年の瀬が迫り、街中が慌ただしさと期待感に包まれる12月末。家計の見直しや翌年の暮らし方を考える人も増える時期です。とくに老後の生活設計は、多くの方にとって関心の高いテーマではないでしょうか。

物価上昇が続き、節約意識が高まる一方で、「実際に高齢夫婦がどれくらい生活費を使っているのか」「老後資金はどの程度必要なのか」「年金だけで生活できるのか」といった疑問は尽きません。

本記事では、12月末時点で公表されている総務省や厚生労働省の最新データをもとに、65歳以上の無職夫婦世帯の「毎月の生活費」「貯蓄額」「年金収入」について解説します。老後の安心を確かめたい方にとって、今の暮らしとこれからの見通しを知る一助となれば幸いです。

1. 【年金夫婦世帯】65歳以上・無職世帯の「生活費」は月に平均いくら?

老齢年金の受給は原則として65歳から始まるため、この年齢を目安に退職の時期を考える人も少なくありません。

また、総務省「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」では、65歳以上の無職夫婦世帯における代表的な家計収支のデータが示されています。

収入:25万2818円

■うち社会保障給付(主に年金):22万5182円

支出:28万6877円

■うち消費支出:25万6521円

  • 食料:7万6352円
  • 住居:1万6432円
  • 光熱・水道:2万1919円
  • 家具・家事用品:1万2265円
  • 被服及び履物:5590円
  • 保健医療:1万8383円
  • 交通・通信:2万7768円
  • 教育:0円
  • 教養娯楽:2万5377円
  • その他の消費支出:5万2433円
    • うち諸雑費:2万2125円
    • うち交際費:2万3888円
    • うち仕送り金:1040円

■うち非消費支出:3万356円

  • 直接税:1万1162円
  • 社会保険料:1万9171円

家計収支

  • ひと月の赤字:3万4058円
  • エンゲル係数(※消費支出に占める食料費の割合):29.8%
  • 平均消費性向(※可処分所得に対する消費支出の割合):115.3%

65歳以上の無職夫婦世帯の毎月の収入は25万2818円で、そのうち約9割にあたる22万5182円が公的年金などの社会保障給付によってまかなわれています。

一方、支出は合計28万6877円となっており、内訳は消費支出が25万6521円、税金や社会保険料といった非消費支出が3万356円です。

この結果、エンゲル係数は29.8%、平均消費性向は115.3%となり、毎月の収支は3万4058円の赤字が発生しています。

この不足分は、多くの場合、貯蓄の取り崩しによって補われているとうかがえます。

ただし、この統計では住居費が1万6432円と低く設定されている点や、介護に関する支出が含まれていない点に注意が必要です。

実際の生活費は世帯によって大きく異なるため、自分たちの状況に当てはめて考えることが重要です。