3. 【中高生の教育費負担実態調査】卒業・新入学、入学後に就学のためにかかった費用は高校1年生の「制服」で8万621円


奨学金は、大学生や大学院生、大学進学予定の学生に給付される場合が多くあります。

しかし、中学校や高校の入学や、入学前後にも多くに費用がかかります。

子ども支援の国際NGOである公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(以下セーブ・ザ・チルドレン)は、経済的や生活上の困難がある世帯を対象に、中学・高校の入学に関わる費用の一部を支給する「子ども給付金 ~新入学サポート 2025~」を実施しました。

本給付金の利用世帯に対し、中学・高校の卒業・入学にかかった具体的な費用や、政府への要望に関するアンケート結果をまとめた報告書を、2025年10月末に発表しています。

アンケートは2025年8月に実施。本調査では、卒業・入学にかかる費用が前年より高額化傾向にあり、授業料以外に家計を圧迫する私費負担の実態が見えてきました。

なお、本調査は、経済的に困難な状況にある全国46都道府県の保護者(大半がひとり親世帯・女性)436人と、中高生148人から有効回答を得ています。

「卒業・新入学(入学式まで)にかかった費用」についてのアンケート結果では、高校1年生の「制服」にかかった費用の平均額が8万621円です。

また調査した「制服代」「卒業アルバム代」「教科書・教材費」 「パソコン・タブレット代」全項目において、2024年度の調査より金額が上昇しており、特に制服代は中1、高 1 どちらも約1万円増加していました。

また、「卒業・新入学時に必要な支援」についてのアンケートでは、保護者の67.7%、中高生の73%が「制服・運動着などを安く買えるようにすること」と回答しています。

ほかには「学校に必要な教科書や副教材は学校が用意すること」「学校指定品をなくして、安い商品を選べるようにすること」も半数以上が選択する結果となりました。

奨学金制度は、大学生を主な対象としている場合が多いですが、経済的な困難を抱える家庭にとって、中学生や高校生の制服代や学用品費といった教育費の負担も無視できない大きな問題となっています。

参考資料

長島 迪子