就活が終わり、4月から新入社員。聞けば、就職先の服装は“ビジカジ”なんだとか。面接も説明会も今まではスーツを着ておけば問題なかったけど、ビジカジって何を着ればいいの? そもそもビジカジって何だろう?

今回お届けするのは、そんな方々に向けた記事。就職1年目が着るべきビジカジアイテムを、ショップスタッフに教えてもらいました。

伺ったのは、企業の重役から就活生まで、幅広い方が訪れる渋谷のセレクトショップ「ZABOU TOKYO」の大井さん。大阪・南船場にある本店は、なんと今年22年目を向かえるとのことで、歴史に裏付けられた信頼感は他のお店では変え難いもの。買うべきアイテムリストとして、コーディネートの解答例として、幅広く参考にしてみてください。

 

大井 勇人さん(スタッフ)
1993年生まれ。大阪の老舗セレクトショップ「ZABOU」の東京店に勤務。「ここでは10代から20代、また30代の会社員、あるいはもっと年上の会社のオーナーさんまで来られまして。そういった方々に失礼のないようなスタイリングや、提案の仕方を心がけています」

 

ビジカジ基本の“き”


Q. そもそも“ビジカジ”というと、どんな服装をイメージすればいいのでしょうか?

カジュアルとスーツの中間という位置付けでいいと思います。スーツスタイルほど細かいルールはないので、ざっくりと“かしこまった”スタイルを想像していただければ。場合によっては企業が決めていることもありますので、それを参考にするのもいいと思いますね。

Q. どこでも通じるようなルールはないということですね。とはいえ、「これを揃えればビジカジ」という必要最低限のアイテムはありますよね?

そうですね。日本人のビジネスマンの場合は、やはりシャツとネイビーのジャケット、グレーのスラックスに黒の革靴が無難だと思います。

Q. なるほど。挙げてくれたアイテムにも、シルエットやディテール、素材など、色々な差がありますよね。ビジカジとしての正解はどんなものなのでしょうか?それぞれ教えて下さい!

まずはシャツから。これは普段着として着るシャツを探している方にも言っていることなのですが、まず持っておくべきは、伝統的に上品とされている白とサックスブルー、この二つです。


うちで取り扱っているものだと、この〈H by FIGER〉がおすすめですね。元々アメリカに勤めていた60過ぎの方が帰国して、大阪で始めたブランドです。このボタンダウンはアメリカ製のブルックスブラザーズのものをモディファイしたもの。ボタンの数などの要素は踏襲しつつ、シルエットやサイズ感を日本人体型に合うように調整しています。

価格も1万円前後と、スーツ屋さんのものを買うよりは高価ですが、仕立てがよく、休日用としても着られるので、持っておいて損はないと思いますね。


Q. 一般的なレギュラーカラーの襟と比べると、ボタンダウンはちょっとカジュアルなイメージがありますね。ビジカジではそれも大丈夫なのでしょうか?

そうですね。フォーマルな正装に合わせるとなるとNGなのですが、ビジカジなら問題ありません。先ほども言ったようなフォーマルとカジュアルの中間、となると、スーツ屋さんでお勧めされるレギュラーカラーよりは、むしろこれくらいの方が丁度いいバランスなのではないかと思います。

Q. シャツは何着くらい持っておくべきでしょうか?

5着もって日替わりで着まわすのが理想ですが、最低限でも3着は持っていてほしいですね。

Q. では、次はジャケットについて。こちらはどういった基準で選べばいいでしょうか?

まず色に関しては冠婚葬祭によく使われるブラックも定番ですが、ビジカジで着るのであれば、清潔感を一番感じられるネイビーの方が適任だと思います。

Q. シルエットもいろいろなタイプがありますよね?

今は腰回りにシェイプが効いているものをよく見ると思いますが、それはあくまで若い人の間でのトレンドなんです。逆に40代以降の方はボックスシルエットでややルーズなものを着ていたりして。そのどちらにも寄りすぎないのがベストだと思います。細すぎず、太すぎない、中間くらいを選ぶのがいいと思いますね。


あと、必ず持っておくべき、というわけではないですが、ジャケットと合わせて持ってきたいのは、もう少しリラックスした印象のカーディガンですね。内勤でデスクワークだけ、という日に羽織るのもいいと思います。これもカラーはネイビーやグレー、ブラックのどれかを買っておけば失敗することはありません。シャツ以外の服を買うときは、まずこの三色から選ぶのを原則と考えていいと思います。

