過去の「IT化」の失敗とその後遺症
しかし、DXと言われても、過去の「IT化」との違いが分かりにくいため、IT化時代の苦い失敗を思い出す中小企業経営者の方も多いのではないでしょうか。
たとえば、人事評価にITを導入して個人の業績や勤務態度などに基づいて評価するシステムの構築。必要な業績や勤怠データを手作業で入力しなければならず、かえって人事担当の作業を増やす結果となりました。
せっかくITを導入したのに誰も効率化の恩恵を実感できなかったという事例です。皆さんも、似たような悲しい経験をされ、モチベーションが下がったことがあるかもしれません。
現時点で中小企業のITシステムを見ると、10年以上も前に導入したパッケージソフトをいまだにそのまま利用していたり、IT系の仕事が得意な社員が市販の表計算ソフトを駆使して業務を遂行しているケースも多いかもしれません。
いわゆる、「レガシーシステム」なるものが中小企業にも存在しているようです。
余分な資金が必要なのでシステム変更もできず、また、このレガシーシステムを活用するために社員が日々実施している手作業が介在しているケースも多いようです。中小企業は人手不足なのに、あいかわらず煩雑な手作業を強いられているわけです。
執筆者
SME Financial Architect x Fintech x Frontier Markets
新潟大学法学部卒業、フィンランドAalto大学 Executive MBA取得、英国オックスフォード大学 Fintech課程修了、米国マサチューセッツ工科大学 AI課程修了。中小企業金融公庫(神戸、宇都宮、東京)、在ベトナム日本国大使館(ハノイ)、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(東京)、東京中小企業投資育成(東京)を経て、2008年4月、クロスボーダー・ジャパン(株)代表取締役社長(東京&シンガポール)に就任。日系中堅・ベンチャー企業のアジア戦略・財務を支援する傍ら、新興アジア諸国にて多数のSME金融関連プロジェクトに従事し、マレーシア信用保証公社 JICAアドバイザー(クアラルンプール)、ベトナム信用情報センター 世界銀行コンサルタント(ハノイ)、インドネシア経済調整庁 MSME金融包摂アドバイザー(ジャカルタ)、ミャンマー経済銀行 SMEファンド助言チームリーダー(ネピドー&ヤンゴン)等を歴任。現在、エンジェル投資家/アドバイザーとして複数のフィンテック企業(ロンドン、ニューヨーク等)の経営に関与。ポルトガル政府公認ビジネスエンジェル(アヴェイロ拠点のエンジェル投資家団体REDangelsに所属)。APEC関係機関であるPBEC(太平洋経済委員会)メンバー。マレーシア在住、エストニア居住。