契約施設数自体は増加いたしました。
こちらの(スライドに記載のある)「端数パック」の内容については、後ほどトピックスとして設けておりますので、そちらで詳しく説明をさせていただきます。
販売区分別売上 OEM
最後は、OEMです。
こちらは、昨年(2018年)4月から新しく取引を始めさせていただいたヨシケイさんですとか、この(2018年)10月から3社目のOEM先として新たに始めさせていただいた会社さま等の売上が増加しております。おかげさまで、こちらは前年同期比プラス47.6パーセントに至っております。
店舗数推移
7ページ目は、私どもの店舗数の推移です。
店舗数として、今(2019年1月末時点)は「まごころ弁当」が19店舗増、「配食のふれ愛」が26店舗増で、合計671店舗です。通期計画が680店舗でしたので、あともう少しがんばれれば……(半期の時点で通期計画に届く)というところになります。
売上の増減分析
8ページ目は、売上の増減分析です。
こちらは、ご覧いただいたとおりです。私どもの場合はほとんど、それぞれの売先への食材の売上増に伴って、売上が増加しているという構造になります。
経常利益の増減分析
そして、経常利益です。
こちらは、やはり食材の販売に伴った利益が伸びているのと、フランチャイズさまへのロイヤリティ等が増えました。それが、業務委託費・人件費・広告宣伝費・運賃・減価償却費・その他を吸収して、利益性がよくなっております。
なお、「その他」でプラスになっているものは、前年に上場費用が1,300万円ぐらいあったのですが、こちらが今回は計上されなくなったことが大きいです。
2019/7期 通期業績見込み
そして、通期業績見込みです。実は、半期では上方修正させていただいたのですが、通期では変えておりません。
理由は2つあります。1つ目に、まず売上において、このあとお話しする施設向けの売上を意図的に諦めたことによる影響が、しばらく不透明であること。2つ目に、利益において、やはりこの(2019年)4月以降、各社さまで原材料(価格)がすごく上がっていること。そのあたりの影響を見極めるために、いったん通期計画はそのままとさせていただいております。
2019/7期 販売区分別売上見込み
販売区分別の売上見込みも、変わっておりません。
トピックス:新規OEM販売先
12ページからが、今回のトピックスです。
まず、昨年(2018年)の10月から、カタログ通販をやっていらっしゃる全国通販という会社さまに、私どもの冷凍弁当を商品として新たに採用していただきました。
こちらは、おもにシニアの女性の方に向けて、例えばファッション・健康に関する商品をカタログで販売していらっしゃる会社さまです。こちらに私どもの商品をご案内いただき、この10月からなかなか売れ行きがよく、私どもはいいお客さまを得られたかなと思っております。
高齢者向け施設の売上について
次の13ページ目からが、高齢者さま向け施設の売上減についての説明になります。
私どもの今回の第2四半期期間(2018年11月から2019年1月)では、高齢者さま向け施設への売上が、四半期で初の減少となっております。これは「残念ながら、あえてそうしなければいけない」と思ってやりました。
理由として、今まで我々は、施設に対してかなり細かい作業をやっておりました。具体的には、ある施設さまから食材を15グラムご注文いただいたら、手作業で15グラムを詰めて、「その施設さま向けの宛先ですよ」ということで専用の棚を作り、そこにお出しする。そして、ほかの食材で455グラムの注文があれば、それに合わせて作ってお届けする……みたいなことをやっておりました。
ただこれは、ここまで人件費や業務委託費等が上がっていきますと、残念ながら、もう今後は続けることができないと思いました。
今までは、すべての部門に対してアクセルを踏んできました。しかしこの施設部門だけは、このままアクセルを踏み続けると、そのうち経費がどんどん上がってきて、おそらくかなりの利益減の材料になってしまうというところが見えてきました。
だからこそ、今回「端数パック」の対応をやめさせていただいて、300グラムの「定量パック」や500グラムの「定量パック」のみの製造・販売に、事業を改めさせていただきました。
とくにこの決断に至った理由としては、最近の飲食関係の会社さまは、どこも売上は維持できているのですが、やはり原材料や人件費の高騰で、みなさまも軒並み利益がやられてきているところを見て、「さすがに、我々もここは限界かな」と感じたところになります。
それによって、大変残念なことではありますが、中小規模の人数が少ない施設さまからの発注がなくなってしまいまして、それによって第2四半期では売上減となりました。
