11月に入り、今年も残すところあとわずかとなりました。この1年を振り返ると、年金制度に関わる大きなニュースが相次ぎました。特に6月には年金制度改正法が成立するなど、老後の働き方や年金の受け取り方を考える上で重要な制度変更が注目を集めています。

その一つが、働きながら年金を受け取る人に影響する「在職老齢年金」です。2026年4月から、支給停止基準が現在の月51万円から「月62万円」へ大幅に引き上げられることが決定しました。「働き方」と「年金の受け取り方」は今後どう変わるのか?わかりやすく解説します。

1. 在職老齢年金の見直し、2026年4月から「62万円へ基準引き上げ!」

在職老齢年金とは、働きながら老齢厚生年金を受け取る人が対象となる制度です。収入が一定額を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が一時的に支給停止される仕組みになっています。

※月50万円は2024年度の支給停止調整額、2025年度は月51万円

1.1 改正による影響「新たに約20万人が全額受給の対象に」

2025年の現在は、賃金(総報酬月額相当額)と年金額(基本月額)の合計が「月51万円」を超えると、老齢厚生年金が一部または全額支給停止の対象となります。しかし、2026年4月からこの基準が「月62万円」に引き上げられることが決まりました。

たとえば、働いている方で月収45万円・年金10万円の場合、これまでは合計が51万円を超えるため一部が停止されていましたが、今後は62万円以下に収まるため全額支給となる見込みです。厚生労働省によると、この見直しにより約20万人が新たに「全額受け取れる」対象になると推計されています。

なお、支給停止の対象となるのは老齢厚生年金に限られます。老齢基礎年金(国民年金部分)は、働いていても減額されません。