暦の上では立冬(11月7日)を過ぎ、冬の気配が少しずつ濃くなってきました。
年末調整の書類が届くこの時期は、家計や将来のことを考えるきっかけになる人も多いのではないでしょうか。
2025年度(令和7年度)の年金額(1.9%増)が発表され、「夫婦モデル世帯でおよそ月23.2万円」といった数字が報じられています。
ただ、この「モデルケース」はあくまで一例に過ぎません。現実には、厚生年金だけでも男女で月約6万円もの差があるのが実情です。
さらに、最新の調査(2024年国民生活基礎調査)では、シニア世帯の43.4%が収入の全てを公的年金に頼っているという実態も明らかになりました。
こうしたデータを見ると、「自分の場合はどうなのか?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、この“個人差”と“現実”にしっかり目を向け、数字をもとに考えていきます。
1. 日本の年金制度のしくみ
公的年金は、基礎部分となる「国民年金」と、上乗せ部分にあたる「厚生年金」から成り立つ2階建て構造です。
国民年金は原則として、国内在住の20歳以上60歳未満の全ての人が加入対象で、年金のベースとなります。国民年金保険料(※1)は全員一律です。
厚生年金は企業や官公庁などで働く人たちが、国民年金に上乗せして加入する年金です。毎月の給与や賞与に応じた年金保険料(※2)を納めます。
国民年金保険料を全期間(480月)納めると、65歳以降で満額(※3)の老齢基礎年金を受け取ることができます。未納期間があった場合は、その月数に応じて満額から差し引かれるしくみです。
厚生年金は、「年金加入月数」と「納めた保険料」により、老後の年金額が決まります。
※1 国民年金保険料:2025年度は月額1万7510円
※2 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
※3 国民年金の満額:2025年度は月額6万9308円
