朝晩の冷え込みが増し、冬の足音が聞こえる2025年11月。 寒さ対策とともに、将来の生活資金についても意識が高まる季節です。 老後の生活を支える公的年金制度について、あなたはどれほど詳しく理解しているでしょうか。
「日本の年金は2階建て」という表現はよく知られていますが、その仕組みやご自身の受給見込み額を具体的に把握している人は少ないかもしれません。
特に、民間企業などで働く会社員や公務員が加入する厚生年金は、国民年金に上乗せされる2階部分であり、老後の生活設計において極めて重要です。
本記事では、日本の公的年金制度の基本的な構造である国民年金と厚生年金の2階建ての仕組みを解説します。 さらに、厚生労働省の最新データに基づき、年齢階級別や男女別の平均受給額を比較し、国民年金だけのケースと厚生年金に加入していたケースで、どの程度の差が生じるのかを具体的に見ていきます。
老後の経済的な安心感を得るための第一歩として、ご自身の将来の年金受給額に対する理解を深める一助となれば幸いです。
1. 日本の公的年金制度は「国民年金と厚生年金」の2階建て構造
「日本の公的年金は2階建て構造」と聞いたことがあるかもしれません。
これは、基本部分を担う「国民年金」と、その上に加算される「厚生年金」で制度が成り立っているためです。
ではまず、両者の制度の特徴を確認していきましょう。
1.1 1階部分：国民年金の「加入対象・保険料・受給額」
- 加入対象：原則として日本国内に住む20歳以上から60歳未満の全ての人
- 年金保険料：全員一律（※1）
- 老後の受給額：40年間納付すると65歳以降に満額（※2）を受給できる
※1 国民年金保険料の月額：2025年度 1万7510円
※2 国民年金（老齢基礎年金）の月額：2025年度 6万9308円
1.2 2階部分：厚生年金の「加入対象・保険料・受給額」
- 加入対象：会社員や公務員、一定要件を満たすパート・アルバイトの人が国民年金に上乗せして加入
- 年金保険料：報酬（賞与・給与）に応じて計算される（上限額あり※3）
- 老後の受給額：国民年金に上乗せして受給。厚生年金部分は年金加入期間や納付済保険料により個人差が出る。
※3 保険料額は標準報酬月額（上限65万円）、標準賞与額（上限150万円）に保険料率をかけて計算されます。
厚生年金に加入している人は、同時にその基礎となる国民年金にも加入している仕組みです。
将来の受給額は加入状況によって異なり、国民年金のみの場合と比べて、厚生年金に加入している人のほうが支給額が多くなる傾向があります。
