1. 老齢年金は一定額までは所得税がかからない

老齢年金にかかる所得税は、年齢と受給する年金額によって変わってきます。

というのも、老齢年金は雑所得として扱われ、受け取った年金から、公的年金控除額を差し引くことになるからです。

出典:国税庁「 No.1600 公的年金等の課税関係」

実際に、65歳未満と65歳以上の場合で所得が「0円」となる場合をみていきましょう。

1.1 年金を受け取る人:65歳未満の場合

年金受給額、年間108万円で「所得税」を計算

  • 年金受給額(108万円)-公的年金控除額(60万円)=雑所得(48万円)

さらに、所得税を計算するときは、所得控除の1つである基礎控除を差しいた後の金額に課税されます。

  • 雑所得(48万円)-基礎控除(48万円)=所得(0)

これより、年間108万円までであれば所得税はかかりません。

年金受給額、年間108万円で「住民税」を計算

  • 年金受給額(108万円)-公的年金控除額(60万円)=雑所得(48万円)
  • 雑所得(48万円)-基礎控除(43万円)=所得(5万円)

所得5万円となりますが、所得控除には社会保険料控除、生命保険料控除、医療費控除などがあり、それらを含めて計算すると、所得は「0」に近くなると考えられます。


そのため、前年の所得金額をもとにして計算される「所得割」は、ほぼかからないといえます。しかし、住民税には、所得金額にかかわらず個人が等しく負担する「均等割」があります。

均等割額は、道府県民税が1000円、市区町村民税が3000円の合計4000円となっています。しかし、2014年(平成26年)から2023年(令和5年)までの10年間については、それぞれ500円ずつ加算され、合計5000円になります。

1.2 年金を受け取る人:65歳以上の場合

年金の受給額、年間158万円で「所得税」を計算

  • 年金受給額(158万円)-公的年金控除額(110万円)=雑所得(48万円)
  • 雑所得(48万円)-基礎控除(48万円)=所得(0)

これより、年間158万円までであれば所得税はかかりません。

年金受給額、年間158万円で「住民税」を計算

  • 年金受給額(158万円)-公的年金控除額(60万円)=雑所得(48万円)
  • 雑所得(48万円)-基礎控除(43万円)=所得(5万円)

所得5万円となりますが、前述のとおり、所得は「0」に近くなると考えられ、所得割は、ほぼかからないといえます。均等割についても前述のとおり、道府県民税が1500円、市区町村民税が3500円の合計5000円となります。