Q. 次はスラックス。これも丈の長さや色など、見るべきポイントは多そうです。

そうですね。ボトムスはトップスよりも見える範囲が大きいので、気をつけながら選ぶといいと思います。

まず丈感はワンクッションくらいが無難。他のアイテムとの兼ね合いを考えると、カラーはグレーを買うのが無難ですね。うちで扱っているものだと、〈BARNSTORMER〉という日本のブランドのスラックス。まさに、その二つの要件を満たした一本だと思います。

一通り揃えたら、次はコレ!

Q. 最初に揃えておくべきものを教えてもらったところで、次にシャツやパンツなどを買うとしたら、どのようなものがいいのか教えて下さい。

シャツについては同じブランドのものの色違いや、柄付きを買うのが失敗しにくくていいと思います。

Q. サイズ感も分かっていますし、確かに合理的ですね!柄はどんなものがいいでしょうか?

一番ポピュラーで、合わせやすいのはこのキャンディストライプですね。手前にあるギンガムチェックも、着用者を選ぶ柄ではありますが、挑戦してみるのもいいかもしれないです。


Q. なるほど。では、パンツはどうでしょうか?

パンツの場合も、先ほど言ったネイビー、グレー、ブラックのどれかから選ぶのがいいと思います。あとは規則が少し緩い会社であれば、カーキのチノパンにサックスブルーのシャツ、なんて組み合わせももおすすめですよ。


「ネイビー、グレー、ブラックの色を揃える」という基準は、どのアイテムを買い足す時に役立ちそうですね。では、レザーシューズを2足目に買う場合はどんなものがいいでしょうか?

ストレートチップよりもカジュアルに履ける、ブラウンのローファーがいいと思いますね。スーツスタイルだと取り入れにくいアイテムですから、ぜひビジカジの方には挑戦してみてほしいです。

Q. 確かにローファーを履いていたらこなれた印象に見えそうです。では、レザーシューズだけでなく、もしスニーカーもOKという会社があるとしたら、何を勧めますか?

やはりキャンバスではなく、レザーのスニーカーがいいと思いますね。配色でいうと、オールブラックや、黒のアッパーに白のソールが一番無難だと思いますね。レザーシューズと近いイメージで履けますし。あと、もし白のソールのものを買うのだとしたら、ソール部分の汚れが目立ちやすいので、ちゃんと磨いておくべきだと思います。

Q. なるほど。お手入れの問題はスニーカーだけでなく、もちろん革靴も大事そうですよね。どれくらいの頻度が望ましいのでしょうか?

5日間履くことを考えると、一週間に一回、週末に磨くのが理想ですね。最初の頃はどんなシューケアグッズを買えばいいのか迷うと思いますので、ぜひうちのシューケアグッズコーナーを見ていってください。もしケアで困った時は相談にも乗りますし、年に一回シューケアイベントも開いていますよ。

 

ZABOU大井さんが提案する、ハズさないビジカジコーデ

「どんなアイテムを揃えたらいいかは分かったけど、実際どんな風に着こなせばいい?」という方に向け、大井さんにこれまで登場したアイテムを使って、コーディネートしてもらいました。

白のシャツにブラックのカーディガン、グレーのスラックスを組み合わせた、オーソドックスなスタイル。大井さん曰く、バッグは定番のナイロン素材よりもレザーの方がコーディネートに取り入れやすくおすすめ、とのこと。

 

太めのストライプをあしらったネクタイがモノトーンの組み合わせに華やかな印象を与えます。

 

シューズはややカジュアルに、〈Paraboot〉の「Chambord」で。

 

急に寒い日が来た場合や、秋を見越した場合、スプリングコートをプラスで持っておくのも一つの手。大井さんが提案してくれたのは、ヴィンテージのアウトドアウェアによく用いられる「64クロス」を使った〈SIERRA DESIGNS〉のステンカラーコート。風合いの良さはもちろん、雨風にも強く、耐久性も高いとのこと。明るいベージュはもちろんグレーやブラックと相性抜群です。

ZABOU TOKYO

住所:〒150-0041 渋谷区神南1丁目5番2号 川村ビル2階
営業時間:12:00 ~ 20:00

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