「児童手当の所得制限撤廃」は少子化への具体策になるのか
現段階で児童手当の所得制限にあてはまる影響児童数は、内閣府のデータでは61万人(全体の4%)に留まり、所得制限が撤廃されたとしても影響がある人は限定的です。
各種報道の大きさに比べると、実際の政策の規模は小さいとも言えるでしょう。
そもそも児童手当とは子育てを担う家庭に給付を行い、生活の安定や健全な養育に役立てるのが目的です。
出生数を増やすのが目的の少子化対策とは制度の目的が少し異なります。
とはいえ、所得にかかわらず、子育て世帯に給付を行おうという案は良いものです。
あらゆる子育て支援から外され、さらに高額な納税を余儀なくされている高所得子育て世帯が抱く不公平感の緩和が期待されるでしょう。
しかし少子化対策で新たに国民負担が増す結果になれば、出生数はおろか婚姻数も増加せず、子どもを安心して育てられない社会のイメージが強くなるのは明白です。
いたずらに財源負担を国民に迫る制度改革では、これまで通り効果の薄い少子化対策になるのではないでしょうか。