4. JTやオリックスなどが株主優待を廃止する理由②:ガバナンス意識の向上

ここでもう一度、流動性に関する変更内容を見てみましょう。

  • 株主数:2200人以上(旧)→800人以上(新)
  • 流通株式時価総額:10億円以上→100億円以上
  • 時価総額:250億円以上(変更なし)

これを見て、東証は「どんな投資家に気を使った」ことが推察できるでしょうか。

「少数の株主で、より多額の売買を生む」という狙いが見て取れるのではないでしょうか。

ここで浮上するのは「機関投資家」です。

実際、東証は市場改革について「多様な機関投資家が安⼼して投資対象とすることができる潤沢な流動性の基礎を備えた銘柄を選定する」という狙いを明言しています。

株主優待は、個人投資家にとっては嬉しいものですが、還元をキャッシュで受け取りたい機関投資家にとっては少々厄介です。

実際に、JTとオリックスは両社そろって、優待廃止の経緯について「公平な利益還元のあり方という観点から慎重に検討を重ねた」という説明をしています。

コーポレート・ガバナンスの観点で、株主が平等となるように検討したことがうかがえ、その結果、優待の廃止を決めたのではないでしょうか。