4. 【社会保険の加入対象拡大】年金制度改正で「106万円の壁」が3年以内に廃止へ

2025年6月13日に成立した「年金制度改正法」には、パートなどで働く人の社会保険加入対象の拡大が盛り込まれました。

いわゆる「106万円の壁」の撤廃に繋がる大きな動きと言えます。

4.1 「社会保険の加入対象の拡大」短期労働者の加入要件の見直し

2025年6月現在、パートタイムなどで働く短時間労働者の人が社会保険に加入する要件は、以下の5つをすべて満たす必要があります。

  1. 週の所定労働時間が20時間以上
  2. 2か月を超える雇用の見込みがある
  3. 学生ではない
  4. 所定内賃金が月額8万8000円以上(←いわゆる「106万円の壁」に関連)
  5. 従業員数51人以上の企業で働いている

今回の改正では、このうち「賃金要件の撤廃」と「企業規模要件の撤廃」が盛り込まれました。これにより、全国の最低賃金の引き上げ具合を見極めながら、いわゆる「106万円の壁」が3年以内に廃止されることになります。

また、社会保険に加入する企業規模も、10年かけて段階的に拡大され、最終的には働く企業の規模に関わらず加入するようになります。

5. まとめにかえて

ここまで厚生年金の受給額について詳しく見てきました。 

基礎年金に加え、現役時代の収入や加入期間が反映される厚生年金は、老後生活の豊かさを決める重要なカギとなります。しかし、その金額は一人ひとり大きく異なります。

「平均と比べてどうか」を知るだけでなく、自分が希望する生活水準に対して「足りるのか」という視点を持つことが大切です。

公的年金だけで不足しそうな場合は、長く働くことや、iDeCo・NISAなどの自助努力を組み合わせる必要があります。現状を正しく把握し、早めに準備を始めることこそが、将来の安心を手にする一番の近道と言えるでしょう。

参考資料

筒井 亮鳳