晩秋の冷え込みが深まり、年末調整の準備などでご自身の税金や将来のお金について考えることの多い11月。40歳代、50歳代の現役世代にとって、「老後、公的年金がいくらもらえるか」も関心事のひとつでしょう。
とかく老後の受給額を気にしがちですが、年金にまつわるいろいろなしくみについても、ぜひ早くから知っておきたいものです。
「年金生活者支援給付金」もそのひとつ。老齢基礎年金を受給中の人で、一定の所得要件を満たす場合に、暮らしを支える「年金生活者支援給付金」という上乗せの制度が存在します。
この給付金は、老齢年金だけでなく、障害年金や遺族年金にも適用される国の重要なセーフティネットです。最大の注意点は、対象者であっても「申請」しなければ、1円も支給されないこと。
ご自身やご家族のいま、そして老後のために、現役世代のうちにこの「申請主義」の制度を正しく理解し、将来の不安を解消する備えを始めましょう。
1. 「年金生活者支援給付金」とは?
基礎年金を受給中の人で、所得が一定要件を満たす場合、「年金生活者支援給付金」を受け取ることができます。
「年金生活者支援給付金」は、「老齢年金生活者支援給付金」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」の3種類です。
1.1 老齢年金生活者支援給付金の支給要件《誰がもらえる?》
老齢年金生活者支援給付金は、下記の支給要件をすべて満たす方が支給対象となります。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は80万6700円以下(※2)である。
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される
1.2 障害年金生活者支援給付金の支給要件《誰がもらえる?》
障害年金生活者支援給付金は、下記の支給要件をすべて満たす方が支給対象となります。
- 障害基礎年金の受給者
- 前年の所得(※)が479万4000円以下(扶養親族等の数に応じて増額)
※ 障害年金等の非課税収入は除く
1.3 遺族年金生活者支援給付金の支給要件《誰がもらえる?》
遺族年金生活者支援給付金は、下記の支給要件をすべて満たす方が支給対象となります。
- 遺族基礎年金の受給者
- 前年の所得(※)が479万4000円以下(扶養親族等の数に応じて増額)
※ 遺族年金等の非課税収入は除く
「年金生活者支援給付金」の支給要件には、いずれの場合も前年の所得額が関わっています。



