株価は様々な要素を反映します。
企業業績は当然として、企業の事業戦略、さらには金融政策による資本市場における資金の動向、政府の経済政策などが影響します。
最近ではコロナ禍で人の動きが変わったように、企業活動を取り巻く環境の変化で、消費者やユーザーの動向や趣向が変わることで投資家の企業を見る目も変わります。
このように、株価の過去を振り返ることで様々なものが見えています。
今回は、国内エアライン大手のANAホールディングス(9202)の株価を振り返りながら、何がどのように株価に影響をしたのかについて振り返っていきましょう。
コロナ禍の前後でANAの株価はどう動いたのか
まずは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の動きから振り返っていきましょう。
皆さんのご記憶にあるように、2020年始ごろから、中国発の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大が懸念されはじめました。ここではNHKの報道を参考に時系列にまとめていきます。
- 2020年1月6日:NHK「中国 武漢で原因不明の肺炎 厚労省が注意喚起」
- 2020年1月14日:NHK「WHO 新型コロナウイルスを確認」
- 2020年1月21日:NHK「WHO「ヒトからヒトへの感染が見られる」」
- 2020年1月23日:NHK「武漢 感染拡大防止のため「封鎖」」
- 2020年2月3日:NHK「乗客の感染が確認されたクルーズ船 横浜港に入港」
- 2020年2月11日:NHK「WHO 新型コロナウイルスを「COVIDー19」と名付ける」
- 2020年2月13日:NHK「国内で初めて感染者死亡 神奈川県に住む80代女性」
- 2020年3月24日:NHK「東京五輪・パラリンピック 1年程度延期に」
- 2020年4月7日:NHK「7都府県に緊急事態宣言 「人の接触 最低7割極力8割削減を」」
新型コロナ感染症拡大の推移を時系列に追うと上記のような流れでした。
では、ANAの株価はどうであったかというと、2019年12月には3000円台後半であった株価が、2020年に入ると3000円台を割れます。
その後は3000円に戻そうという動きはみられるものの、2000円台半ばを中心に、ここ2年近くの間は、もみ合いの展開となっています。
直近でいえば、2022年2月9日は2647.5円で引けています。
ANAの決算と業績はどうであったのか
では、ANAの決算と業績はどうであったのでしょうか。
最近の業績を見ていきましょう。
2022年2月1日に2022年3月期第3四半期の決算発表がされています。
以下、決算短信を中心に見ていきましょう。
売上高は9か月累計で対前年同期比+40%増、営業損失も1158億円と前年同期の営業損失3624億円から改善しています。また、当期純損失も前年同期の3095億円から1028億円へと損失は縮小しています。第3四半期(10-12月期)だけをみると、営業利益は1億円と四半期ベースで見ると黒字化しています。
純資産については、当期純損失の状況が継続していることから、8035億円と前年同期は1兆123億円から減少しています。一株当たり純資産は1696.24円とされています。
また、営業活動によるキャッシュフローである営業キャッシュフロー(営業CF)に近い概念であるEBITDAは394億円と黒字化し、資金繰りは前四半期と比較すると大きく改善しているといえます。
1/2
出所:ANAホールディングス「2022年3月期 第3四半期決算短信」
ANAのキャッシュフローはどうなっているのか
では、企業価値を算出する際に重要なキャッシュフロー(CF)についてもみていきましょう。
ここでは9か月累計のCFとなっています。
営業CFについては、406億円のマイナスということで、9月累計で見るとまだ営業ベースで見ると資金が流出している状況です。
ただし、先程冒頭でEBITDAの話で触れたように、直近3か月で見れば営業CFも改善傾向にあるといえます。実際に、第3四半期だけを見ると営業CFは372億円と、大きく改善しています。
また、投資CFに関しては、第2四半期までは有価証券の償還による収入を中心にプラスにもっていくオペレーションがされており、9か月累計の第3四半期時点でも投資CFはプラスとなっています。
2/2
出所:ANAホールディングス「2022年3月期 第3四半期決算短信」
ANAの10年の株価動向
では、ANAの株価をさらに長期で振り返ってみましょう。
過去10年で見ると、安値は2012年10月で1600円を割れています。
その後は上昇に転じ、2015年8月には4000円台を付けるまでになりました。
株価は凸凹ありながらも、2017年12月から2018年1月においては、4800円に迫ろうかという展開となりました。
ただ、その後は、下落トレンドに入り、コロナ禍前は4000円を割れる水準にいました。
その状況でコロナ禍が発生することとなりました。
まとめにかえて
業績も最悪期は脱したかのような印象はあります。
ただ、コロナ禍は収束したとはいえず、第3四半期のANA国際線の座席利用率は27.1%、国内線は58.2%と、やはり国際線の利用率の低さが目立ちます。
まずは、国内の移動に対して、回復を待つのが今後の注目点になるかなと思います。
参考資料
- NHK「特設サイト 新型コロナウイルス」
- ANAホールディングス各種決算資料