端数パック廃止によるメリット①
ただ、これ(「端数パック」の廃止)によって得られたこともあります。
1つ目が、こちらの14ページにあるとおり、とくに工場等での労働時間をかなり削減できました。きちんと数字でも確認をしたくて、細かい資料を工場から取り寄せてチェックしてみました。
「食材パック」を500個作るためには、私どもの工場の熟練作業者7人がかりで、だいたい69分かかっていました。一連の流れは、手作業でグラムを量り袋に詰めて、重さがちょっと多かったらもう1回それを抜いて、逆にちょっと少なかったらもう1回入れて、そして並べて真空パック器にかけて包装します。これに、だいたい69分かかりました。
ちなみに、念のため申し上げますが、袋に入れる作業を1日に何百回も繰り返すと腱鞘炎が発生するので、従業員さんが居着かない原因にもなるんです。
これをやめたことによって、そこに代わりに機械を入れて、ただ単に機械に決められた分量を入れる作業にしました。そうしたところ、熟練ではない方7人がかりであったとしても、21分。約3分の1まで短縮できることになりました。
端数パック廃止によるメリット②
実はこれ(「端数パック」の廃止)によって、工場ではかなり数字がよくなりました。実はここが、我々の利益率が上がった原因です。
まず、第1工場の生産能力がかなり上がりました。今まで手作業でパックしていたスペースをなくしました。この写真で言うと、③のスペースです。手作業が必要なくなったので、そこへ代わりに機械を入れたことで、生産効率がかなり上がりました。ここ3ヶ月の平均の工場での人件費で言うと、だいたい月に200万円の削減効果があります。
そして「端数パック」は、実は規模の小さな施設さまへの細かい手作業が中心でしたので、利益率がかなり低かった部門です。売上で言うと、月に2,000万円ぐらいのマイナスなのですが、利益減に直すと150万円ぐらいのマイナスです。
最終的な利益として、7.5パーセントぐらいしか取れていなかった部門でした。利益が月に150万円ほど減ったのですが、差し引きとしては、実は利益が50万円増えている。母数が減って利益額が上がったので、当然利益率は増えているという話になります。
そして、実は生産能力そのものも上げることができました。「この1つの機械を入れただけで、なぜそれほど変わるのか?」というところですが、実は工場にはいろいろな部門があります。それぞれの部門の「一番能力が低い部分」で、その工場の生産能力が決まってきます。
我々で言えば、原材料を入れる「荷受け」の部門や、その後の「下処理」「加熱調理」「冷却」の部門、「充填」や「最後にパック詰めをする」部門のように、いくつかの部門に分かれています。実は、この部門で一番生産効率が低かったものが、この袋詰めの部分でした。
ですから、その袋詰めの部分のボトルネックが解消されたことによって、工場全体の限界も伸ばすことができました。計算してみると、今の約1.8倍です。(スライドの右上には)「2倍弱」と書きましたが、正確には1.8倍ぐらいまで、工場の生産能力を伸ばせるようになりました。
「第1工場は、おそらく今年(2019年)の夏ぐらいには限界に到達するのではないか」と言っていましたが、計算上では約3年ほど、後ろにずらすことができるようになりました。
これによって、半年前にご説明した、鉄骨の資材やボルトの不足等で少し遅れてしまっている第2工場が致命傷にならないように、第1工場だけでも戦える環境を作れたのかなと思っています。
今後の売上を伸ばす施策
ただ、やはり売上も追いかけなければいけません。今までの「端数パック」のやり方では、これ以上(の売上)は無理でした。しかしやり方を変えて、別のかたちで売上を追いかけることはできます。
例えば、今準備を進めているものが、分量が少ない「少量定量パック」の導入です。こちらは、今までの「端数パック(5g~随時)」ではなく、機械製造の90g単位のものです。90g単位の定量のパックを作り、それを出すことでコストをかけずに、小規模施設さまの取り込みを狙う試みです。ただ、そのための機械の金型の製造に1ヶ月半から2ヶ月くらいかかりますので、(売上貢献の)実現はおそらく今年(2019年)の夏くらいになると思いますが、そのようなところを行っています。
また、工場に余裕ができたことによって、冷凍弁当の自社での直販も始めさせていただけることになります。やはり冷凍弁当事業は、けっこう伸びています。
私どもはそのようなところに、2019年の4月ごろから、まずは「Amazon」さんを主体に販売を開始させていただきます。その後はそちらの反響を見て、今後さらにどのようなかたちで進めるかを、決めていきたいと思っています。
売出について
そして、17ページ目です。(2019年)1月23日を受渡日として、私の株の売出をさせていただきました。これによって、私の支配下にある持株比率が70パーセントから58パーセント台に低下いたしました。
売出の目的としては、流通株式数比率の向上です。29.45パーセントから41.68パーセントにできました。
あとは、株主数の増加です。1,300人台しかいなかったところ、3,000人以上の方々に株主になっていただくことができました。今までは、あまりにもボラティリティが高すぎました。ボラティリティが高すぎた状態を安定させて、中長期的に会社の成長を応援してくれる土壌を作っていきたいと思っています。
ちなみに、今日決算説明会にご参加の方々はプロのみなさまですので、そのようなことはないとは思いますが、念のため(のご説明)です。「社長が(株式を)売るというのは、会社の将来性が危ういんじゃないか?」と、個人投資家の方からよく言われます。会社にも、すごく電話がかかってきます。
ただ正直、売りたくて売っているわけではないんです。私は、2025年以降の後期高齢者さまが激増する時代こそ、当社が本格的に伸びる時期だと思っています。そのため、今は売りたい気持ちが、正直ほとんどありません。個人的に、別に税金が迫っているとかも何もないので。「売りたくて売っているものではない」というところだけは、最後に主張させていただければと思います。
ちょっと短い時間で恐縮ではございましたが、以上が私どもシルバーライフの、今回の半期決算のご報告・説明となります。今日はご清聴いただきまして、どうもありがとうございました。
質疑応答:消費増税を見据えた戦略は?
質問者:ご説明ありがとうございます、SMBC日興証券のキタミと申します。2点お聞かせください。
1つ目は、今年(2019年)は消費増税が10月にあるということで、御社のビジネスや高齢者向けの弁当への影響を、どうお考えかを教えていただきたいということです。御社の価格戦略について、従前から社長は(お考えだったかと存じますが)やはり御社のお客さまの高齢者の方は、非常に価格に敏感だしシビアだということで、「なかなか価格を上げるのは難しいかな」と、個人的には思っているのですが。
さりとて、食材や物流費の高騰もありますので、このあたりの価格戦略をどう考えているかを、前回の2014年の(消費増税の)時の影響も踏まえて教えていただければ大変ありがたいというのが、1つ目です。
2つ目は、コストアップへの対応ということで、自動包装機の導入だとか、「いろいろと巧みなオペレーションをしているな」と感心する次第なのですが、やはり先ほど社長が言われたように、「食材費も物流費も上がってきている」ということで、この戦略の持続性などをどう考えていらっしゃるのか。
「けっこう対応できる余地が大きい」ということであれば、そのようなところでご説明いただければありがたいです。この2点、お願いします。
清水:ありがとうございます。
まず1つ目の消費増税の影響ですが、これは私どもにとっては、業界全体でプラスです。私どものような宅配の業種は軽減税率の対象に指定されておりますので、例えば店舗系の外食さまが、それに備えなければいけないという状況ではありません。ですので相対的に、私どものような宅配の需要は高まるのではないかと期待しております。
ただ、価格においては各店舗さまの判断で……もしかしたらそのタイミングで、価格には柔軟性をもって対応する可能性があります。我々本部は全体を見ますが、我々が実際に戦っていらっしゃる店舗さまは、その地域の配達効率や競合他社さまの価格設定等を見ながら、けっこう細かくオペレーションされております。もともとは私も店長上がりですので、よくわかっているのですが。
我々としても、そのような各店舗の創意工夫はできるだけ応援したいと思っております。我々のチェーンの場合、価格の決定権を店舗さまに持たせています。だからこそ、販売価格はそれぞれの店舗さまの判断で、最適を追求されていらっしゃるのかなと思います。
あとは、今回のテクニックといいますか、「なんとか経費を削減しよう」とひねり出していることの持続性ですが……これは、「正直わからない」ということが正しいです。その時その時の状況に合わせて、「これをやらなければいけない」と思うことを一つひとつやっているということが正しいので。
「いつの時期にこうしよう」とか「このテクニックは、いつまでもつね」とかは、まだなかなか先読みできる状況ではないと思っております。だからこそ、通期計画も変えられていないというところです。
質問者:ありがとうございました。